
パワーデバイス
半導体の基礎はパワーデバイスを理解するうえでの最小限にとどめ,パワーデバイスの構造および特性と製造プロセスを詳しく解説した。
- ジャンル
- 発行年月日
- 2012/02/16
- 判型
- A5
- ページ数
- 192ページ
- ISBN
- 978-4-339-00831-9
- 内容紹介
- 目次
- 書籍紹介・書評掲載情報
半導体の基礎は動作を理解するうえで必要最小限の記述にとどめ,パワーデバイスの構造および特性と製造プロセスを詳しく解説。半導体の基礎を学んだ学部学生およびパワーデバイス業界参入を検討中の方のための入門書として最適。
1. パワーデバイスの概要
1.1 パワーデバイスの役割
1.1.1 パワーデバイスとは
1.1.2 電気・電子機器と人体の比較
1.2 パワーデバイスの用途
1.2.1 適用分野による分類
1.2.2 容量・動作速度による分類
1.3 身近で活躍するパワーデバイス
1.3.1 分散型発電とスマートグリッド
1.3.2 自動車からのCO2排出量削減
1.3.3 家電への適用
2. パワーデバイスによる電力変換
2.1 パワーデバイスによる直流—交流の相互変換
2.1.1 交流から直流への変換
2.1.2 直流から交流への変換
2.1.3 スイッチングデバイスの損失とトレードオフ関係
2.2 コンバータ/インバータシステム
2.2.1 コンバータ/インバータシステムの構成
2.2.2 三相モータの駆動
2.2.3 還流ダイオードの働き
2.3 パワーデバイスの進化
2.3.1 パワーデバイスの技術革新
2.3.2 IGBTの技術革新
2.3.3 新材料によるブレイクスルー
3. 原子と結晶
3.1 原子構造と元素の周期性
3.1.1 原子構造
3.1.2 元素の周期性
3.1.3 Ⅳ族原子の結晶構造
3.2 半導体結晶とエネルギーバンド
3.2.1 原子/分子間の結合
3.2.2 半導体結晶
3.2.3 エネルギーバンド構造
3.2.4 金属,半導体,絶縁体のエネルギーバンド図
3.3 結晶欠陥
3.3.1 結晶欠陥の分類
3.3.2 結晶欠陥の二面性
3.3.3 不純物のエネルギー準位
3.3.4 固溶度と拡散係数
4. 半導体中のキャリヤ
4.1 半導体中のキャリヤの生成
4.1.1 電子とホール
4.1.2 ドナーとアクセプタ
4.2 半導体中のキャリヤ統計
4.2.1 キャリヤ密度の計算方法
4.2.2 不純物半導体中のフェルミ準位
4.2.3 キャリヤ密度およびフェルミ準位の温度依存性
4.3 半導体中の電気伝導
4.3.1 ドリフトによる電気伝導
4.3.2 拡散による電気伝導
4.3.3 キャリヤ連続の式
5. 半導体デバイスの基礎
5.1 pn接合
5.1.1 pn接合のエネルギーバンド図
5.1.2 pn接合の整流性
5.1.3 pn接合の降伏現象
5.1.4 pn接合における最大電界
5.1.5 ヘテロ接合
5.1.6 pn接合応用デバイス
5.2 金属—半導体接触
5.2.1 金属と半導体のエネルギーバンド図
5.2.2 ショットキー接触
5.2.3 オーム性接触
5.3 MOS構造
5.3.1 MOS構造のエネルギーバンド図
5.3.2 MOS構造における反転現象
5.3.3 界面準位の影響
6. 電力用ダイオードおよび電流制御型スイッチングデバイスの構造と特性
6.1 パワーチップの構造
6.1.1 パワーチップの高耐圧化
6.1.2 パワーチップの電極構造
6.2 電力用ダイオード
6.2.1 電力用ダイオードの構造
6.2.2 電力用ダイオードの過渡特性
6.3 パワーバイポーラトランジスタ
6.3.1 バイポーラトランジスタの電流—電圧特性
6.3.2 バイポーラトランジスタのエネルギーバンド図
6.3.3 バイポーラトランジスタのスイッチング動作
6.3.4 パワーバイポーラトランジスタの構造
6.3.5 バイポーラトランジスタの安全動作領域
6.3.6 ダーリントン接続
6.4 サイリスタ
6.4.1 サイリスタの構造と電流—電圧特性
6.4.2 サイリスタの動作原理
6.4.3 GTOサイリスタ
6.4.4 トライアック
6.4.5 逆導通サイリスタ
7. 電圧制御型スイッチングデバイスの構造と特性
7.1 パワーMOSFET
7.1.1 MOSFETの構造
7.1.2 MOSFETの電流—電圧特性
7.1.3 パワーMOSFETの構造
7.1.4 スーパージャンクション構造
7.2 IGBT
7.2.1 IGBTの構造
7.2.2 IGBTの電流—電圧特性
7.2.3 IGBTのオン抵抗
7.2.4 IGBTの順方向および逆方向耐圧
7.2.5 IGBTの損失とトレードオフ関係
7.2.6 IGBTの構造開発
7.3 IGBTの多機能化
7.3.1 IGBTとダイオードの集積化
7.3.2 逆導通IGBT
7.3.3 逆阻止IGBT
8. パワーモジュールの構造と要求性能
8.1 パワーチップのモジュール化
8.1.1 パワーモジュール搭載チップ
8.1.2 パワーモジュールへのチップの搭載
8.1.3 パワーモジュールのインテリジェント化
8.2 パワーモジュールの構造
8.2.1 ケースタイプとトランスファーモールドタイプ
8.2.2 ケースタイプIGBTモジュールの構造
8.2.3 ケースタイプIPMの構造
8.2.4 トランスファーモールドタイプIPMの構造
8.3 パワーモジュールへの要求性能
8.3.1 主要な要求性能
8.3.2 パワーモジュールの絶縁性
8.3.3 大電流通電への対応
8.3.4 パワーモジュールの放熱性
8.3.5 パワーモジュールの信頼性
9. パワーデバイス用シリコンウェーハ
9.1 CZシリコンウェーハ
9.1.1 CZ法によるシリコン単結晶育成
9.1.2 CZ法における偏析現象
9.1.3 ウェーハ加工プロセス
9.2 FZシリコンウェーハ
9.2.1 FZ法によるシリコン単結晶育成
9.2.2 FZ法におけるドーパント不純物制御
9.2.3 FZウェーハの直径
9.2.4 拡散ウェーハ
9.3 エピタキシャル成長
9.3.1 エピタキシャル成長装置
9.3.2 エピタキシャル成長の限界と課題
9.4 パワーデバイス用ウェーハの選定
9.4.1 これまでのパワーデバイス用ウェーハの選定
9.4.2 最近のパワーデバイス用ウェーハの選定
10. パワーチップ製造プロセス
10.1 パワーチップとMOS—LSIの構造比較
10.1.1 全体構造の比較
10.1.2 最表面の構造比較
10.2 パワーチップ表面側プロセス
10.2.1 MOS—LSI製造プロセスの概要
10.2.2 パワーチップ表面側プロセスフロー
10.2.3 パワーチップとMOS—LSIの製造プロセスの比較
10.2.4 ライフタイム制御
10.3 パワーチップ裏面側プロセス
10.3.1 裏面プロセスフロー
10.3.2 薄ウェーハのハンドリング
10.3.3 裏面不純物の活性化
10.3.4 さらなる新技術の導入
11. パワーモジュール製造プロセス
11.1 パワーモジュール製造プロセス
11.1.1 パワーモジュール製造プロセスフロー
11.1.2 ダイシング
11.1.3 ダイボンド
11.1.4 ワイヤボンド
11.2 パワーモジュール対応新技術
11.2.1 レーザダイシング
11.2.2 高電流密度化への対応
11.2.3 高温動作への対応
11.2.4 高信頼性への対応
11.3 パワーデバイスのテスト技術
11.3.1 半導体デバイスのテスト技術
11.3.2 パワーデバイスのテスト工程
11.3.3 チップ状態でのテストの重要性
11.3.4 アナログテスト技術
12. ワイドギャップ半導体パワーデバイス
12.1 シリコンパワーデバイスと比較した優位性
12.1.1 物性値による比較
12.1.2 高温動作および高速駆動
12.1.3 SiCおよびGaNパワーデバイスのターゲット
12.2 SiCパワーデバイス
12.2.1 SiCウェーハ
12.2.2 SiCパワーデバイスの構造
12.2.3 SiCパワーデバイスの製造
12.2.4 SiCパワーデバイスの課題
12.3 GaNパワーデバイス
12.3.1 GaNウェーハ
12.3.2 GaNパワーデバイスの構造
12.3.3 GaNパワーデバイスの課題
付録
参考文献
索引
パワーデバイスは、電力を制御する半導体デバイスである。パワーデバイスを適切に使用することで、効率的にパワーエレクトロニクスを実現することができる。本書は、パワーデバイスに特化した入門書で、パワーデバイス/モジュールの構造や特性、および特有の製造プロセスについて詳述している。半導体やデバイスの基礎に関する記述は、動作を理解する上での最小限に留めており、大学で半導体デバイスの基礎を学んだ学生を主な対象としている。また、これからパワーデバイス業界への参入を検討している企業のエンジニアにも最適な一冊となっている。
※当書評文は電子ジャーナルの許諾を得て掲載しております。
「Electoronic Journal」Webページはこちら
日刊工業新聞2012年3月27日 「技術科学図書欄」 掲載日:2012/04/06