現代制御論

現代制御論

本書は,株式会社昭晃堂から発行されていた「現代制御論」(ISBN978-4-7856-9049-6)を,コロナ社が継続して発行したものである。

ジャンル
発行年月日
2014/09/30
判型
A5
ページ数
228ページ
ISBN
978-4-339-03212-3
現代制御論
在庫あり

定価

4,070(本体3,700円+税)

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本書は,株式会社昭晃堂から発行されていた「現代制御論」(ISBN978-4-7856-9049-6)を,コロナ社が継続して発行したものである。

はじめに

近年,機械システム,電気システム,化学システムなど,システムの種類を問わず,そのハードウェアだけでなく,それを運用,制御するソフトウェアの重要性と有効性が,広く認識されるようになってきた. たとえばメカトロニクスの分野では,機械システムの設計段階から,その制御を念頭におき,その機能を最大限に発揮できるように検討されるようになりつつある. この運用,制御のための主要な工学体系の一つが,制御工学ないし制御理論と呼ばれるものである.

本書の目的は,この制御工学の内でも現代制御理論と呼ばれる,制御工学の比較的新しい分野の基礎を,体系的に分かりやすく講述することである. 詳細な論理的一貫性よりは,基本的な概念や考え方を理解していただくように努力したつもりである. 重要な概念やアルゴリズムを述べる場合には,その物理的,直感的な意味あいを説明するとともに,できる限り数値例を挙げて,それらの理解が容易となるようにつとめた. また各主各節で取り上げた内容の相互関係についても,できる限り説明を加えるとともに,その配置に注意を払った. さらに他の数学などの参考書を見なくても読み進めるように,本書で必要となる数学的な事項は付録にまとめるようにした.

本書は,最後の9章を除いては,著者らが過去5年間にわたり,京都大学工学部の学部学生を対象として講義してきた内容をもとにまとめたものである. 学部第3学年の後期後半(2,3章)および第4学年前期(4~8章)を使って講義してきたものである. また9章の「H_∞最適制御」は,最近研究が急速に進んできた現代制御論の重要なテーマであり,今後種々の分野に応用が期待される考え方であるので,その最も基本的な概念と成果を入れることにした. 執筆は,1~7章と8. 3節を吉川が担当し,8章(8. 3節を除く)と9章を井村が担当した. なお上述の現代制御理論の講義に先立ち,第3学年前期と第3学年の後期前半は古典制御理論の講義にあててきた. その内容については本書の姉妹編「制御工学基礎論」(岩井壮介著)を参照されたい.

このような本書執筆の経過からもわかるように,もともと大学学部の3年,4年の学生用の教科書としての性格をもっているが,これから現代制御理論を応用しようとする現場の技術者が独習するための参考書としても,適しているものと考えている.

出版にあたっては,多くの方々にお世話になった. 研究室の学生諸君,特に,栗栖正充君,岡崎安直君,寺西正俊君,前川清石君,細原邦昭君,村井雅彦君らにはTEX原稿の入力などで,また岡本球夫君,小池雅司君,春名隆志君,細谷徳男君,水野光政君らには原稿の校正でご協力いただいた. さらに講義を受けた学生諸君には,まちがいの多い講義プリントで迷惑をおかけしたことと思う. 本書の2,3章中には,コロナ社発行の「制御工学」(菅井ほか著,1979)において吉川が担当した8章,現代制御理論,と重複する部分があることをお断りしておくとともに,快くこれを許可していただいたコロナ社に謝意を表する. 原稿の完成が予想外に遅れたが,この間忍耐強く待っていただいた昭晃堂の小林孝雄氏にも厚くお礼を申し上げる.

1994年6月
著者

本書を発行していただいていた昭晃堂が2014年6月に解散したことに伴い,この度,コロナ社より継続出版していただくことになった. 昭晃堂において1994年8月の1刷発行から21刷まで、に至ったが,引き続き多くの方にご拝読いただき役に立つならば,著者としてこの上ない喜びである.

2014年8月
著者

1. 現代制御論序説

2. 状態方程式
2.1 状態変数とシステムの状態方程式表現
2.2 状態方程式の解
2.3 遷移行列の算出
2.4 伝達関数と状態方程式
2.5 非線形システム,時変システム,および離散時間システム
演習問題
付録A:数学的準備

3. 可制御性と可観測性
3.1 可制御性
3.2 可観測性
3.3 同値変換
3.4 正準分解
3.5 時変システム
演習問題

4. 伝達関数行列と状態方程式表現
4.1 伝達関数行列
4.2 実現問題
4.3 最小実現
4.4 最小実現のアルゴリズム
演習問題

5. 安定性
5.1 線形システムの安定性
5.2 フルビッツの安定条件
5.3 リヤプノフの安定性理論
5.4 線形システムに対するリヤプノフの安定定理
5.5 安定性と可観測性
演習問題
付録B:フルビッツの安定条件の証明

6. 極配置
6.1 状態フィードバックによる極配置問題
6.2 状態フィードバックによる1入力システムの極配置
6.3 状態フィードバックによる多入力システムの極配置
演習問題

7. オブザーバ
7.1 状態オブザーバの定義
7.2 同一次元状態オブザーバ
7.3 最小次元状態オブザーバ
7.4 線形関数オブザーバ
7.5 状態フィードバック則とオブザーバの結合
演習問題

8. 最適制御
8.1 最適制御問題
8.2 動的計画法
8.3 最適レギュレータ
8.4 最小原理
演習問題

9. H∞最適制御
9.1 H∞ノルムの定義
9.2 H∞標準問題
9.3 H∞ノルムとリカッチ代数方程式
9.4 状態フィードバックによるH∞制御問題の解
9.5 出力フィードバックによるH∞制御問題の解
演習問題
付録C:小ゲイン定理および補題9.3,定理9.2の証明

参考文献
演習問題略解
索引

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井村 順一(イムラ ジュンイチ)