
数理でひもとくAI技術の深化 - ボルツマンマシンとたどる最先端への道 -
2024年ノーベル物理学賞の主要研究成果ボルツマンマシンと共に,AI技術の最先端へ!
- 発行予定日
- 2025/06/下旬
- 判型
- A5
- 予定ページ数
- 140ページ
- ISBN
- 978-4-339-02951-2

- 内容紹介
【読者対象】
本書は、2024年のノーベル物理学賞の対象となったホップフィールドネットワークやボルツマンマシンとは何かを知りたい方、そしてその理解を足がかりに、現代の人工知能技術の最前線に触れたいと考える読者を対象としています。前提となる知識は可能な限り抑えており、理系の大学生程度の数理的素養があれば読み進められるよう配慮しています。一方で、情報科学・人工知能・物理学など各分野の専門家にとっても、新たな視点が得られる内容を目指しています。
【書籍の特徴】
本書の最大の特徴は、ボルツマンマシンを軸として、さまざまな分野についての議論を展開している点にあります。機械学習、統計力学、計算量理論、最適化、量子計算、確率過程など、幅広い分野にまたがる内容を扱いつつ、それぞれの要点を押さえ、共通する構造や相互の関連性が自然に見えてくるように構成されています。
各章は基本的な概念から始まり、場合によっては最先端の研究成果にまで踏み込んだ議論を行います。難解な内容については、あえて一般性を犠牲にし、特別な場合に絞って丁寧に解説することで、直感的な理解を助けます。また、数式なしでは捉えきれない概念は、数式を積極的に用いながら、その背後にある意味や現実との対応関係を日本語で丁寧に説明し、読者の理解を深めることを目指しています。
【各章について】
1章では、ホップフィールドネットワーク、ボルツマンマシン、イジング模型、イジングマシンといった一見異なる概念が、本質的には同じ数理モデルに基づいていることを明らかにします。本書ではこの基本モデルを軸に、全体の議論を組み立てていきます。
2章では、ホップフィールドネットワークによる連想記憶の仕組みを出発点として、現代の大規模言語モデル(たとえば ChatGPT)において中心的役割を果たす注意機構へと議論を発展させます。
3章では、イジング模型を用いて統計力学の基礎から相転移の概念までを解説します。
4章では、イジングマシンを用いた巡回セールスマン問題の解法を起点に、計算量理論の基礎概念を導入し、さらに量子計算の一方式である量子アニーリングにまで議論を広げます。
5章では、ボルツマンマシンによる確率分布の学習の仕組みを出発点に、現代の画像生成AIにおいて重要な役割を担うスコアモデルや拡散モデルへと議論を発展させます。
【読者へのメッセージ】
できるだけ直感的な理解が得られるように説明を工夫しました。これまで分からなかったことが「分かった」「なるほど」と思っていただける箇所があれば幸いです。
【本書のキーワード】
ホップフィールドネットワーク、イジング模型、イジングマシン、ボルツマンマシン、連想記憶、注意機構、相転移、巡回セールスマン問題、量子アニーリング、生成AI、スコアモデル、拡散モデル