音・振動のスペクトル解析
本書は,ディジタル信号処理で重要なスペクトル解析法の基礎を,物理的意味も含め,系統的に解説した。そのために必要な線形代数などの数学的な準備も最小限盛り込み,基礎から例題を用いた応用までを簡潔に記述している。
- 発行年月日
- 1999/03/08
- 判型
- A5
- ページ数
- 346ページ
- ISBN
- 978-4-339-01105-0
- 内容紹介
- 目次
本書は,ディジタル信号処理で重要なスペクトル解析法の基礎を,物理的意味も含め,系統的に解説した。そのために必要な線形代数などの数学的な準備も最小限盛り込み,基礎から例題を用いた応用までを簡潔に記述している。
1. 最尤推定法の基礎
1.1 統計的推測
1.1.1 確率密度関数と正規分布
1.1.2 多変量の場合の正規分布
1.1.3 点推定
1.2 推定量としての望ましい性質
1.2.1 不偏性
1.2.2 有効性とクラメル・ラオの不等式
1.2.3 クラメル・ラオの不等式の証明
1.2.4 母平均または母分散を推定するときのクラメル・ラオの下界
1.2.5 パラメータベクトルΘに関するクラメル・ラオの下界
1.2.6 一致性
1.3 最尤推定法
1.3.1 尤度
1.3.2 最尤推定法の計算
1.3.3 尤度方程式の数値的解法
1.3.4 最尤推定量と最小二乗法との関係
引用・参考文献
2. 線形代数の基礎
2.1 最小二乗法
2.1.1 データの最小二乗整合
2.1.2 多入力1出力系における最小二乗法のベクトル・行列表現
2.1.3 重相関係数とコヒーレンス関数、偏相関係数
2.2 ベクトル空間
2.2.1 列空間R(X)
2.2.2 左零空間N(XT)
2.2.3 零空間N(X)
2.2.4 行空間R(XT)
2.2.5 基底変数と自由変数
2.2.6 階数と次元
2.2.7 直交補空間とベクトルの分解
2.3 射影と最小二乗法の幾何学的意味
2.3.1 直線への射影
2.3.2 部分空間への射影
2.3.3 射影行列
2.3.4 正規直交と正規直交行列
2.3.5 QR分解
2.3.6 最小ノルム最小二乗解と疑似逆行列
2.3.7 特異値分解
2.3.8 重み付き最小二乗法
2.4 行列の固有値展開
2.4.1 行列の固有値展開と波形解析との関係
2.4.2 2次元平面での座標軸の回転
2.4.3 M次元空間における座標軸の回転
2.4.4 固有値展開と第1軸の決定方法
2.4.5 固有値展開における第2軸以降の成分の決定方法
2.4.6 固有値と固有ベクトルの性質
2.4.7 行列の対角化と分解
2.4.8 スペクトル定理による行列の分解
2.4.9 固有値展開と特異値分解との関係
2.4.10 だ円を表す2次多項式と行列の回転
2.4.11 振動問題と固有値
引用・参考文献
3. パターン認識の基礎
3.1 正規分布
3.2 マハラノビス距離
3.3 ベイズ決定規則による2群の判別
3.4 正規分布の場合のベイズ識別関数
3.4.1 一般の場合
3.4.2 2クラスの共分散行列が等しい場合
3.4.3 共分散行列が単位行列に等しいとき
3.5 線形識別関数
3.5.1 線形識別関数とその最適化
3.5.2 線形識別関数を設計するための目的関数
3.5.3 フィッシャー比の最大化による線形識別関数の設計
引用・参考文献
4. z変換の基礎
4.1 z変換の定義と性質
4.2 複素指数減衰波のz変換
4.3 z変換とラプラス変換との関係
4.3.1 ラプラス変換
4.3.2 標本化系列のラプラス変換
4.3.3 標本化系列のz変換
引用・参考文献
5. 離散的フーリエ変換の基礎
5.1 はじめに
5.2 離散的フーリエ変換
5.2.1 離散的フーリエ変換の定義
5.2.2 連続スペクトルと離散的フーリエ変換の関係
5.2.3 z変換と離散的フーリエ変換との関係
5.2.4 関数近似としてのフーリエ変換
5.3 離散的逆フーリエ変換
5.4 時間窓と零点付加後の離散的フーリエ変換
5.4.1 矩形窓
5.4.2 零点を付加したときの離散的フーリエ変換のスペクトル
5.4.3 零点を付加してからフーリエ変換することの物理的意味
5.4.4 ガウシアン窓
引用・参考文献
6. パラメトリック伝達系モデル
6.1 有理形線形伝達系モデル
6.2 相関関数とその性質
6.3 パワースペクトルとその性質
6.4 三つの伝達系モデル
6.4.1 移動平均モデル
6.4.2 自己回帰モデル
6.4.3 自己回帰移動平均モデル
6.5 全極モデルと複素指数減衰波
6.6 実数減衰正弦波の特性と帯域幅
6.7 LCR電気回路と極零モデルの対応
6.7.1 モデルと運動方程式
6.7.2 連続系での伝達関数
6.7.3 離散系の伝達関数
6.7.4 伝達関数の特性の物理的意味
引用・参考文献
7. 自己回帰モデルのスペクトル推定
7.1 自己回帰モデルの推定
7.1.1 全極モデルの極とスペクトルの算出
7.2 Pronyの方法
7.3 複素指数減衰波の振幅の決定
7.4 最尤推定法による自己回帰モデルの推定
7.4.1 定常区間の駆動信号の確率表現
7.4.2 過渡応答区間の駆動信号の確率表現
7.4.3 尤度の最大化
7.4.4 最尤推定値のクラマル・ラオの下界
7.5 自己回帰モデルの次数の推定法
7.6 スペクトル包絡の整合としての自己回帰スペクトル推定
7.7 特異値分解を用いた高精度化
7.8 total least squares法による線形予測分析
7.9 total least squares法の幾何学的意味
引用・参考文献
8. 扁相関関数によるスペクトル推定
8.1 前向き予測と後向き予測
8.2 直交性原理
8.3 再帰的推定と後向き予測の導出
8.3.1 1次の前向き予測の幾何学的意味
8.3.2 2次の前向き予測のおける1次の後向き予測とその意味
8.3.3 m次の前向き予測における(m-1)次の後向き予測
8.3.4 偏相関係数とm次前向き予測の再帰的表現
8.3.5 信号が定常であるときの再帰的表現
8.4 前向きモデルと後向きモデルの諸量とそれらの計算
8.4.1 前向き予測モデルと後向き予測モデルのパワースペクトル
8.4.2 共分散・自己相関関数による偏相関係数の計算方法
8.4.3 信号が定常な場合の偏相関係数の物理的意味
8.5 リビンソンのアルゴリズム
8.6 偏相関係数に関する行列・ベクトル表現
8.7 無損失音響管モデルとの対応
8.7.1 各音響管内の粒子速度の伝搬
8.7.2 出力端と駆動端における境界条件
8.7.3 標本化信号に関する音管の伝達関数
8.7.4 偏相関係数と音響管モデルにおける反射係数との関係
引用・参考文献
9. 伝達関数とコヒーレンス関数の推定
9.1 伝達系の信号の定義
9.2 伝達関数の推定
9.3 コヒーレンス関数とその物理的意味
9.3.1 振幅二乗コヒーレンス関数
9.3.2 複素コヒーレンス関数
9.3.3 コヒーレンス関数による信号対雑音比の評価
9.4 クロススペクトル法による伝達関数推定の利点
9.5 入力端にも雑音がある場合のコヒーレンス関数
9.6 コヒーレンス関数推定の確率分布
9.7 繰り返し信号の再現性評価関数
9.8 心臓壁振動に非侵襲計測データへの適用例
引用・参考文献
10. 遅延時間計算
10.1 信号モデル
10.2 時間領域での遅延時間計測とその問題点
10.3 コヒーレンス関数による遅延時間計測
10.3.1 Rothによる方法
10.3.2 コヒーレンスによる重み付け方法(SCOT)
10.3.3 位相のみを用いる方法(PHAT)
10.3.4 最尤推定法による方法
10.4 動脈の圧力波伝搬速度のin vivo計測への応用
10.4.1 動脈壁の微小振動の計測
10.4.2 圧力波伝搬速度の計測
引用・参考文献
11 時間・周波数解析の基礎
11.1 瞬時周波数と波形
11.2 解析信号とヒルベルト変換
11.3 短区間フーリエ変換とスペクトログラム
11.4 ウェーブレットとスカログラム
11.5 ウィグナー・ビレ分布
11.5. ウィグナー・ビレ分布の特性
11.5.2 ウィグナー・ビレ分布の平滑化
11.5.3 あいまい関数
11.5.4 核関数
11.5.5 時間-周波数分布の統一的表現
11.5.6 平滑化疑似ウィグナー・ビレ分布
11.5.7 ウィグナー・ビレ分布からの信号の再構成
11.6 スペクトログラムとウィグナー・ビレ分布との関係
11.7 スカログラムとウィグナー・ビレ分布との関係
引用・参考文献
索引