航空機設計法 実践編 小型ジェット旅客機からハイブリッド電動航空機の概念設計まで

航空機設計法 実践編 - 小型ジェット旅客機からハイブリッド電動航空機の概念設計まで -

一般的な航空機の具体的な設計例を示すと共に,ハイブリッド電動航空機の概念設計法も解説

ジャンル
発行年月日
2020/01/27
判型
A5
ページ数
204ページ
ISBN
978-4-339-04663-2
航空機設計法 実践編 小型ジェット旅客機からハイブリッド電動航空機の概念設計まで
在庫あり

定価

2,970(本体2,700円+税)

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【書籍の特徴】
 本書は、前著「航空機設計法~軽飛行機から超音速旅客機の概念設計まで~」の続編です。本書の特徴は、次の3点です。
1)前著の概念設計手法を用いて120名乗り小型ジェット旅客機の概念設計を行います。設計に必要な推算支援ツールを提供します。このツールを使うと、任意の乗客数のジェット旅客機の概念設計も行うことができるようになります。
2)本書の手法を形態や機能の異なる新型航空機の概念設計に適用する具体例として、近年注目をあびている地球温暖化防止を目指したハイブリッド電動航空機の概念設計法を説明します。
3)航空機を作るためには、空調機器等の装備品(航空機システムと呼ばれる)についても把握する必要があります。航空機システムが概念設計結果に与える影響も含めて、その全体像を説明します。

【各章について】
 本書は、第I部(1章~6章)、第II部(7章、8章)、第III部(9章、10章)、各章終わりのコーヒーブレイクと付録から構成されています。
 第I部では、前著の概念設計手法を用いて、120名乗り小型ジェット旅客機の概念設計を行います。前著の式番号を明記しながら、一歩一歩設計作業を行います。前著を読了していることが前提条件となりますが、設計要求を満たす航空機の機体三面図を描くまでの流れを把握することができます。設計計算のために、読者へ表計算ソフトを活用した推算支援ツールを提供します。第I部の設計例のためにツールに与えた数値は本文中にまとめました。よって、読者は第I部の概念設計作業を実際に行えます。読者の責任の下で、このツールを自由に応用できますので、任意の乗客数のジェット旅客機の概念設計を行えます。この点が、本書の最大の特徴です。
 第II部では、本書の概念設計法を機体の形態や機能が異なる航空機に適用します。形態が異なる機体の設計法については、前著の15章で説明しました。この第II部では、機能が異なる航空機の例として、地球温暖化防止につながる電動航空機を取り上げます。この機体は、各所で検討されていますが、まだ機体の概念設計法は確立していません。本書ではジェットエンジンと電動モーターを併用するハイブリッド電動航空機をとりあげ、その概念設計法について説明します。第II部を通じて、通常の航空機との概念設計法の違いについて学べます。
 第III部では、航空機システムを取り上げます。航空機システムとは、飛行に必要とされる、例えば空調系統や電気系統など、ハードウェア(装備品)と制御ソフトウェアの総称です。航空機の価値の約1/3は、この航空機システムだと言われています。和書で、航空機設計の視点から航空機システムについて詳述したのは、本書が初めてだと思います。
 各章の終わりには前著と同じく「コーヒーブレイク」があります。実際の航空機開発の場面で遭遇するさまざまな話題を取り上げると共に、前著と同様に航空機の運用に関する話題も紹介しました。各章読了毎に一休みするタイミングで目を通してください。

拙著「航空機設計法──軽飛行機から超音速旅客機の概念設計まで──」を上梓してから8年が経過したが,お蔭様で多くの方に受け入れていただいたと聞いている。もともとは東京大学工学部航空宇宙工学科の学部3年生後半から4年生前半までの1年間をかけて講義している「航空機設計法」で使用する学部学生向けの教科書として刊行されたわけであるが,企業や研究所の現場で実務に携わっておられる方々にも使用していただけたのは望外な喜びであり,大変有り難く感謝している次第である。一方で,上記教科書(以降,「前著」と呼ぶ)は,ページ数の制約の関係で,1年間の講義内容のすべてを盛り込むことはできなかった。特に二部構成の後半部分(Ⅱ部注)の記述は,設計の考え方と進め方を紹介する程度になり,具体的な設計データや設計例を紹介することができなかったため,心苦しく思っていた経緯がある。

本書は,前著の続編として,具体的な設計例を示すことで,学部レベルではあるが,読者に航空機概念設計の全体を把握していただくとともに,設計例を参考にして,機体規模や形態の異なる航空機についても設計例と同様な概念設計を行っていただくことを目的としている。そこで,本書を「航空機設計法実践編」と名付けることとした。

ところで,前著刊行時には,わが国初めてのジェット旅客機MitsubishiSpaceJet(旧称MRJ)の開発がすでに始まっていたが,まだ実際には機体は飛行していない状況であった。それが現在では,型式証明を得るための飛行試験を行う段階に至っている。このような認証に至る過程で,航空機設計と開発に際して考慮すべき多くの事項が新たに判明してきている状況でもある。そこで,本書では,これらの最新の航空機開発を取り巻く実情を多少なりとも読者に掴んでもらうことを考え,各章の末尾に掲載する「コーヒーブレイク」にて紹介することとした。なお,「コーヒーブレイク」では,前著と同じく航空機の運用に関する話題も,今回はおもに計器飛行に関連した話を中心にしていくつか紹介している。

本書は,三部構成となっている。Ⅰ部では,前著のⅠ部とⅡ部で紹介した概念設計の流れを初めから具体例を挙げて示している。前著を読了した読者を対象とするため,前著に記載した内容の細かい説明は省いてある。設計例として,わが国で将来開発が行われることが期待される小型ジェット旅客機を取り上げた。前著で詳しくは掲載できなかった設計推算手法や設計データについては付録に記載するとして,I部では設計の流れを示すことに集中した。ただし,付録Aは前著で記すことのできなかった機体の空力特性推算法を詳細に述べているので,これを参照しながら読み進めていただきたい。II部では,「新型航空機に対する概念設計手法の適用」と題して,I部で取り上げた一般的な機体とは異なる形態や機能を有する新型航空機について概念設計を行う考え方を理解してもらうことを目的とした。そのために,将来の環境適合型航空機として現在注目されているハイブリッド電動航空機を具体例に取り上げて紹介する。III部では,「航空機システムの考慮」と題して,航空機システムとも呼ばれる航空機に用いられる数多くの装備品に関する事柄を取り上げる。航空機を開発し認証を得るためには,機体やエンジンの開発だけではなく,この航空機システムの開発が非常に重要な要素となっている。ここでは,航空機システムの概要を述べるとともに,機体の概念設計と航空機システムの関連についても説明する。 ところで,I部の前半の設計作業は手計算で設計作業を行うことが十分に可能であるが,後半は作業量が多いために,各種の設計支援ツールを用意した。詳しくは付録Cで説明しているが,I部の設計作業で実際に用いたツールを読者に提供している。具体的には,コロナ社Web サイトの本書の紹介ページより入手できるようにしているが,ツールを使用したことによる結果の影響については一切の責任を負いかねるので,読者の責任においてのみの利用としていただきたい。

本書の内容が,将来の航空機設計開発に携わりたいと考えている学生諸氏ならびに若い技術者の方々に少しでも役立てば幸いである。
2019年11月 李家 賢一 

Ⅰ部 航空機概念設計の詳細~小型ジェット旅客機を例にとって~
1.設計要求と機体一般配置の決定
1.1 設計要求
1.2 機体一般配置の決定
コーヒーブレイク 認証取得

2.主要諸元の決定(第1次)
2.1 最大離陸重量の見積り
2.2 主翼面積とエンジン推力の見積り
 2.2.1 揚抗比と抵抗の推算
 2.2.2 離陸性能のサイジング
 2.2.3 着陸性能のサイジング
 2.2.4 上昇性能のサイジング
 2.2.5 巡航性能のサイジング
 2.2.6 サイジングプロット図
コーヒーブレイク 航空機開発で直面する「死の谷」

3.初期機体三面図の描画に向けた作業
3.1 胴体設計
3.2 主翼
 3.2.1 主翼断面形状
 3.2.2 主翼平面形状
3.3 尾翼
 3.3.1 水平尾翼
 3.3.2 垂直尾翼
3.4 重量推算
3.5 初期機体三面図の描画,重心位置と脚配置の決定
コーヒーブレイク 新しいパイロットライセンスMPL

4.全機空力特性の推算
4.1 巡航時揚力の推算
 4.1.1 揚力傾斜と零揚力角の見積り
 4.1.2 最大揚力係数の見積りと揚力曲線の描画
4.2 高揚力装置の特性推算
 4.2.1 後縁フラップ
 4.2.2 前縁フラップと揚力曲線の描画
4.3 抵抗推算
 4.3.1 有害抵抗
 4.3.2 誘導抵抗
 4.3.3 抵抗推算のまとめと抵抗-揚力曲線の描画
コーヒーブレイク 操縦に必要な計器の配置

5.主要諸元の決定(第2次)
5.1 エンジン性能曲線の見積り
 5.1.1 ターボファンエンジンの寸法と重量
 5.1.2 エンジン性能曲線
5.2 第2次サイジングとカーペットプロットの描画
5.3 第2次サイジング結果の吟味
コーヒーブレイク VOR航法装置を用いた飛行

6.機体性能評価と機体三面図の見直し
6.1 機体の性能推算
 6.1.1 エンジンの推力と最大飛行速度
 6.1.2 上昇性能
 6.1.3 巡航性能
 6.1.4 離着陸性能
6.2 機体三面図の見直し
6.3 設計結果の吟味
コーヒーブレイク 空港へのVORアプローチ

Ⅱ部 新型航空機に対する概念設計手法の適用~ハイブリッド電動航空機を例にとって~
7.地球温暖化防止を目指したハイブリッド電動航空機について
7.1 はじめに
7.2 地球温暖化防止に向けて
7.3 ハイブリッド電動航空機の分類
7.4 完全電動航空機の機体成立性の検討
 7.4.1 完全電動航空機による飛行を可能とするバッテリーの重量
 7.4.2 完全電動航空機に搭載されるバッテリーの性能について
 7.4.3 完全電動航空機の成立性検討のためのパラメトリックスタディ
コーヒーブレイク 機体整備

8.ハイブリッド電動航空機の概念設計法と設計例
8.1 ハイブリッド電動航空機の推進系統の考慮
 8.1.1 推進方式の検討と選定
 8.1.2 本章で概念設計する機体の推進方式の設定
8.2 ハイブリッド電動航空機の概念設計法
 8.2.1 ハイブリッド電動航空機の推進系統の各種効率
 8.2.2 ハイブリッド電動航空機の推進系統の重量と寸法の推算
 8.2.3 概念設計手法
8.3 概念設計例
コーヒーブレイク ICAO騒音規制

Ⅲ部 航空機システムの考慮
9.航空機システムとは
9.1 航空機システム
 9.1.1 飛行制御系統
 9.1.2 エンジン制御系統と燃料系統
 9.1.3 航法通信機器系統
 9.1.4 電気系統と灯火
 9.1.5 油圧系統と降着装置(脚)
 9.1.6 高圧空気系統,防氷系統,空調系統
 9.1.7 緊急時対応(酸素系統,防火系統,RAT)
 9.1.8 補助動力装置(APU)
9.2 2次動力とは
9.3 航空機システムの開発プロセス
9.4 More Electric Aircraft:MEA
コーヒーブレイク ファミリー機体の開発

10.2次動力システムの構成と概念設計への影響
10.1 2次動力システムの構成
 10.1.1 空調系統(ECS)
 10.1.2 防氷系統(IPS)
 10.1.3 油圧系統
 10.1.4 電気系統
 10.1.5 エンジン補機
10.2 航空機概念設計への影響
 10.2.1 概念設計に影響する三つの要素
 10.2.2 2次動力システムを考慮に入れた概念設計手法
 10.2.3 2次動力システムの影響(電動化されたECSの場合)
 10.2.4 層流制御システムを取り入れた航空機に対する適用
コーヒーブレイク 機体開発に関わる航空機産業の構成

付録A 機体に働く揚力と抵抗の推算方法
A.1 巡航時揚力の推算
 A.1.1 揚力傾斜と零揚力角の見積り
 A.1.2 最大揚力係数の見積りと揚力曲線の描画
A.2 高揚力装置使用時の揚力推算
 A.2.1 後縁フラップ
 A.2.2 前縁フラップと揚力曲線の描画
A.3 抵抗推算
 A.3.1 有害抵抗
 A.3.2 誘導抵抗

付録B エンジン性能曲線の見積り

付録C 表計算ソフトを活用した各種推算支援ツール
C.1 推算支援ツールの種類
C.2 空力特性推算支援ツールの使用法
 C.2.1 ツール全般に対する注意事項
 C.2.2 「必要推力推算シート」に関する特記事項
C.3 第2次サイジング用推算支援ツールの使用法
C.4 本書で使用したデータ

付録D 加速停止距離の見積り
D.1 エンジン一発停止後に離陸を続行する場合の離陸距離
 D.1.1 離陸滑走距離
 D.1.2 上昇への遷移に要する距離と離陸上昇距離
D.2 エンジン一発停止後に滑走路上で停止するまでの停止距離

おわりに
引用・参考文献
索引

李家 賢一(リノイエ ケンイチ)

東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。工学博士。
東京大学工学部助手、科学技術庁航空宇宙技術研究所主任研究官を経た後、現在東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授として、航空機概念設計と航空流体力学に関する教育、研究に従事。2013年度日本航空宇宙学会長、英国王立航空学会フェロー。

「航空技術」2020年2月号

掲載日:2020/05/11

「月刊 トライボロジー」2020年5月号広告

掲載日:2020/03/23

「日本航空宇宙学会誌」2020年3月号広告

掲載日:2020/03/16

第58回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン総合シンポジウム講演要旨集広告

掲載日:2020/02/07

読売新聞広告掲載(2020年2月7日)

掲載日:2020/02/05

「日本機械学会誌」2020年2月号広告

掲載日:2020/01/31

日刊工業新聞広告掲載(2020年1月31日)