数値計算による流体力学 ポテンシャル流,層流,そして乱流へ

数値計算による流体力学 - ポテンシャル流,層流,そして乱流へ -

完全流体のポテンシャル流,乱流とその数値計算法の内容とその間を埋める層流解析から構成。

ジャンル
発行年月日
2017/01/06
判型
A5
ページ数
270ページ
ISBN
978-4-339-04651-9
  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

本書は,完全流体のポテンシャル流,乱流とその数値計算法の内容とその間を埋める層流解析から構成。解ける方程式は解析的に解くことを意識し,さらに数値計算方法においても数学的に記述して,その理解につなげることを重視した。

本書は,著者が所属している静岡大学工学部機械工学科の学部3回生に対して講義してきた「流体力学III」と大学院工学研究科機械工学専攻の修士学生に対して講義してきた「流体力学特論」後半の講義ノートを活用して,その講義の教科書として執筆した。前者は完全流体の非圧縮性および圧縮性ポテンシャル流が,後者は乱流とその数値計算法が中心の講義となっており,本書はその内容とその間を埋めるのに必要な層流解析から構成されている。筆者は理学部物理の出身で,現在乱流現象に対する統計理論と数値シミュレーションによる基礎研究に取り組んできた。その経緯からも近年の計算機能力の発達の恩恵を多大に受けてきたが,講義を行ってきてそれに反比例するように数学的な取組みが理解できない学生諸氏が増えてきていることに日々危惧している。また,販売されている流体解析ソフトを内容を理解することなく盲目的に利用しているユーザーの存在も近年増えている。そこで,本書では解ける方程式は解析的に解くことを意識し,さらに数値計算方法においても数学的に記述し,その理解につなげることを重視している。一方,著者の経験からも実験や実用面といった点では欠けている点は多々あると思うが,解答をwebで提供する章末問題や,web公開する付録プログラムコードなどによる体験から工学分野では最も難解な流体力学への興味を持ってもらえれば幸いである。最後に本書の執筆を勧誘していただいたコロナ社に心から感謝申し上げる。

2016年11月 岡本正芳

1. 流体と基礎方程式
1.1 流体力学の対象
1.2 流体運動のとらえ方
 1.2.1 ラグランジェ的見方
 1.2.2 オイラー的見方
1.3 基礎方程式
 1.3.1 ラグランジェ描写での完全流体の基礎方程式
 1.3.2 オイラー描写での基礎方程式
 1.3.3 ナビア-ストークス方程式
 1.3.4 エネルギー流束方程式
 1.3.5 バロトロピー流体 
 1.3.6 ラグランジェの渦不生不滅の法則
章末問題

2. ポテンシャル流:非圧縮性
2.1 ベルヌーイの定理
 2.1.1 さまざまなベルヌーイの定理の導出
 2.1.2 水力学でのベルヌーイの定理の応用例
2.2 ラプラス方程式
2.3 2次元ポテンシャル流
 2.3.1 典型的な解の例
 2.3.2 静止流体中を一定速度で移動する円柱周りの流れ
 2.3.3 循環が寄与している一様流中の静止円柱周りの流れ
2.4 翼への適用と等角写像
 2.4.1 基礎的な等角写像
 2.4.2 ジューコフスキー変換
 2.4.3 カルマン-トレフツ変換
 2.4.4 翼周りの流れ
2.5 一般形状物体周りの流れ
2.6 3次元ポテンシャル流
章末問題

3. ポテンシャル流:圧縮性
3.1 圧縮性ポテンシャル流の基礎方程式
3.2 1次元圧縮性流れとラバール管
3.3 圧縮性ポテンシャル流の定常解の例
3.4 圧縮性ポテンシャル流の速度ポテンシャル方程式
3.5 ホドグラフ法
3.6 M^2 展開法
3.7 薄翼理論
章末問題

4. 非圧縮性実在流体解析
4.1 ナビア-ストークス方程式
4.2 平行平板間流れ
4.3 円筒座標系における層流解
 4.3.1 ポアズイユ流れ
 4.3.2 強制渦と自由渦
4.4 正三角形流路における解
4.5 自由流れの解
4.6 層流境界層
章末問題

5. 乱流の基礎
5.1 乱流遷移
5.2 相似則
5.3 相関
5.4 スペクトル
5.5 間欠性
章末問題

6. 乱流数値解析
6.1 直接数値計算
6.2 アンサンブル平均モデルシミュレーション
 6.2.1 渦粘性型モデル
 6.2.2 応力方程式モデル
 6.2.3 代数応力モデル
 6.2.4 RANSの結果の例
6.3 ラージ・エディ・シミュレーション
 6.3.1 フィルター関数
 6.3.2 SGSモデル
 6.3.3 ダイナミック手法
 6.3.4 LESで必要となる数値計算処理
 6.3.5 LESにおける追加事項
章末問題

7. 数値スキーム:時間解析
7.1 時間発展法とは
7.2 時間発展法の3タイプ
 7.2.1 Adams-Bashforthタイプ陽解法
 7.2.2 Adams-Moultonタイプ半陰解法
 7.2.3 Runge-Kuttaタイプ陽解法
 7.2.4 一様せん断乱流での検証
章末問題

8. 数値スキーム:空間解析
8.1 擬スペクトル法 
8.2 有限差分法
 8.2.1 非保存型差分表現
 8.2.2 保存型差分表現
 8.2.3 コンパクト差分法
 8.2.4 FDMでの圧力解法
8.3 有限体積法
 8.3.1 補間法
 8.3.2 離散化方程式
 8.3.3 FVMでの圧力解法
 8.3.4 FVM計算結果の例
8.4 有限要素法
 8.4.1 ポアソン方程式のFEM
 8.4.2 ナビア-ストークス方程式のFEM
章末問題

付録
A.1 流体力学で必要となる数学
 A.1.1 ベクトル代数
 A.1.2 テンソル代数
 A.1.3 複素関数論
 A.1.4 偏微分方程式の分類
A.2 曲線直交座標系におけるナビア-ストークス方程式
 A.2.1 一般曲線直交座標系表現
 A.2.2 円筒座標系表現
 A.2.3 3次元極座標系表現
A.3 流体力学で必要となる熱力学
A.4 参考プログラム

引用・参考文献
索引