母性と父性の人間科学

ヒューマンサイエンスシリーズ 4

母性と父性の人間科学

多義的な母性・父性という概念について動物学から社会学までのさまざまな立場から多角的・総合的に論じ,ヒトの母性と父性の問題について認識を深めるとともにわれわれの社会が今後,めざすべき方向性についても展望した。

ジャンル
発行年月日
2001/12/13
判型
B6
ページ数
230ページ
ISBN
978-4-339-07834-3
母性と父性の人間科学
品切・重版未定
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定価

1,870(本体1,700円+税)

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多義的な母性・父性という概念について動物学から社会学までのさまざまな立場から多角的・総合的に論じ,ヒトの母性と父性の問題について認識を深めるとともにわれわれの社会が今後,めざすべき方向性についても展望した。

1 生物学からみた母性と父性
 〔1〕 動物における母性と父性  1
  (a) はじめに  1
  (b) 母性行動の一般的特徴  2
  (c) 母性行動の雌雄差  11
 〔2〕 脳が司る母性―ラットの研究から―  16
  (a) はじめに  16
  (b) 母性行動を引き起こす感覚刺激  17
  (c) 脳におけるメカニズム  19
  (d) 脳とホルモン  22
  (e) 雄における母性行動の神経機構  22
  (f) ヒトの脳と母性  24
 引用・参考文献  26

2 霊長類としての人の母性・父性
 〔1〕 はじめに  31
 〔2〕 配偶関係の類型  32
  (a) 一夫一妻型配偶関係  32
  (b) 一夫多妻型配偶関係  34
  (c) 多夫多妻型配偶関係  34
 〔3〕 配偶関係の類型と母性・父性  35
  (a) 一夫一妻型配偶関係における母性・父性  35
  (b) 一夫多妻型配偶関係における母性・父性  36
  (c) 多夫多妻型配偶関係における母性・父性  37
 〔4〕 現代の先進国社会における人の母性・父性  38
  (a) 母性・父性の類型  38
  (b) 母性・父性の同質化  39
  (c) 母性・父性の変質  41
 〔5〕 おわりに  42
 引用・参考文献  45

3 日本史における母性・父性観念の変遷 ―中世を中心に―
 〔1〕 はじめに  47
 〔2〕 別居婚段階の母性・父性  48
 〔3〕 中世の同居婚における母性・父性  51
 〔4〕 中世の文芸に現れた母性・父性  56
 〔5〕 近世の母性と父性  60
 〔6〕 おわりに  62
 引用・参考文献  63

4 母親と父親についての文化的役割観の歴史
 〔1〕 はじめに  65
 〔2〕 発達研究と歴史的視点  67
 〔3〕 考えを組み立て、行為する個人の役割分類  68
 〔4〕 近世日本の子育て論における親のあり方  72
  (a) 親子関係のあり方の論議  73
  (b) 世代間にわたる親の影響力の論議  75
  (c) 家族生活をめぐる心情  78
 〔5〕 近代化過程での母親役割の強調  78
 引用・参考文献82

5 江戸の胞衣納めと乳幼児の葬法
 〔1〕 江戸の子どもの考古学  85
 〔2〕 江戸の胞衣納め  88
  (a) 将軍家・大名家の胞衣納めと江戸の胞衣埋納遺構  88
  (b) 江戸の胞衣納めの変遷  93
 〔3〕 江戸の乳幼児の葬法  96
 〔4〕 子育ての観念をめぐって  99
 引用・参考文献  101

6 ポスト近代的ジェンダーと共同育児
 〔1〕 はじめに  106
 〔2〕 父親による育児休業の取得  107
  (a) 育児休制度とその利用状況  107
  (b) 育休を取得した父親の実状  108
 〔3〕 育休を取得した父親たち  112
  (a) 育休・前史―育児時間取得への動き  112
  (b) 育休法成立・前史  114
  (c) 育休法成立以後  116
 〔4〕 男女共同参画社会とポスト近代的ジェンダー  127
  (a) ポスト近代と近代のはざま  127
  (b) 両親による共同育児と育児の社会化  129
 引用・参考文献  133

7 発達心理学からみた母性・父性
 〔1〕 はじめに  135
 〔2〕 子どもに対する行動・しつけ―母親と父親は違うのか?―  136
 〔3〕 親における子どもの価値―親にとって子どもとはなにか?―  138
 〔4〕 社会・文化の中の母親・父親、女性・男性―変化しつつある母親・女性、父親・男性は?―  142
  (a) 文化比較研究における日本の母親―母子一体観  142
  (b) 比較文化的日本の〈母子一体〉説への疑義と反証  143
  (c) 高学歴化と連動する母親/女性の変化―欧米化と個人化―  143
  (d) 〈社会―家族―個人の発達〉モデル  144
 〔5〕 役割・経験によって育つ子どもに対する行動と心―生物学的親と社会的親―  147
 〔6〕 母性・父性から親性、養護性へ  150
 〔7〕 「親となる」ことによる人格的成熟―親自身にとっての親役割の意味―  152
 〔8〕 自尊の根はなにか?―アンドロジニー社会へ―  152
 〔9〕 おわりに  156
 引用・参考文献  156

8 教育関係のエロス性と教育者の両性具有―教育学における母性・父性問題
 〔1〕 はじめに  160
 〔2〕 子育てに異性の二人の親は不可欠か  161
 〔3〕 教育学における母性・父性問題の扱い  165
 〔4〕 一九六〇年代の教育原理論における母性・父性問題―Langefeldと勝田守一  174
 〔5〕 教育者の脱エロス性と両性具有  179
 〔6〕 おわりに  183
  (a) 教育学では、母性・父性問題はこれまでほとんど主題化されなかった  183
  (b) 教育者に脱エロス性を求めるのはなぜか  184
  (c) 教師・生徒関係と親子関係とはどう違うのか  184
 引用・参考文献  185

9 同性愛の親における母性・父性
 〔1〕 ヒトにおける性の結びつきの多様性  187
 〔2〕 同性愛カップルの家族  189
 〔3〕 同性愛者の子の心理・行動特性  194
 〔4〕 おわりに  204
 引用・参考文献  206
 
索引  209

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