2026
08/20

コンピュータグラフィックス(CG)とは?画像ができる仕組み・基礎技術・活用例を解説

コンピュータグラフィックス(CG)とは、コンピュータを用いて画像や映像を生成する技術、またはその技術によって作られた画像・映像のことです。本記事では、2DCGと3DCGの違い、モデリングやレンダリングの仕組み、CGを支える基礎技術、主な活用分野を初学者向けに解説します。

CGは、映画やアニメ、ゲームだけで使われるものではありません。建築や製品設計、医療、科学技術、シミュレーション、VR・AR、情報の可視化など、さまざまな分野を支えています。

コンピュータグラフィックス(CG)とは

コンピュータグラフィックスは、英語の「Computer Graphics」を略してCGと呼ばれます。

コンピュータ上で形状、位置、色、光、質感、動きなどの情報を扱い、画面に表示する画像や映像を作る技術です。「CG」という言葉は、画像や映像を作る技術だけでなく、完成した画像や映像そのものを指す場合もあります。

CGの目的は、現実を写真のように再現することだけではありません。

例えば、次のような表現にもCGが使われます。

  • 現実には存在しない人物や建物、世界を描く

  • 実際に撮影することが難しい現象を再現する

  • 完成前の建築物や製品を画面上で確認する

  • 医療データやシミュレーション結果を見やすく表す

  • 利用者の操作に応じて変化する仮想空間を作る

  • 複雑な情報を図や映像として伝える

このように、CGは「画像をきれいに作る技術」であると同時に、目に見えない情報や、まだ存在しないものを視覚的に伝える技術でもあります。

2DCGと3DCGの違い

CGは、大きく2DCGと3DCGに分けられます。


2DCGとは

2DCGは、コンピュータ上の平面に図形や画像を配置し、描画する方法です。

写真のように多数の画素で表すラスター画像と、点や線、図形などの情報で表すベクター画像があります。デジタルイラスト、ロゴ、地図、図表、Webサイトの画面なども、2DCGの代表的な活用例です。

3DCGとは

3DCGでは、奥行きを含む三次元空間の中に、物体、カメラ、光源などを配置します。その空間を特定のカメラから見た画像として計算し、ディスプレイに表示します。

三次元空間を扱っていても、一般的なディスプレイに表示される最終的な画像は二次元です。ゲームやVRでは、利用者の視点や操作に合わせて画像を連続的に作り直すことで、三次元空間を動き回っているように見せています。

実際の制作では、2DCGと3DCGが完全に分かれているとは限りません。3DCGの物体表面に2D画像を貼り付けたり、2Dアニメーションの背景や構図作りに3DCGを利用したりするなど、両者を組み合わせることも一般的です。

3DCG画像ができるまでの基本的な流れ

3DCG画像は、立体を一つ作れば完成するわけではありません。

物体の形、表面の質感、光の当たり方、カメラの位置などを設定し、それらの情報を計算して初めて画像になります。

代表的な流れを見てみましょう。


1.モデリングで物体の形を作る

モデリングとは、コンピュータ上に物体や空間の形を作る工程です。

人物、建物、機械、自然物などを、点、線、面、立体などの情報として表現します。目的に応じて、ポリゴンモデル、曲面モデル、ソリッドモデル、ボクセルなど、さまざまな形状表現が使い分けられます。

2.マテリアルやマッピングで質感を設定する

形だけを作った状態では、物体は材質のない模型のように見えます。

そこで、物体の色、光沢、透明度、表面の粗さなどを設定します。このような物体表面の性質をマテリアルといいます。

さらに、表面に画像や模様を割り当てるマッピングを使うことで、木目、布地、金属、石、皮膚などの細かな質感を表現できます。

3.ライトとカメラを配置する

三次元空間にライトを配置し、物体への光の当たり方を決めます。

同じ物体でも、光の向き、強さ、色によって、立体感や印象は大きく変わります。昼間の屋外、夜の室内、舞台照明など、表現したい状況に応じた設定が必要です。

カメラでは、画像を見る位置や方向、画角などを決めます。現実の写真撮影と同じように、カメラの位置やレンズに相当する設定によって、構図や遠近感が変化します。

4.レンダリングで画像を生成する

レンダリングとは、三次元空間に設定したモデル、マテリアル、ライト、カメラなどの情報を計算し、二次元の画像を作る処理です。

モデリングが「撮影する物体や舞台を作る工程」だとすれば、レンダリングは「カメラや照明を使って最終的な画像を作る工程」と考えると、違いをつかみやすいでしょう。

映像を作る場合には、これらに加えて、骨格を設定するリギング、物体を動かすアニメーション、煙や炎などを表すエフェクト、複数の画像を組み合わせる合成、映像をつなぐ編集などの工程があります。

CGを支える主な基礎技術

CG画像を作るためには、さまざまな技術が組み合わされています。

ここでは、CGの仕組みを理解するうえで重要な基礎技術を紹介します。

座標系と投影

三次元空間における物体の位置は、一般にX、Y、Zの三つの座標で表します。

作成した三次元空間をディスプレイに表示するには、カメラから見た二次元の画像へ変換しなければなりません。この変換に使われるのが投影です。

遠くの物体を小さく、近くの物体を大きく見せる透視投影を使うと、現実の視覚に近い遠近感を表現できます。

形状モデリング

物体の形をコンピュータで扱えるデータとして表現する技術が、形状モデリングです。

代表的な表現方法には、物体表面を多角形の組合せで表すポリゴンモデル、基本的な立体を組み合わせるCSGモデル、曲線や曲面を数式で表すモデル、空間を小さな立方体の集合として表すボクセルなどがあります。

キャラクター、工業製品、建築物、医療データなど、作りたい対象や使用目的によって適した方法は異なります。

光、色、反射、マッピング

CGで物体を立体的に見せるには、光が表面でどのように反射するかを計算する必要があります。

ざらざらした表面に見られる拡散反射、鏡や金属のような光沢を表す鏡面反射などを組み合わせることで、物体の材質や立体感を表現します。

また、物体表面に画像を貼り付けるテクスチャマッピングや、細かな凹凸があるように見せるマッピングを利用すると、形状データを過度に複雑にせず、豊かな質感を表現できます。

レイトレーシング

レイトレーシングは、カメラから画面上の各画素を通る光線を仮想的に延ばし、その光線がどの物体に当たるかを調べて画像を作る方法です。

光線の反射、屈折、遮蔽などを計算できるため、鏡への映り込み、ガラスの透明感、自然な影などを表現しやすいという特徴があります。その一方で、多数の光線と物体との交差を調べる必要があり、計算量が大きくなりやすい方法でもあります。

Zバッファ法

三次元空間には、カメラから見て手前にある物体と、その後ろに隠れる物体があります。

Zバッファ法では、画面上の各位置について物体までの奥行き情報を記録し、より手前にある面を表示します。これによって、後ろ側にある面が手前の面を通して見えてしまうことを防ぎます。

比較的効率よく隠れた面を判定できるため、リアルタイムCGを理解するうえでも重要な基礎技術です。


大域照明とボリュームレンダリング

現実の空間では、光源から直接届く光だけでなく、壁や床、ほかの物体で反射した光も物体を照らしています。

このような間接光まで考慮する考え方が大域照明、またはグローバルイルミネーションです。ラジオシティ法やフォトンマッピングなどの手法があり、空間全体の自然な明るさや色の回り込みを表現するために使われます。

ボリュームレンダリングは、物体表面だけではなく、三次元空間の内部に分布する情報を画像として表す技術です。医療画像や科学技術計算、シミュレーション結果など、立体的なデータの内部構造を観察するときに利用されます。

コンピュータグラフィックスの主な活用分野

CGは、エンタテインメントから科学技術まで幅広い分野で使われています。


映画、アニメ、ゲーム

映画やアニメでは、実際には撮影できない風景、人物、建物、自然現象などを表現するためにCGが使われます。

ゲームでは、利用者の操作やカメラの動きに合わせて画像を即座に作るリアルタイムCGが重要です。

建築、製品設計、ものづくり

建築分野では、完成前の建物や室内をCGで表し、外観や空間の印象を確認できます。

工業製品の設計では、形状や部品の配置を検討したり、動作や強度をシミュレーションしたりするために三次元データが利用されます。

医療、科学技術、シミュレーション

医療分野では、身体内部のデータを立体的に表示し、構造を確認するためにCGが使われます。

科学技術分野では、流体、気象、宇宙、分子、地形など、そのままでは観察しにくい現象やデータを可視化するために利用されます。

VR・AR・MR

VR、AR、MRなどのXR分野でも、CGは重要な基盤技術です。

VRでは仮想的な空間を作り、利用者の視点や動きに合わせて画像を更新します。ARやMRでは、現実の風景とCGで作られた情報や物体を組み合わせて表示します。

情報の可視化

数値や統計、ネットワーク、時間的な変化などを、図形、色、位置、動きとして表すこともCGの活用方法の一つです。

情報を視覚的に表すことで、数値だけでは見つけにくい傾向や関係性を把握しやすくなります。

CGは映画、アニメ、ゲームに限らず、広告、出版、配信、建築、医療、情報の可視化、シミュレーションなどに広く活用されています。

生成AI時代にもCGの基礎が必要な理由

生成AIや各種CGツールの発達によって、専門的な操作や複雑なプログラムをすべて理解していなくても、画像や映像を作れる場面が増えています。

しかし、ツールが出力した画像を適切に評価するには、次のような点を判断しなければなりません。

  • 物体の形や位置関係に矛盾がないか

  • 遠近感やカメラの設定が自然か

  • 光源と影の方向が一致しているか

  • 反射や透明感が材質に合っているか

  • 手前と奥の重なり方が正しいか

  • 目的に合った表現になっているか

CGの基礎知識は、すべてを手作業で作るためだけのものではありません。

生成AIやソフトウェアが出した結果を理解し、不自然な点を見つけ、目的に合わせて修正するための判断基準になります。新しいツールを使いこなすためにも、モデリング、レンダリング、光、色、座標といった基礎技術の理解が重要です。

コンピュータグラフィックスを学ぶ順序

CGには多くの専門用語がありますが、最初からすべてを詳しく学ぶ必要はありません。

次の順序で学ぶと、技術同士の関係を整理しやすくなります。

  1. CGの定義と2DCG・3DCGの違いを知る

  2. 座標、光、色、ディスプレイの基本を学ぶ

  3. モデリングで形を表す方法を学ぶ

  4. 反射、マッピング、ライティングを学ぶ

  5. レンダリングで画像が作られる仕組みを学ぶ

  6. レイトレーシングやZバッファ法などの手法を学ぶ

  7. 大域照明、ボリュームレンダリング、XR、可視化へ進む

特定のソフトウェアの操作だけから始めると、「どの設定を変えると、なぜ画像が変化するのか」がわからなくなることがあります。

最初にCG技術の全体像をつかみ、その後でソフトウェアの操作やプログラミングを学ぶと、個々の機能を理解しやすくなります。

CGの基礎から応用まで体系的に学ぶには

CGの仕組みを体系的に学びたい方には、コロナ社発行の『コンピュータグラフィックス技術の基礎と応用』があります。

本書では、CGの定義、座標系、光と色、反射モデル、マッピング、レイトレーシング、Zバッファ法、形状モデリング、大域照明、ボリュームレンダリングを順に解説します。さらに、VR・AR・MRを含むクロスリアリティや、情報の可視化まで扱っています。

自然科学系の大学初年次から大学院修士課程におけるCG・VRの初学者を主な対象とし、数式表現を必要以上に増やさず、基礎技術を軸に構成されています。特定のCGソフトの操作方法ではなく、CG画像や映像が作られる基本的な仕組みを理解したい方に適した一冊です。

[『コンピュータグラフィックス技術の基礎と応用』の目次・立ち読みを見る]

まとめ

コンピュータグラフィックスは、コンピュータを使って画像や映像を生成する技術です。

3DCGでは、モデリングによって物体の形を作り、マテリアル、ライト、カメラなどを設定し、レンダリングによって最終的な画像を生成します。

その背景には、座標系、投影、光と色、反射モデル、形状モデリング、レイトレーシング、Zバッファ法など、さまざまな基礎技術があります。

これらの基礎は、映画やゲームの制作だけでなく、建築、製品設計、医療、科学技術、VR・AR、可視化、生成AIを活用した画像制作などにもつながっています。

まずはCG技術の全体像をつかみ、興味を持った分野について段階的に理解を深めていきましょう。


作成・編集:コロナ社 営業部 大熊

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