H∞制御の実プラントへの応用

H∞制御の実プラントへの応用

本書は,H∞制御を適用することを前提としたモデルの構築から,このモデルを用いて十分な解析と設計をし,実プラントに適用した実験例や結果を記した。学生の入門書として,また,技術者のノウハウ集として利用できるよう配慮した。

ジャンル
発行年月日
1996/05/31
判型
A5
ページ数
214ページ
ISBN
978-4-339-08360-6
H∞制御の実プラントへの応用
品切・重版未定
当面重版の予定がございません。

定価

3,190(本体2,900円+税)

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本書は,H∞制御を適用することを前提としたモデルの構築から,このモデルを用いて十分な解析と設計をし,実プラントに適用した実験例や結果を記した。学生の入門書として,また,技術者のノウハウ集として利用できるよう配慮した。

まえがき
第1章 設計理論のまとめ
 1.1 伝達関数のH∞ノルム
  1.1.1 H∞ノルムの定義
  1.1.2 周波数領域における整形
  1.1.3 スモールゲイン定理に基づくロバスト性解析
  1.1.4 最悪ケースにおける評価
 1.2 H∞制御問題
  1.2.1 標準問題
  1.2.2 一般化プラントの構成例(制御性能)
  1.2.3 一般化プラントの構成例(ロバスト安定性)
  1.2.4 一般化プラントの構成例(制御性能とロバスト安定性)
  1.2.5 一般化プラントの構成例(最悪ケース設計問題)
 1.3 H∞標準問題の解法
  1.3.1 前提条件と準備
  1.3.2 解法
  1.3.3 前提条件の意味
  1.3.4 前提条件が満たされない場合への対応
第2章 発電プラント制御への応用
 2.1 はじめに
 2.2 制御対象について
  2.2.1 プラントの概要
  2.2.2 プラントの動特性
  2.2.3 システム同定
 2.3 多変数H∞制御器の設計
 2.4 低次元制御器の設計
  2.4.1 平衡実現に基づく低次元化
  2.4.2 一巡伝達関数のモデルマッチングによるPI制御器の設計
 2.5 制御系の設計とシミュレーション結果
  2.5.1 H∞制御器の設計
  2.5.2 平衡実現に基づく制御器の低次元化
  2.5.3 モデルマッチングによるPI制御器の設計
 2.6 制御実験結果
  2.6.1 H∞制御実験結果
  2.6.2 上位系指令値への追従制御実験結果
 2.7 まとめ
第3章 ホットストリップミルのルーパ制御への応用
 3.1 まえがき
 3.2 ホットストリップミルのルーパ制御
  3.2.1 ホットストリップミルラインの概要
  3.2.2 仕上圧延機制御の概要
  3.2.3 ルーパ制御
 3.3 H∞制御の適用
  3.3.1 制御系の設計
  3.3.2 ルーパ制御への適用方法
 3.4 実機への適用結果
 3.5 まとめ
第4章 ジェットエンジン制御への応用
 4.1 はじめに
 4.2 ジェットエンジンの制御
  4.2.1 ジェットエンジン
  4.2.2 ジェットエンジンの制御
  4.2.3 制御系設計の枠組
 4.3 H∞制御のためのジェットエンジンのモデル化
  4.3.1 モデル集合
  4.3.2 ジェットエンジンに対するモデル集合
  4.3.3 モデル集合の評価
 4.4 ジェットエンジンのシステム同定
  4.4.1 システム同定試験
  4.4.2 同定結果とその評価
 4.5 モデル集合の評価
  4.5.1 モデル集合の構造
  4.5.2 ノミナルモデル,パラメータ変動,および加法的な不確かさの評価
 4.6 定数スケーリングを用いたH∞コントローラの設計
  4.6.1 一般化プラントの設定
  4.6.2 定数スケーリング
  4.6.3 H∞コントローラの設計
 4.7 シミュレーションによる検証
 4.8 おわりに
第5章 宇宙構造物の制御への応用
 5.1 まえがき
 5.2 問題設定
 5.3 制御対象とそのモデリング
 5.4 制御系の設計
  5.4.1 外乱抑制制御系の設計
  5.4.2 ロバストサーボ系の設計
  5.4.3 2自由度制御器の設計
 5.5 実験結果
 5.6 まとめ
付録:(5.45)式の導出
第6章 鉄道車両用アクティブサスペンションへの応用
 6.1 まえがき
 6.2 アクティブサスペンションの概要
  6.2.1 鉄道車両の乗り心地とサスペンションの関係
  6.2.2 アクティブサスペンションの原理
  6.2.3 アクティブサスペンションへの制御理論の適用
  6.2.4 アクティブサスペンションの構成
 6.3 制御対象のモデリング
  6.3.1 車体運動のモデリング
  6.3.2 空気圧アクチュエータのモデリング
  6.3.3 制御対象モデルの状態方程式表現
  6.3.4 制御対象モデルの制御量および観測量
 6.4 H∞制御設計
  6.4.1 H∞制御設計の概要
  6.4.2 重みによる周波数整形とH∞標準問題との関係
  6.4.3 一般化プラントの修正
 6.5 実車両への適用
  6.5.1 制御対象モデルの同定
  6.5.2 H∞コントローラの設計
  6.5.3 走行試験の結果
 6.6 まとめ
付録
参考文献
索引

森 泰親

森 泰親(モリ ヤスチカ)

讃岐うどんで有名な香川県生まれです。小学生,中学生の頃は,臨海学習と称して,授業の一環で瀬戸内海の海水浴場にバスで泳ぎに行きました。6万石の丸亀城の脇にある県立丸亀高校を卒業して,早稲田大学に入学,ここで9年間学びました。

学位取得後すぐに東芝に入社し,総合研究所エネルギー機器研究所に配属されました。最初の仕事は,制御系設計CADシステムの開発でした。その後は,具体的な対象の制御系設計を担当しました。一番小さな対象は,CDプレーヤーの読み取りレーザー光の位置制御。大きな対象は,化学プラント。特殊な対象としては,試験衛星ETS-6でした。ETS-6の制御系設計では,航空宇宙技術研究所(NAL),宇宙開発事業団(NASDA)の研究員とチームを組んで取り組みました。

7年後に東芝を退職して大学の助教授になりました。定年退職するまでの30年間,大学において教育と研究に携わり,東芝での実務経験から,「技術は実際に適用されて評価される」を大切にしました。新しい設計理論の展開においても,具体的に制御対象を設定してから取り組みました。陸海空の乗り物と化学プラント,それにロボットを対象に,色々な制御手法を改良しながら適用しました。

学会活動においては,制御分野はもちろんのこと,計測自動制御学会SICE City委員会委員長,研究環 生きがい都市構築委員会委員長なども務めました。

興味対象が広くて,いろいろと手を出しては首を突っ込んだために,時間が足らない時期が長くありました。マレーシアで開催の委員会参加に,片道8時間,ホテル1泊で済ますこともしばしばで,当時は大変でしたが,これも楽しい思い出となりました。

趣味は,映画鑑賞と園芸です。しっかり,シニア料金で観に行きます。