アナログ/デジタル変換入門 - 原理と回路実装 -

アナログ/デジタル変換入門 - 原理と回路実装 -

アナログ/デジタル変換器およびデジタル/アナログ変換器と呼ばれるデータ変換器について、原理と回路実装の基礎をわかりやすく解説

ジャンル
発行年月日
2019/03/28
判型
A5
ページ数
284ページ
ISBN
978-4-339-00918-7
アナログ/デジタル変換入門 - 原理と回路実装 -
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定価

4,400(本体4,000円+税)

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本書はアナログ/デジタル変換器およびデジタル/アナログ変換器と呼ばれるデータ変換器について,その原理と回路実装の基礎をできるだけわかりやすく解説した。また最先端の話題についても体系的に整理して記載している。

今日,情報処理はデジタル化されている。一方,人間が認識できる情報はアナログである。また,デジタル機器間で情報を通信するために必要な電気信号や,電波,光などもアナログである。そのため,デジタルとアナログを相互に変換する装置が必要になる。具体的には,アナログ/デジタル(A/D)変換器およびデジタル/アナログ(D/A)変換器と呼ばれるもので,両者を合わせてデータ変換器とも呼ばれる。本書では,A/D変換およびD/A変換を初めて学ぶ学生やエンジニアを対象として,原理と回路実装の基礎をできるだけわかりやすく説明する。

デジタル情報処理の応用が広がれば広がるほど,デジタルとアナログのインタフェースとしてのデータ変換器の重要性も高まる。いま注目されているIoT(internet of things)や,センサネットワーク,ロボット,自動運転などでも,温度,圧力,加速度などの物理量をセンサで電気信号に変換し,マイクロコントローラに読み込ませるためには,アナログをデジタルに変換するA/D変換器が必要である。また,コントローラの処理結果に基づきアクチュエータを駆動するためには,デジタルをアナログに変換するD/A 変換器が必須である。AI(artificial intelligence)も豊富なネット情報を活用する必要があり,それを支える高速情報通信網には高性能データ変換器が組み込まれている。これらの応用範囲が拡大すると,データ変換器に対する要求性能が一層高度化し,高性能化により新しい応用分野が開けていく,というダイナミックな展開が当分続くであろう。
このように重要な役割を担っているデータ変換器の研究開発は,実際,ここ20年ほどの間で急速に進んだ。CMOS集積回路技術の飛躍的な進歩により,従来は実現が困難であった変換方式が見直されたり,デジタル技術を駆使したアナログ回路の校正手法が導入されるなど,新しい魅力的なアイデアが次々と提案され,回路実装により優れた性能が実証されてきた。マイクロコントローラのI/Oに埋め込まれたIPコアも考えると,われわれの身の回りには無数のデータ変換器が散りばめられているといっても過言ではない。

英語で書かれたものを含めて,本分野に関する良書は少なくない。また,集積回路に関する国際会議や専門論文誌では,データ変換器に関する話題が多く取り上げられている。さらに,ネット検索をすれば,断片的ではあるが,多くの有益な情報が得られる。セミナーやチュートリアルも頻繁に開催されている。それでも,データ変換器の技術基盤は回路設計から信号処理技術,システム応用まで,幅広い分野と密接に関連しているため,多くの仕事を抱えるエンジニアにとって,系統的に学ぶには敷居が高いテーマではなかっただろうか。

本書では,最先端の話題にも配慮しながら,この分野の全体像を把握できるように題材を選び,体系的に整理して述べた。これからデータ変換器の研究開発を進めようとしている若手研究者だけではなく,データ変換器のユーザとして,新しい装置やシステムを開発しようとしているエンジニアも念頭に置き,執筆を進めた。データ変換器の基本を知ることは,データシートに記載された仕様の「行間」を読み解き,目的とする装置やシステムを効率良く設計・開発することに資すると考えたためである。もちろん,CMOS集積回路や情報通信技術を学んでデータ変換器に興味を持った学生諸君がこの分野をさらに深く学ぶための手引きとなり,基本的なアナログCMOS回路と最先端データ変換器のギャップを埋めるために役立つことも期待している。

本書の執筆にあたっては,これまでの多くの方々との議論を参考にさせていただきました。また,私の研究室の卒業生には原稿準備の段階で有益なコメントをいただきました。さらに,編集にあたりコロナ社の皆様にはたいへんお世話になりました。この場をお借りして,皆様に深い感謝の意を表したいと思います。

2019年2月 和保孝夫

1. はじめに
1.1 データ変換器の役割
1.2 データ変換器の動作原理
 1.2.1 A/D変換器
 1.2.2 D/A変換器
 1.2.3 A/D変換器に内蔵されたD/A変換器
1.3 性能と技術動向
1.4 本書の目的

2. A/D変換の基本原理
2.1 サンプリング
 2.1.1 サンプリング定理と折り返し
 2.1.2 オーバーサンプリングとアンダーサンプリング
 2.1.3 ジッタとSNR
 2.1.4 S/H信号
2.2 量子化

3. 基本回路ブロック
3.1 サンプル/ホールド回路
 3.1.1 基本回路
 3.1.2 S/H回路の出力波形
 3.1.3 非理想要因
 3.1.4 各種回路
 3.1.5 ブートストラップスイッチ
 3.1.6 熱雑音
 3.1.7 消費電力
 3.1.8 ジッタ
3.2 コンパレータ
 3.2.1 オペアンプを利用したコンパレータ
 3.2.2 多段コンパレータ
 3.2.3 ラッチ付きコンパレータ

4. D/A変換器
4.1 基本動作
4.2 性能指標
 4.2.1 スタティック性能
 4.2.2 ダイナミック性能
4.3 抵抗ラダーD/A変換器
 4.3.1 電圧分圧型
 4.3.2 電流加算型
4.4 容量D/A変換器
 4.4.1 電圧分圧型
 4.4.2 電荷シェア型
 4.4.3 ハイブリッド型
4.5 電流切替型D/A変換器

5. ナイキスト型A/D変換器
5.1 性能指標
5.2 フラッシュ型
5.3 フォールディング・インターポレーション型
5.4 逐次近似(SAR)型
 5.4.1 動作原理:2分探索アルゴリズム
 5.4.2 容量DACを用いた2分探索アルゴリズムの実現
 5.4.3 消費エネルギー
 5.4.4 冗長性の導入
5.5 2ステップ型/サブレンジング型/アルゴリズミック型
5.6 パイプライン型
5.7 積分型と時間領域型
 5.7.1 積分型
 5.7.2 時間領域型
5.8 タイムインターリーブ型

6. オーバーサンプリング型A/D変換器
6.1 基本的な考え方
6.2 1次ΔΣ変調器
6.3 2次ΔΣ変調器
6.4 多段ΔΣ変調器
6.5 多ビットΔΣ変調器
6.6 連続時間ΔΣ変調器
6.7 デシメーションフィルタ
6.8 D/A変換器

7. 技術動向
7.1 性能指標:FOM
7.2 低消費電力アンプ
 7.2.1 インバータ利用アンプ
 7.2.2 電流スイッチ付きダイナミックアンプ
 7.2.3 自己飽和型ダイナミックアンプ
7.3 ハイブリッドA/D変換器
 7.3.1 パイプライン化SAR
 7.3.2 ノイズシェイピングSAR
7.4 デジタル支援技術
 7.4.1 フォアグランド校正
 7.4.2 バックグランド校正
 7.4.3 まとめ

引用・参考文献
索引

読者モニターレビュー【M.K.様(大学院・航空宇宙システム制御専攻)】

本書は,アナログ/デジタル変換の基礎となる信号処理の基本(サンプリング定理・量子化等)から,A/D変換・D/A変換の原理の解説を経て近年の技術動向まで概説する内容となっている。
私は機械工学専攻のため信号処理に関しては知識が欠けていると感じていたが(ラプラス変換・フーリエ変換を履修した程度),この本では全編に渡って数式の展開や図解が豊富であり,理解の助けになった。また,参考文献も豊富に提示されており,A/D変換の基礎から最新の動向へのスムーズな橋渡しになる本であると思われる。

読者モニターレビュー【Y.N.様(大学生)】

アナログ/デジタル変換の入門である「標本化・量子化・符号化」の基礎から基本回路,D/A変換器とA/D変換器,そして最新のアナログ/デジタル変換技術の動向までを幅広く数式と回路図で説明した1冊です。
タイトルには「入門」とありますが,フーリエ変換や微積分など大学数学と電気・電子工学の基礎,回路の読み方は別の入門書で読んだ上で本書を読むと,「アナログ/デジタル変換の入門」を学ぶことができるという内容でした。引用・参考文献では,本分野について詳しく書かれた洋書から近年の論文まで数多く紹介されており,「アナログ/デジタル変換」について知見を広げていくのに役立つ1冊です。