ワイドギャップ半導体パワーデバイス

ワイドギャップ半導体パワーデバイス

基礎編,結晶編,デバイス編の三つの構成により,ワイドギャップ半導体パワーデバイスの優れた性能と課題を詳細に解説した。

  • 口絵
ジャンル
発行年月日
2015/03/20
判型
A5
ページ数
230ページ
ISBN
978-4-339-00875-3
ワイドギャップ半導体パワーデバイス
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定価

3,850(本体3,500円+税)

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基礎編,結晶編,デバイス編の三つの構成により,ワイドギャップ半導体パワーデバイスの優れた性能と課題を詳細に述べた。特に結晶製造の難しさは丁寧に解説し,結晶構造の違いや結晶欠陥の形成原理とその評価法に関しても述べた。

-基礎編-
1. 電力変換とパワーデバイス
1.1 電力変換技術
1.1.1 人類が利用している電気
1.1.2 直流と交流
1.1.3 電力発生源の多様化
1.1.4 電力変換の重要性
1.2 パワーデバイスの用途
1.2.1 パワーデバイスの適用
1.2.2 電力容量と動作速度

2. 次世代パワーデバイスへの要求
2.1 パワーデバイスによる電力変換
2.1.1 電力変換の種類
2.1.2 DC-DCコンバータ
2.1.3 コンバータ/インバータシステム
2.1.4 マトリックスコンバータ
2.1.5 パワーデバイスにおける電力損失
2.2 次世代パワーデバイスへの要求
2.2.1 Siスイッチングデバイスの進化
2.2.2 Si-IGBTの性能向上
2.2.3 ワイドギャップ半導体の優位性
2.2.4 ワイドギャップ半導体パワーデバイスのターゲット

3. パワーチップの構造と製造方法
3.1 パワーチップの構造
3.1.1 パワーチップの種類
3.1.2 ユニポーラデバイスとバイポーラデバイス
3.1.3 パワーチップの断面構造
3.1.4 耐圧保持層の最適化
3.1.5 パワーチップの電極構造
3.2 パワーチップの製造方法
3.2.1 表面プロセス
3.2.2 ライフタイム制御
3.2.3 裏面プロセス

4. 各種パワーチップ
4.1 各種パワーチップの構造と特性
4.1.1 パワーダイオードの構造と特性
4.1.2 サイリスタの構造と特性
4.1.3 パワーバイポーラトランジスタの構造と特性
4.1.4 パワーMOSFETの構造と特性
4.1.5 IGBTの構造と特性
4.2 IGBTの多機能化
4.2.1 IGBTの逆方向特性
4.2.2 RC-IGBT
4.2.3 RB-IGBT

5. パワーモジュールの構造と製造方法
5.1 パワーモジュールの構造
5.1.1 パワーモジュール搭載チップ
5.1.2 パワーチップのモジュール化
5.1.3 パワーデバイスのインテリジェント化
5.1.4 ケースタイプとトランスファーモールドタイプ
5.1.5 パワーモジュール構成要素の熱抵抗
5.2 パワーモジュールの製造方法
5.2.1 パワーモジュールの製造プロセスフロー
5.2.2 ダイシング
5.2.3 チップテスト
5.2.4 パッケージング

-結晶編-
6. 原子構造と結晶構造
6.1 原子の構造
6.1.1 原子の構成
6.1.2 量子数
6.1.3 原子中の電子の配置
6.2 元素の周期性
6.2.1 元素の周期性と周期表
6.2.2 原子の大きさ
6.3 原子/分子の結合
6.3.1 結合の種類
6.3.2 混成軌道
6.4 結晶構造の基本的表現方法
6.4.1 ブラベー格子
6.4.2 ミラー指数
6.4.3 立方晶の面指数と面方位
6.4.4 逆格子ベクトル
6.5 六方晶の表現方法
6.5.1 六方晶の表現方法
6.5.2 六方晶の面指数と面方位

7. 半導体結晶と物性
7.1 半導体材料
7.1.1 半導体の機能
7.1.2 半導体の分類
7.2 半導体結晶の構造
7.2.1 ダイヤモンド構造
7.2.2 せん亜鉛鉱構造とウルツ鉱構造
7.2.3 SiCの結晶構造
7.2.4 ヘキサゴナリティ
7.2.5 Ga2O3の結晶構造
7.3 エネルギーバンド構造
7.3.1 エネルギーバンドの形成
7.3.2 直接遷移と間接遷移
7.3.3 半導体のバンドギャップ
7.4 半導体中の伝導キャリヤ
7.4.1 キャリヤ速度の電界依存性
7.4.2 キャリヤ密度の温度依存性

8. 半導体中の結晶欠陥
8.1 結晶欠陥の分類
8.1.1 結晶欠陥の分類
8.1.2 点欠陥
8.1.3 線欠陥
8.1.4 面欠陥
8.1.5 体積欠陥
8.2 半導体結晶中の構造欠陥
8.2.1 完全転位と部分転位
8.2.2 ショックレーの部分転位
8.2.3 フランクの部分転位
8.2.4 貫通転位と基底面転位
8.3 プロセス導入欠陥
8.3.1 プロセス導入欠陥の二面性
8.3.2 良性PRIDE
8.3.3 悪性PRIDE

9. 結晶欠陥の評価技術

9.1 結晶欠陥の物理的/化学的評価技術
9.1.1 光学的評価
9.1.2 選択エッチング法
9.1.3 電子顕微鏡
9.1.4 ミラー電子顕微鏡
9.1.5 X線回折/X線トポグラフィ
9.1.6 フォトルミネッセンス
9.1.7 原子間力顕微鏡
9.1.8 ラマン散乱分光法
9.2 結晶欠陥の電気的評価技術
9.2.1 ライフタイム測定
9.2.2 DLTS測定

10. パワーデバイス用Si結晶およびウェーハの製造方法
10.1 パワーデバイス用Si結晶
10.1.1 CZ法結晶
10.1.2 FZ法結晶
10.1.3 Siのエピタキシャル成長
10.1.4 パワーデバイス用Si結晶の使い分け
10.2 ウェーハ加工
10.2.1 一般的なウェーハ加工プロセス
10.2.2 ウェーハ仕様

11. ワイドギャップ半導体結晶の製造方法
11.1 パワーデバイス用SiC結晶
11.1.1 昇華法
11.1.2 RAF法
11.1.3 溶液法
11.1.4 ガス成長法
11.1.5 SiCのエピタキシャル成長
11.2 パワーデバイス用GaN結晶
11.2.1 GaN on Si結晶
11.2.2 GaN自立結晶
11.2.3 Naフラックス法
11.2.4 アモノサーマル法
11.3 そのほかのワイドギャップ半導体結晶
11.3.1 電子デバイス用サファイア結晶
11.3.2 Ga2O3結晶
11.3.3 ダイヤモンド単結晶

-デバイス編-

12.1 SiCパワーデバイスの種類
12.1.1 パワーダイオード
12.1.2 パワーMOSFET
12.1.3 バイポーラデバイス
12.2 SiCパワーMOSFETの製造プロセス
12.2.1 プレーナゲート型MOSFET
12.2.2 トレンチゲート型MOSFET
12.3 SiCパワーデバイスの性能
12.3.1 ハイブリッドSiCモジュール
12.3.2 フルSiCモジュール
12.3.3 電動輸送機器への適用
12.4 SiCパワーデバイスの課題
12.4.1 プロセスにおける課題
12.4.2 ダイシングにおける課題
12.4.3 デバイス特性における課題

13. GaNパワーデバイス
13.1 GaNパワーデバイスの構造
13.1.1 HEMT構造
13.1.2 電極構造
13.1.3 集積化
13.2 ノーマリィオフ化
13.2.1 カスコード接続
13.2.2 ノーマリィオフ構造
13.2.3 ノーマリィオフ構造の課題
13.3 GaNパワーデバイスの性能
13.3.1 高周波パワーデバイス
13.3.2 各種電源への適用
13.4 GaNパワーデバイスの課題
13.4.1 デバイス特性における課題
13.4.2 高耐圧化
13.4.3 高周波動作
13.4.4 大容量化

14. そのほかのワイドギャップ半導体パワーデバイス
14.1 Ga2O3パワーデバイス
14.1.1 Ga2O3パワーデバイスの魅力
14.1.2 Ga2O3パワーデバイスの課題
14.2 ダイヤモンドパワーデバイス
14.2.1 ダイヤモンドパワーデバイスの魅力
14.2.2 ダイヤモンドの特異な物性
14.2.3 ダイヤモンドパワーデバイスの課題

15. ワイドギャップ半導体パワーモジュール
15.1 パワーモジュールの信頼性
15.1.1 半導体デバイスの信頼性
15.1.2 パワーモジュールの信頼性試験
15.1.3 サーマルサイクル試験
15.1.4 パワーサイクル試験
15.1.5 はんだボイドの影響
15.2 次世代パワーデバイス対応モジュール
15.2.1 高性能化における律速要因
15.2.2 高電流密度化
15.2.3 寄生インダクタンスの低減
15.2.4 裏面接合
15.2.5 グリスレス化
15.2.6 封止材料

16. ワイドギャップ半導体パワーデバイスの量産に向けて
16.1 Si集積回路から学ぶこと
16.1.1 Si vs GaAs
16.1.2 値段が最優先
16.1.3 ロードマップの策定
16.1.4 日の丸半導体の凋落
16.1.5 品質至上主義
16.1.6 共同プロジェクト
16.2 Siパワーデバイスから学ぶこと
16.2.1 日本のメーカーが強い理由
16.2.2 Siパワーデバイスの量産技術
16.3 そのほかの半導体関連技術から学ぶこと
16.3.1 Siウェーハから学ぶこと
16.3.2 太陽電池から学ぶこと
16.4 量産における律速要因

付録
参考文献
索引

山本 秀和

山本 秀和(ヤマモト ヒデカズ)

1984年3月 北海道大学大学院 工学研究科電気工学専攻 博士後期課程修了 工学博士
1984年4月 三菱電機株式会社入社
CCDイメージセンサ、集積回路用Siウエハ、パワーデバイス等の開発に従事
2010年4月 千葉工業大学 教授(現在に至る)
パワーデバイスおよびパワーデバイス用材料の評価技術の研究開発
北海道大学客員教授、パワーイネーブリング協会理事、新金属協会シリコン結晶評価技術国際標準審議委員会委員長、新金属協会半導体サプライチェーン研究会副委員長などを歴任
主な著書:「パワーデバイス」(単著)、「現代電気電子材料」(共著)、「ワイドギャップ半導体パワーデバイス」(単著)以上コロナ社
「半導体LSI技術」(共著)共立出版、「はかる×わかる半導体 パワーエレクトロニクス編」(共著)日経BPコンサルティング、「半導体デバイスの不良・故障解析技術」(共著)日科技連