エレクトロニクスのための回路理論

エレクトロニクスのための回路理論

エレクトロニクス工学におけるものづくりやシステム構築の理解・設計に不可欠な回路理論について,初学者にもわかるよう平易に解説。

ジャンル
発行年月日
2017/04/03
判型
B5
ページ数
204ページ
ISBN
978-4-339-00897-5
エレクトロニクスのための回路理論
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定価

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エレクトロニクス工学におけるものづくりやシステム構築の理解・設計に不可欠な回路理論について,初学者にもわかる平易な文章で解説し,コラムや実例に基づいた例題・課題・章末問題などにより,イメージをもって学べるようにした。

回路理論は,エレクトロニクスにおけるものづくりやシステム構築の理解・設計を行ううえで不可欠な学問であり,低学年のうちに十分理解しておくことが望まれる。しかしながら,回路理論修得のための高校までに得た知識とその活用法とのギャップなどにより必ずしも十分な理解を得るに至らない学生も多くいるのが現状である。

そこで,本書では高校までの知識に加えて,初学者にも納得しやすい平易な文章によるコラムを多用し,回路理論の理解は一般常識のうえにあることを気づいてもらい,十分な理解が得られるよう心掛けた。また,各章の中には解答例を示した例題のほか,巻末に解答を付した課題や章末問題を多く入れることとした。章末問題の中には,実際の装置などで利用される回路を主題とした問題も入れ,勉強した内容がどのように社会で活かされているのかを知ってもらうことにも心掛けた。

まず,1章ではオームの法則について,特に,電圧や電流が大きさだけでなく向きを含めて理解しておく必要性について注力した。その他,直流回路を中心として合成抵抗の計算や分流・分圧,電圧源と電流源の等価変換などについて記述した。2章では,引き続き直流回路を中心として,キルヒホッフの法則に基づき,必要な数の式を立て,答えを導くことについて記述した。さらに,回路を解く際,閉電流解析によれば,変数および必要な数の式を少なくでき,計算が楽になることを記述した。回路の解析には種々の方法があるが,オームの法則に基づきキルヒホッフの法則あるいは閉電流解析により解けない問題はないことを理解してもらい,後述する他の解析法の有効性や便利さを実感してもらうための基礎とした。このほか,直流電力の計算,電源の固有電力について記述した。

3章以降はおもに交流回路にかかわる内容とし,3章では正弦波電源の定義や複数電源の合成,抵抗,コイル,コンデンサなどの回路素子の働きについて記述した。4章では,前章の内容を受けて交流回路の解析にベクトル記号法(複素数表現)を用いると,計算が容易になることのほか,インピーダンスやアドミタンス,ベクトル図などについて記述した。さらに,5章では回路網の解析として,直並列回路の合成インピーダンスの計算や周波数に対する特性の振舞い,伝達特性,共振回路の周波数特性,デシベル表現の導入などについて記述した。その後,6章では交流電力の定義,計算,電力にかかわるいくつかの話題について記述した。つぎに,7章で,重ね合わせの理や電源の等価変換,鳳・テブナンの定理,節電圧解析,ノートンの定理など,線形解析における法則・原理について記述した。また,8章では,交流ブリッジ,特別な形をした回路,零回路など,種々の回路例について示した。

9章では,さらに進んだ回路解析手法の一つである二端子対(2ポート)回路について記述した。また,この章では相互誘導回路についても記述した。10章では,直流電圧や非正弦波電圧を回路に入力した後の回路応答の振舞いを表す,いわゆる,過渡現象の解析方法について詳述した。さらに,11章では分布定数回路について,波動方程式の誘導から解の表現,終端負荷による特徴的な振舞いや波(波動)としての振舞い,Sパラメータの導入やこれによる回路解析例などについて記述した。

資源をもたない日本では,これからも新たなものを創り出すことが求められていくものと考えている。本書がエレクトロニクスの分野を志す方々にわずかでも役立つところがあれば幸いである。

本書をまとめるにあたり,まず,学生のときより多年にわたり,ご指導くださいました諸先生に感謝致します。また,コロナ社の編集部の方々にも種々お世話になりました。御礼申し上げます。

2017年2月 著者

1.オームの法則
1.1 電圧・電流・抵抗とオームの法則
1.2 抵抗の直列接続・並列接続
 1.2.1 直列接続
 1.2.2 並列接続
1.3 分圧と分流
 1.3.1 分圧
 1.3.2 分流
1.4 電源の等価変換
 1.4.1 電源の種類-電圧源と電流源-
 1.4.2 理想電源
 1.4.3 実際の電源
 1.4.4 電源の等価変換
章末問題

2.キルヒホッフの法則と回路解析
2.1 キルヒホッフの法則
2.2 閉電流解析
2.3 直流電力と電源の固有電力
章末問題

3.交流回路
3.1 正弦波電圧(電流)源
3.2 実効値
3.3 複数電源の合成
3.4 回路素子の働き
 3.4.1 抵抗
 3.4.2 インダクタ(コイル)
 3.4.3 キャパシタ(コンデンサ)
3.5 回路解析の例
章末問題

4.交流回路の解析
4.1 正弦波とベクトル(複素数表現)の類似性
4.2 回路解析の例
4.3 インピーダンスZとアドミタンスY
4.4 回路解析とベクトル図
章末問題

5.回路網の解析
5.1 直列・並列回路
 5.1.1 R-L直列回路
 5.1.2 R-C直列回路
 5.1.3 R-L並列回路
5.2 直並列回路
 5.2.1 直並列回路のインピーダンスとアドミタンス
 5.2.2 移相器
5.3 伝達特性
 5.3.1 R-L回路の伝達特性
 5.3.2 R-C回路の伝達特性
 5.3.3 実際のコイル,コンデンサの特性
5.4 共振回路
 5.4.1 R-L-C直列共振回路
 5.4.2 並列共振回路
5.5 周波数解析
章末問題

6.交流電力
6.1 時間領域での電力の計算
6.2 記号演算による電力の計算
6.3 電力にかかわる2・3の話題
 6.3.1 電力の計測
 6.3.2 インピーダンス整合
 6.3.3 力率改善
章末問題

7.線形解析の法則・原理
7.1 重ね合わせの理
7.2 電源の等価変換と鳳・テブナンの定理
 7.2.1 電源の等価変換
 7.2.2 鳳・テブナンの定理
7.3 節電圧解析
7.4 ノートンの定理
章末問題

8.種々の回路例
8.1 交流ブリッジ
 8.1.1 ホイートストンブリッジ
 8.1.2 ウィーンブリッジ
8.2 特別な形をした回路の全インピーダンス
 8.2.1 対称形回路
 8.2.2 無限回路
 8.2.3 Y-Δ変換,Δ-Y変換
8.3 零回路
章末問題

9.二端子対(2ポート)回路
9.1 2ポートの概念,Yマトリクス
9.2 Zマトリクス,Fマトリクス
 9.2.1 Zマトリクス
 9.2.2 Fマトリクス
 9.2.3 諸マトリクスの性質とほかのマトリクスについて
9.3 2ポート回路による諸パラメータの導出
9.4 影像パラメータ
9.5 相互誘導回路
 9.5.1 相互誘導現象と2-P回路表現
 9.5.2 ドットの規約とT形等価回路
 9.5.3 理想変成器を含む等価回路
章末問題

10.過渡現象
10.1 微分方程式とその解法
10.2 ラプラス変換
 10.2.1 ラプラス変換の定義
 10.2.2 ラプラス変換の例
 10.2.3 時間関数の微分,積分のラプラス変換
10.3 信号,回路素子のラプラス変換
10.4 ラプラス変換による解析
10.5 解析例
章末問題

11.分布定数回路
11.1 波動方程式とその解
11.2 特性インピーダンス,伝搬定数
11.3 無ひずみ線路
11.4 一般負荷終端
11.5 インピーダンス変成回路-インピーダンス整合を取るための回路-
11.6 波の反射・透過,反射係数と定在波比
 11.6.1 反射係数
 11.6.2 定在波
11.7 Sパラメータの導入
11.8 Sパラメータによる回路の解析
章末問題

課題略解
章末問題解答
索引

作田 幸憲(サクタ ユキノリ)