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Unityによる3DCGプログラミング - 基本原理と実践 -

メディアテクノロジーシリーズ 12

Unityによる3DCGプログラミング - 基本原理と実践 -

CG研究の着想を形にするには,自ら実装して確かめる力が必要である。本書はUnityを用い,モデリングからレンダリングまでの基本工程を体系的に紹介し,環境が変わっても通用する発想力と技術を身につけるための入門書である。

発行年月日
2026/03/31
定価
3,960(本体3,600円+税)
ISBN
978-4-339-01382-5
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

読者モニターレビュー【 松岡 大輔 様(業界・専門分野:プログラマー)】

掲載日:2026/04/06

本書の特徴は、コンピュータグラフィックスの基本となるレンダリングパイプラインを大胆に4つのフェーズに分けた点にある。レンダリングとは「3次元空間に存在する物体を2次元画像へと変換する処理」(p.1)である。そのプロセスは複数の処理からなり、それらの処理を整理する観点として、理論的なものと実装的なものが考えられる。

本書は理論と実装の橋渡しとしての位置づけを自認しており、そのため、旧来の教科書的な理論的整理とはやや異なるレンダリングパイプラインを構成している。そして、それによって、レンダリングパイプラインの各フェーズがUnityの主要なクラスに明確に対応付けられている。Unityはコンポーネントシステムによってコンポーネントごとの独立性を保ちながら、保守性の高いソース管理ができる点にも特徴があるので、このようにレンダリングパイプラインをUnityのクラスと対応させる形で整理することで、実装の分業やファイル構成が明確化できるというメリットがある。

本書は基礎となる数理をある程度解説してから、その後はレンダリングパイプラインの各フェーズと対応するUnityのクラスを活用した具体的なソースコード例を用いて理論のリアライゼーションを試みる。いわば理論と実装の両面からの説明を試みているわけである。

このような書籍の構成によって、まず読者は、コンピュータグラフィックスに関するレンダリングパイプラインの全体像を、Unityのクラスと対応付けながら、理論と実装の両面から理解することができる。著者はUnityという環境を超えた基本原理の共通性を信じてこの書籍を執筆している(まえがき)。

ただし、Unityという選択の妥当性については多少の留保も必要である。他のエンジンとして、UnrealEngineやGodotも検討されるはずだが、UnityはC#の習得容易性とクラス構成の透明性という2点がこの教科書の目的に対して合理的な選択である。一方で、高品質グラフィックスの理論を扱う際の上限とライセンスリスクは留保として残る。

また、上記のようなレンダリングパイプラインの構成によるデメリットもある。たとえば、一般的な理論的観点からのレンダリングパイプラインで扱われるフェーズが一部暗黙のものとされていたり、本来独立したフェーズとして扱われないものが実装との対応のために独立したフェーズとして位置づけられていたりする。だが、これらに関しては、本書一冊で学習が完結するものではないと考えて、シリーズの他の書籍などを適宜参照していくことになるのだろう。

理論と実装をつなぐ位置づけ、という明確でありながら難しい課題を、Unityのクラスとの対応関係を軸にしながら大胆かつ具体的に解説してみせた点に、本書の面白さがあるように思う。

読者モニターレビュー【 しまむら 様(業界・専門分野:画像処理プログラミング)】

掲載日:2026/04/01

3DCGの基本的な原理をUnityでコード実行して視覚的に確認できる、という本です。
Unity等の開発環境でモデリングしたものが実際に画面に表示されるまでに、裏でどのような処理が実行されているかの概要が掴めます。
特に、実務(コーディング)から入らずに、まずは3DCGの基本原理と処理のおおまかな流れを知ることから学習を始めたいという方にはおすすめの本です。
ある程度実務経験のある方にとっても、レンダリングパイプラインやGPU構造を振り返る良い機会になります。
プログラミング言語の基本的な使い方の他に、並行処理プログラミング、同次変換行列、照明計算などは別途知識として持っておきながら読むとより理解が深まると思います。