金属疲労 - 現象の理解から設計の基礎へ -
金属疲労の体系的理解にとどまらず,疲労設計を行う際に重要な「学識」を習得できる一冊
- 発行予定日
- 2026/10/下旬
- 判型
- B5
- 予定ページ数
- 124ページ
- ISBN
- 978-4-339-04725-7
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
金属疲労が関与する事故は,科学技術の発展する昨今においても後を絶たない。本書では,個別の知識の本質的理解だけではなく,「何を考えるべきか」を重視した解説により,堅実な実務を達成する十全な「学識」を養う。
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
金属疲労が関与する事故は,科学技術が進歩し,時代が移り変わってもなお後を絶たない。その一因として,疲労に関する「知識」は書籍やWebなどを通じて広く共有されている一方で,その知識を適切に活用するための「学識」が十分に継承されていないことが挙げられる。そもそも疲労に関する「知識」は,材料力学や材料工学といった複数分野の知識の習得を前提としており,個別の知識を断片的に理解するだけでは実務において適切に活用することが難しいという側面もある。
例えば,S-N曲線に関する知識を得て,それに基づいて疲労寿命を計算したとしても,実際には疲労破壊事故が生じる場合がある。重要なのは,単に式を知っていることではなく,「その式を適用してよい条件なのか」,「どのような前提のもとで用いるべきか」,「実際の使用条件がどのようなものであるか」を考えることである。こうした判断を支えるものこそが,本書でいう「学識」であり,疲労破壊事故の抑制には,この学識を次世代へ継承していくことが不可欠だと考えている。
本書は,疲労に関する知識を体系的に理解することに加え,疲労設計を行う際に「何を考えるべきか」を読者に伝えることを重視して執筆した。カバー裏面に示したイラストも,その考え方のイメージを表現したものである。疲労破壊の基本的なメカニズムを理解していたとしても,それだけで事故を完全に防ぐことは難しい。計算式や設計指針は,その適用範囲や前提条件を十分に理解したうえで用いる必要があり,その判断を誤ることが重大な事故を引き起こすこともある。
このような観点から,本書では,多くの専門書で解説されている知識そのものについての記述は必要最低限にとどめ,知識を得た後に「何を考えるべきか」という点に重点を置いた。また,通常の専門書とは異なり,1章から順を追って読み進めることで,読者が自然にその考え方を身につけられる構成としている。
本書が,疲労を「知る」だけでなく,「考える」ための一冊となれば幸いである。
2026年9月
公益社団法人 日本材料学会 疲労部門委員会
「金属疲労―現象の理解から設計の基礎へ―」編集小委員会
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.疲労設計の重要性
1.1 はじめに
1.2 疲労破壊事故の歴史と得られた教訓
1.2.1 はじめに
1.2.2 英国ジェット旅客機の疲労破壊事故
1.2.3 想定外の繰返し応力による疲労破壊
1.2.4 新しい技術の適用時に発生する疲労破壊事故
1.3 壊れないモノを設計するための基本概念
1.4 疲労設計の基本概念
引用・参考文献
2.材料の疲労特性を評価する方法
2.1 疲労領域の分類とその特徴
2.2 疲労試験の方法と関連する材料力学の基礎
2.3 疲労試験データの表し方
引用・参考文献
3.金属疲労のメカニズム
3.1 疲労亀裂の発生
3.2 応力集中と表面性状の影響(切欠き効果)
3.3 亀裂の開閉口挙動
3.4 疲労亀裂の停留
3.4.1 平滑材の疲労限度と停留亀裂
3.4.2 切欠き材の疲労限度と停留亀裂
コラム 10⁷回を超える領域,超高サイクル疲労
引用・参考文献
4.疲労特性に影響を及ぼすさまざまな因子
4.1 機械的特性との関係
4.2 応力集中と表面性状の影響(切欠き効果)
4.2.1 切欠きと疲労限度
4.2.2 表面の影響
4.3 微小欠陥・介在物の影響
4.4 寸法の影響(寸法効果)
4.5 平均応力と残留応力
4.6 変動荷重と組合せ応力
4.6.1 実働応力
4.6.2 実働応力波形の計数法
4.6.3 実働応力下の疲労寿命推定法
4.6.4 組合せ応力
4.6.5 多軸疲労強度特性
4.7 その他の影響因子(接触の影響,繰返し速度,応力波形,環境の影響)
4.7.1 接触の影響
4.7.2 繰返し速度,応力波形,環境の影響
引用・参考文献
5.良好な疲労特性を発現させるための方策
5.1 材料の選択
5.2 部品形状の設計
5.3 表面処理の導入
引用・参考文献
6.疲労設計の考え方
6.1 疲労設計の流れ
6.2 疲労限度設計と疲労寿命設計
6.3 疲労設計を行う際に考慮すべきポイント
6.3.1 作用応力および疲労強度の変動要因と安全率
6.3.2 設計に用いる応力
6.3.3 許容応力と設計 S-N 曲線
6.3.4 設計応力と許容応力の比較による仕様決定
6.4 規格から学ぶ疲労設計
6.4.1 溶接継手(日本鋼構造協会(JSSC)疲労設計指針(2012))
6.4.2 鉄道車軸(鉄道車輛工業会 JRIS D1201-1 鉄道車両-車軸強度-強度設計法,JRIS D1201-2 鉄道車両-車軸強度-疲労損傷評価法)
6.4.3 規格からわかること
6.5 疲労設計の実際:台車を支持する車軸の設計例
6.5.1 設計する車軸の概要
6.5.2 設計応力の算出
6.5.3 許容応力の設定
6.5.4 疲労設計
6.5.5 まとめ
引用・参考文献
索引








