わかりやすい電気回路

わかりやすい電気回路

電気回路の基本的かつ重要な部分,いわば体系の幹となる部分に的を絞り,わかりやすさを最優先し豊富な図表を用いて平易に解説

ジャンル
発行年月日
2016/09/16
判型
B5
ページ数
168ページ
ISBN
978-4-339-00885-2
わかりやすい電気回路
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定価

2,750(本体2,500円+税)

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本書は,電気・電子系を学ぶ学生向けの電気回路の教科書である。本書は電気回路の基本的かつ重要な部分,いわば体系の幹となる部分に的を絞り,わかりやすさを最優先にし豊富な図表を用いて平易に解説した。

1章では,回路素子が線形抵抗である場合を用いてこの基本となるキルヒホッフの法則について説明する。キルヒホッフの法則は線形抵抗以外でも成り立つ法則であるが,まずは線形抵抗である場合を考える。また回路がグラフで表せること,グラフが同一の回路は同一の回路とみなせることなど,回路解析の基本となる事項を学ぶ。
2章では,抵抗と電源によって構成される回路の解析法を学ぶ。また,回路の電流あるいは電圧に対応する変数を定め,KCL あるいはKVL を適用して方程式を導出する方法を学ぶ。さらに,回路を考察するために重要な重ねの理,テブナンの定理,ノートンの定理について学ぶ。
3章では,電気回路を構成する基本素子である抵抗,キャパシタ,インダクタの3種類のうち,キャパシタ,インダクタの素子特性を説明する。キャパシタは,電荷を蓄えることができる素子であり,インダクタは,磁束を蓄えることができる素子である。その磁束が時間に対して変化すると,起電力を誘導する。抵抗,キャパシタ,インダクタの各素子の特性は素子に印加される電圧と流れる電流との関係式で表されることを理解する。
正弦波電源,抵抗,キャパシタ,インダクタで構成される回路の電圧と電流は,定常状態
では正弦波に落ち着く。4章では,この正弦波定常解を簡単に求める方法としてフェーザ法を学ぶ。フェーザ法は,エネルギー供給用回路,通信用回路など,さまざまな回路の解析や設計の基礎として重要である。
5章では,回路の電圧や電流が時間に対して変化する場合に,エネルギーの取り扱いの基本となる平均電力と実効値の概念を導入し,正弦波電源が交流電源を表す場合について,正弦波定常状態の電力を考えるための基礎を学ぶ。
6章では,フーリエ級数の基本事項と,その電気回路への応用を学ぶ。
7章では,二つの端子対(ポート)の電圧と電流の関係に基づいて回路を考察する方法を学ぶ。この方法を用いると,回路の入出力関係などを簡潔に把握することができる。また,2ポートとしてとらえることができる重要な素子である,相互インダクタンス,ジャイレータ,従属電源についても学ぶ。
8章では,抵抗,インダクタ,キャパシタを含む回路の動作を2階の常微分方程式で記述して考察する。このような回路の動作を理解することは,さまざまな回路の動作を考察するための基礎となる。
9章では,電気回路を記述する常微分方程式を解くために便利なラプラス変換について学ぶ。ラプラス変換は制御理論や信号理論などでも重要な役割を果たしている。
10章では,キャパシタやインダクタを含む回路を記述する状態方程式について学ぶ。状態方程式をラプラス変換で解く方法と,回路から状態方程式を導出する方法を説明する。応用として,スイッチを含む回路の複雑な初期値や,制御電源を含む回路についても学ぶ。

1. キルヒホッフの法則
1.1 抵抗,コンダクタンス
1.2 回路のグラフ,枝電圧,枝電流
1.3 キルヒホッフの法則
1.4 テレゲンの定理
1.5 電源
1.6 電源の変換
章末問題

2. 抵抗回路網の解析
2.1 節点電圧と節点方程式
2.2 網路電流と網路方程式
2.3 重ねの理
2.4 テブナンの等価回路とノートンの等価回路
章末問題

3. キャパシタとインダクタを含む回路
3.1 キャパシタ
3.2 合成キャパシタンス
3.3 キャパシタに蓄えられるエネルギー
3.4 インダクタ
3.5 合成インダクタンス
3.6 インダクタに蓄えられるエネルギー
3.7 RC回路の動作
3.8 初期値,DC定常解,時定数
章末問題

4. 正弦波定常状態の解析
4.1 正弦波電源
4.2 フェーザと微分方程式
4.3 インピーダンスとアドミタンス
4.4 インピーダンスとアドミタンスを用いた回路解析
4.5 正弦波定常状態の網路方程式
4.6 正弦波定常状態の節点方程式
4.7 正弦波定常状態の重ねの理
4.8 共振回路
章末問題

5. 正弦波定常状態の電力
5.1 平均電力と実効値
5.2 正弦波定常状態の実効値
5.3 有効電力,無効電力,皮相電力
5.4 整合
5.5 三相交流
章末問題

6. フーリエ級数
6.1 周期信号とフーリエ正弦級数
6.2 フーリエ余弦級数と重ねの理
6.3 複素形のフーリエ級数とパーシヴァルの定理
章末問題

7. 2ポート
7.1 2ポートの基本表現
7.2 パラメータの意味と相反定理
7.3 2ポートの等価
7.4 伝送行列
7.5 入力インピーダンスとジャイレータ
7.6 2ポートの接続
7.7 相互インダクタ
7.8 従属電源
章末問題

8. RLC回路の解析
8.1 LC回路と振動
8.2 RLC回路を記述する微分方程式
8.3 指数関数代入法
8.4 正弦波電源を含むRLC回路の解析
8.5 直流電源を含むRLC回路の解析
8.6 DC定常解の導出法
章末問題

9. ラプラス変換
9.1 ラプラス変換と微分方程式
9.2 RLC回路への応用
9.3 部分分数展開
章末問題

10. 状態方程式
10.1 状態方程式
10.2 ラプラス変換による状態方程式の解法
10.3 状態方程式の導出
10.4 スイッチを含む回路の複雑な初期値
10.5 従属電源を含む回路
章末問題

付録
A.1 行列式,クラーメルの公式
A.2 複素数

引用・参考文献
章末問題解答
索引

斎藤 利通(サイトウ トシミチ)

神野 健哉

神野 健哉(ジンノ ケンヤ)

1996年 法政大学大学院 工学研究科 電気工学専攻 博士後期課程 修了
博士(工学)(法政大学)
電子情報通信学会フェロー

現在、東京都市大学情報工学部知能情報工学科教授
法政大学兼任講師、東京理科大学非常勤講師
「アルゴリズム設計」「オブジェクト指向開発」「機械学習」「データサイエンス応用」「機械学習特論」「線形システム」などの科目を担当。

<研究テーマ>
・機械学習
・メタヒューリスティックス最適化
・非線形力学系解析