セルプロセッシング工学 (増補) - 抗体医薬から再生医療まで -

セルプロセッシング工学 (増補)- 抗体医薬から再生医療まで -

  • 高木 睦 北大名誉教授 博士(工学) 編著
  • 岩井 良輔 岡山理科大フロンティア理工学研究所講師 博士(工学)

学生はもちろん技術者にも役立つ,動物細胞培養と抗体医薬を学ぶ最良の一冊!

  • 口絵
ジャンル
発行年月日
2022/01/05
判型
A5
ページ数
230ページ
ISBN
978-4-339-06763-7
セルプロセッシング工学 (増補) - 抗体医薬から再生医療まで -
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定価

3,410(本体3,100円+税)

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本書は2007年10月刊行の『セルプロセッシング工学―抗体医薬から再生医療まで―』に,最近14年間の最新の研究結果を追加して案内した増補版である。移植用細胞の効率的培養技術や自動培養技術,非侵襲的細胞品質評価技術を含めたセルプロセッシング工学の基礎から最先端までを解説。増補版では再生医療にも貢献し得る自己組織化をはじめとした新しい基礎技術の解説を加えた。

【読者対象】
・動物細胞培養工学や再生医学を勉強しようとする学生
・医薬品開発や再生医療・細胞医療開発に携わる技術者

医薬品は主として化学合成か生合成により生産されるが,ヒト体内に存在する生理活性物質(タンパク製剤)が1980年代から医薬品として注目されると,その高次構造と糖鎖の維持の必要性から動物細胞培養が医薬品の生合成の手段として重要となった。さらに種々の抗原に対する抗体が優れた医薬品として数多く開発,上市されるにつれて2000年前半から動物細胞培養技術の需要は飛躍的に高まった。

他方,ヒト胚性幹細胞(ES細胞)に代表される再生医療の基礎研究が1990年代から急速に進歩し,加えてiPS細胞が2006年に登場するにおよび,それらを応用した細胞移植および再生医療の実用化も進みつつある。

これら抗体医薬を含む生理活性医薬品製造や移植用の再生組織や幹細胞の製造技術の中心は,動物細胞の培養である。すなわち,動物細胞を大量に培養し,得られた細胞の機能を利用して,種々の物質生産を行わせたり,体内に生着させたりして医療目的を達成する。このような動物細胞の培養プロセスで成功するためには,安定性や経済性だけでなく安全性にも十分に配慮しなければならない。

そのためには,プロセスの目的を明確にした上で,培養に用いる細胞,培地および担体を的確に選択する必要がある。さらに,培養の効率化を図るとともに,経済性,安定性,安全性を満たす大量培養プロセスの設計と計測,制御システムの確立が必要となる。

細胞移植医療や再生医療では生理活性医薬品と異なり,培養する細胞そのものがヒトに投与されるため,いっそう高度かつ安全な動物細胞培養技術が要求される。そのため,移植用細胞特有の効率的培養技術のほか,自動培養技術や非侵襲的細胞品質評価技術が必要となる。これらの新しい工学的課題を含めた動物細胞培養工学全体が本書のタイトルでもあるセルプロセッシング工学である。

本書は2007年10月刊行の『セルプロセッシング工学―抗体医薬から再生医療まで―』に,最近14年間の最新の研究結果を追加して案内した増補版である。追加項目には,受精卵から細胞凝集,組織・臓器形成,そして生体をなし維持するまでの細胞のダイナミックな自発的変化である「自己組織化」(4章)をとりあげた。その他にも新規な追加項目としてはエクソソームの利用(3.9節),スキャフォールドフリー培養による軟骨様組織作成と保存(5.5節),マイクロキャリアを用いた間葉系幹細胞の効率的培養(6.2節),不織布担体を用いた間葉系幹細胞培養と播種方法(6.3節),細胞透過光の位相差分析による細胞周期識別(7.4.5項),細胞透過光の位相差分析によるがん細胞識別(7.4.6項),組織特異的分泌物の定量による非侵襲的分化評価(7.4.7項)をとりあげ,読者が新しい成果を理解しやすいように,他の項目に比べてより具体的に説明した。

本書は,大学の学部や大学院博士前期(修士)課程あるいは専門学校などで動物細胞培養工学や再生医学を勉強しようとする学生にその基礎を学ぶために有用であるが,実際の医薬品開発や再生医療・細胞医療開発の現場に直面している技術者にとっても問題解決に役立つものと考えている。さらに,一部で産業化が始まったばかりの細胞移植医療や再生医療ゆえ,今後現れるセルプロセッシング工学の新たな課題の解決にも本書はその手掛かりとして有効であろう。

2021年12月
編著者 髙木 睦

1.動物細胞培養の基礎
1.1 動物細胞培養の産業応用
1.2 動物細胞培養の歴史
1.3 動物細胞の構造
1.4 動物細胞の種類と接着依存性
1.5 動物細胞培養と微生物培養との差異
1.6 細胞の入手,保存,輸送
1.7 培養解析のための顕微鏡観察方法
 1.7.1 倒立型位相差顕微鏡観察
 1.7.2 蛍光顕微鏡観察
 1.7.3 共焦点レーザー顕微鏡
 1.7.4 その他の新規な顕微鏡
1.8 培養解析のための細胞定量分析方法
 1.8.1 計数法
 1.8.2 タンパク質定量法とMTTアッセイ法
 1.8.3 コロニー形成法
 1.8.4 フローサイトメトリー
 1.8.5 アポトーシス細胞の割合分析
 1.8.6 細胞周期の分析
 1.8.7 細胞増殖活性(DNA前駆体取り込み法)
 1.8.8 オンライン分析
1.9 細胞増殖の速度論
1.10 継代培養
1.11 培地供給から見た培養形式と物質収支式

2.培養材料設計
2.1 培地設計
 2.1.1 細胞増殖に必要な物質
 2.1.2 基本合成培地の意義
 2.1.3 血清の問題点と解決策
2.2 担体設計
 2.2.1 細胞接着過程
 2.2.2 細胞接着が細胞に与える影響
 2.2.3 接着担体としての細胞外マトリックス
 2.2.4 接着担体としての人工高分子や天然高分子
 2.2.5 接着担体の化学修飾
 2.2.6 接着担体表面への糖リガンドの提示
 2.2.7 接着担体の形状

3.大量培養技術
3.1 大量培養器の形式
3.2 せん断力と攪拌培養槽
3.3 培地交換と浮遊攪拌培養
3.4 溶存酸素制御
 3.4.1 溶存酸素制御の重要性
 3.4.2 培養に適した溶存酸素濃度
 3.4.3 溶存酸素濃度の計測
 3.4.4 溶存酸素供給の速度論
 3.4.5 酸素移動容量係数kLaの測定
 3.4.6 溶存酸素消費速度OURの計測
 3.4.7 動物細胞攪拌培養における溶存酸素供給法
 3.4.8 溶存酸素濃度の制御
 3.4.9 細胞沈降層における溶存酸素供給
3.5 温度,pHの影響
3.6 浸透圧の制御
 3.6.1 培地浸透圧の調整
 3.6.2 動物細胞培養に与える浸透圧の影響
 3.6.3 浸透圧制御によるタンパク質生産性の向上
3.7 静圧の影響
3.8 アポトーシスの制御
 3.8.1 アポトーシスとは
 3.8.2 動物細胞へのアポトーシス耐性の付与
 3.8.3 アポトーシスにおける活性酸素
 3.8.4 活性酸素の制御によるアポトーシス低減化
3.9 エクソソーム利用の可能性
 3.9.1 エクソソームとは
 3.9.2 CHO細胞連続培養におけるエクソソーム利用の可能性
3.10 工業化の例(tPA生産)
 3.10.1 ティッシュプラスミノーゲンアクティベータ(tPA)とは
 3.10.2 培養工程(汚染防止)
 3.10.3 培養工程(継代培養設計)
 3.10.4 培養工程(基本的培養条件の設計)
 3.10.5 培養工程効率化(溶存酸素供給,高密度化)
 3.10.6 培養工程(自動化)
 3.10.7 精製工程
3.11 大量培養槽の総量不足と生産能力のさらなる改善
 3.11.1 動物細胞大量培養の需要の急増
 3.11.2 医薬タンパク質生産用動物細胞のゲノム解析
 3.11.3 糖鎖
 3.11.4 動物細胞培養以外の動物タンパク質生産法

4.自己組織化
4.1 自己組織化とは
4.2 自己凝集化と自己組織化
4.3 自己凝集化の誘導法
 4.3.1 浮遊細胞の自己凝集化
 4.3.2 接着細胞の自己凝集化
4.4 自己組織化を用いた組織工学/再生医療や創薬試験への応用展開
 4.4.1 スキャフォールドフリー形状化組織の作製
 4.4.2 器官原基の作製

5.移植用細胞の効率的培養技術
5.1 セルプロセッシング工学とは
5.2 細胞分離法
 5.2.1 フローサイトメーターによるソーティング
 5.2.2 免疫磁気分離
 5.2.3 水性二相分離
 5.2.4 密度勾配遠心
 5.2.5 低速遠心
 5.2.6 接着分離
5.3 共培養
 5.3.1 平面混合型共培養
 5.3.2 3次元共培養
 5.3.3 隔膜共培養
5.4 3次元培養
 5.4.1 スフェロイド培養
 5.4.2 ペレット培養
 5.4.3 胚様体培養
 5.4.4 ゲル包埋培養
 5.4.5 多孔性担体を用いた3次元培養
5.5 スキャフォールドフリー培養による骨軟骨様組織作成と保存
 5.5.1 はじめに
 5.5.2 軟骨細胞と隔膜培養器を用いた軟骨様遠心シート作成
 5.5.3 MSCと隔膜培養器を用いた軟骨様遠心シート作成
 5.5.4 軟骨細胞と隔膜培養器およびTCPを用いた骨軟骨様構造体作成
 5.5.5 MSCと隔膜培養器およびTCPを用いた骨軟骨様構造体作成
 5.5.6 軟骨様シートの保存
5.6 3次元共培養による造血前駆細胞の体外増幅
 5.6.1 造血細胞の体外増幅
 5.6.2 ストローマ細胞接着に適した多孔性担体
 5.6.3 3次元共培養による造血前駆細胞増幅
 5.6.4 3次元共培養システムにおける造血微小環境
5.7 細胞シート形成

6.移植用同種細胞の大量培養技術
6.1 はじめに
6.2 移植用間葉系幹細胞のマイクロキャリア培養
 6.2.1 マイクロキャリアを用いた間葉系幹細胞の効率的増殖培養
 6.2.2 両イオン性温度応答性共重合体を修飾したポリスチレンマイクロキャリアからの間葉系幹細胞の回収
6.3 不織布担体を用いた間葉系幹細胞培養と播種方法
 6.3.1 はじめに
 6.3.2 間葉系幹細胞の不織布担体への播種方法
 6.3.3 不織布担体に接着・増殖した間葉系幹細胞の品質評価

7.移植用細胞培養の産業化技術
7.1 移植用細胞培養の産業化技術とは
7.2 再生医療の国内規制と移植用細胞培養施設の条件
 7.2.1 再生医療の国内規制
 7.2.2 移植用細胞培養施設の条件
7.3 培養工程の自動化
 7.3.1 自動化の必要性
 7.3.2 自動培養装置の機能
 7.3.3 多検体に対応可能な自動培養装置
7.4 細胞および組織の非侵襲的品質評価技術
 7.4.1 細胞および組織の非侵襲的品質評価技術の必要性
 7.4.2 非侵襲的品質評価の対象
 7.4.3 単層培養における細胞形態分析による非侵襲的品質評価
 7.4.4 単層培養における細胞の立体形状分析
 7.4.5 細胞透過光の位相差分析による細胞周期識別
 7.4.6 細胞透過光の位相差分析による高精度がん細胞識別
 7.4.7 組織特異的分泌物の定量による非侵襲的分化評価
 7.4.8 3次元培養および移植後組織における非侵襲的品質評価
7.5 最先端の細胞加工技術
 7.5.1 レーザーによる細胞選別
 7.5.2 バイオプリンティング

引用・参考文献
索引

岩井 良輔

岩井 良輔(イワイ リョウスケ)

岡山理科大学フロンティア理工学研究所 講師
北海道大学大学院工学研究科にて編著者である高木睦 教授よりセルプロセッシング工学に関する研究指導を受け2011年に博士(工学)の学位を取得。その後、国立循環器病研究センターの博士研究員を経て2016年より現職。
動物細胞工学研究室を主宰し、専門である培養工学と生体材料学を組み合わせた細胞培養技術の開発を行っている。こでまでに、新規の細胞の大量培養法や3次元培養法を開発し、それらの再生医療や医薬品開発への応用に向けた研究を展開している。産業応用を見据えた“簡便、安価で安全な”培養技術を生み出すこと研究のポリシーとしている。

Chem-Station(ケムステ)化学書籍レビュー 2022年1月18日 掲載日:2022/01/18

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掲載日:2022/01/12

日刊工業新聞広告掲載予定(2022年1月31日)

掲載日:2022/01/06

「化学工学」2022年1月号

掲載日:2021/12/27

「生物工学会誌」2021年12月号広告

掲載日:2021/12/02

「化学と工業」2021年12月号