電気回路基礎ノート

電気回路基礎ノート

電気回路理論の基本的な性質や動作の解説に加えて,三相交流,ひずみ波交流,分布定数回路についても,現象論的にやさしく記述し,電気・電子系の学生が十分に使える内容にした。また,例題を豊富につけて詳しく解説した。

ジャンル
発行年月日
2006/11/13
判型
A5
ページ数
220ページ
ISBN
978-4-339-00786-2
電気回路基礎ノート
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定価

2,970(本体2,700円+税)

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電気回路理論の基本的な性質や動作の解説に加えて,三相交流,ひずみ波交流,分布定数回路についても,現象論的にやさしく記述し,電気・電子系の学生が十分に使える内容にした。また,例題を豊富につけて詳しく解説した。

電気回路理論は,電気電子工学を専攻する学生にとって最も基礎的でかつ重要な学科目の一つであることはいうまでもない。近年多くの大学で情報工学に関連する学科がつぎつぎに設置され,そのための電気回路理論の教科書が数多く出版されているが,電気・電子系の学生にとっては内容的に不十分な点があるように思われる。従来,電気・電子系の学生のための電気回路理論の教科書は複数冊で構成されているのが普通であるが,本書はl冊の教科書として簡潔にまとめたものである。

本書の構成を簡潔に示すと,1章では,キルヒホッフの電流則と電圧則について説明し,行列で表す方法を示している。2章では,抵抗とその逆数であるコンダクタンスについて説明し,回路で消費する電力について説明する。3章では,電源として電圧源と電流源が考えられることを説明し,両者がたがいに変換できることを示すと同時に負荷で消費する電力が最大となるための条件を示す。4章では,回路方程式を作る場合に,電圧を変数とする場合と電流を変数とする場合について説明し,場合によっては同じ回路でも変数の数が異なることがあることを示している。5章では,回路理論できわめて重要でかつ有用である重ねの理,テブナン(ノートン)の定理,相反定理を説明し,その有用性を示している。6章では,キャパシタ(コンデンサ)とインダクタ(コイル)の性質について説明し,特に電荷と磁束の連続性について示している。7章では,キャパシタ,インダクタ,抵抗を含む簡単な回路の微分方程式の作り方と,6章に基づいて初期値の決め方および微分方程式の解き方について説明する。8章では,電源が正弦波である場合の定常状態における電流・電圧の計算にきわめて有効なフェーザ法について説明し,インピーダンス(アドミタンス)の概念を用いることにより直流回路とまったく同じようにして電圧・電流が求められることを示している。9章では,相互インダクタとその等価回路について説明している。10章では,二つの端子対聞の電圧・電流の関係を示すインピーダンス行列,アドミタンス行列,伝送行列について説明する。11章では,電力関係でよく用いられる三相交流回路について説明し,Δ-Y変換,Y-Δ交換について説明する。12章は,正弦波でないひずみ波交流回路について説明し,ひずみ波のフーリエ級数表示,消費電力について説明する。13章では,分布定数回路とは何かについて説明するとともに,特性インピーダンス,信号の伝搬速度,反射など基本概念について簡単に説明する。

本書を執筆するにあたっては日本工業大学の堀田教授,谷本教授,高瀬講師をはじめ多数の教員の皆様方,また三郷工業技術高等学校の下田氏にお世話になった。

最後に,出版にあたり大変お世話になったコロナ社各位に感謝する次第である。

2006年9月
森真作

1.キルヒホッフの法則
1.1 キルヒホッフの電流則
1.2 キルヒホッフの電圧則
演習問題

2.抵抗・コンダクタンス
2.1 抵抗・コンダクタンスとは
2.2 抵抗・コンダクタンスで消費する電力
2.3 抵抗・コンダクタンスの接続
 2.3.1 抵抗・コンダクタンスの直列接続
 2.3.2 抵抗・コンダクタンスの並列接続
演習問題

3.電源
3.1 電圧源
3.2 電流源
3.3 電源の決め方
3.4 電源の変換
3.5 電源の接続
3.6 電源の最大供給電力
演習問題

4.回路方程式
4.1 グラフ理論の基本的概念
4.2 節点方程式
4.3 網路方程式
4.4 閉路方程式
演習問題

5.回路における諸定理
5.1 重ねの理
5.2 テブナンの定理とノートンの定理
5.3 相反定理
演習問題

6.キャパシタとインダクタ
6.1 キャパシタ
 6.1.1 キャパシタの性質
 6.1.2 キャパシタに蓄えられるエネルギー
 6.1.3 キャパシタの接続
6.2 インダクタ
 6.2.1 インダクタの性質
 6.2.2 インダクタに蓄えられるエネルギー
 6.2.3 インダクタの接続
演習問題

7.基本回路の性質
7.1 1階微分方程式で表される回路
 7.1.1 RC回路
 7.1.2 RL回路の性質
7.2 RLC回路の性質
演習問題

8.正弦波定常状態の解析
8.1 インピーダンスとアドミタンス
8.2 正弦波定常状態における電力
8.3 交流電圧・電流の実効値
8.4 ベクトル軌跡
8.5 共振回路
演習問題

9.相互インダクタ
9.1 相互インダクタとは
9.2 相互インダクタを含む回路
演習問題

10.2端子対回路
10.1 2端子対回路
10.2 2端子対回路のパラメータの意味
 10.2.1 Zパラメータの意味
 10.2.2 Yパラメータの意味
 10.2.3 伝送パラメータ
10.3 2端子対回路の等価
10.4 2端子対回路の接続
 10.4.1 縦続接続
 10.4.2 並列接続
 10.4.3 直列接続
演習問題

11.三相交流
11.1 対称三相交流
11.2 三相電源の結合方式
11.3 三相回路の負荷
 11.3.1 Y形電源とY形負荷
 11.3.2 Δ形電源とΔ形負荷
11.4 対称三相負荷で消費する電力
11.5 不平衡負荷のΔ-Y変換とY-Δ変換
11.6 送電効率
演習問題

12.ひずみ波交流
12.1 フーリエ級数
12.2 偶関数と奇関数
12.3 フーリエ級数の複素表示
12.4 フーリエ級数の回路解析への応用
12.5 ひずみ波電圧・電流の電力と実効値
演習問題

13.分布定数回路
13.1 分布定数回路の基礎方程式
13.2 波動方程式と解
13.3 半無限長線路
13.4 反射のある無損失線路
13.5 損失のある分布定数線路
13.6 分布定数回路の正弦波定常応答
13.7 分布定数線路の共振
演習問題

演習問題解答
索引

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森 真作(モリ シンサク)