生物生産と生体防御

生物生産と生体防御

本書は,比較生体防御学といった観点からまとめられ,生体防御の進化を概観するためのよい手引書となる。さらに,他の生物の生体防御因子の遺伝子を導入した新規産業用生物を造り上げる情報も得られるよう配慮している。

ジャンル
発行年月日
1995/07/20
判型
A5 上製
ページ数
368ページ
ISBN
978-4-339-07633-2
生物生産と生体防御
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定価

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本書は,比較生体防御学といった観点からまとめられ,生体防御の進化を概観するためのよい手引書となる。さらに,他の生物の生体防御因子の遺伝子を導入した新規産業用生物を造り上げる情報も得られるよう配慮している。

I 微生物の生体防御
1. 生体防御研究の歴史と現状
2. 微生物の生体防御機構の特徴
3. 微生物の生体防御機構の分類
4. 生体防御機構各論
4.1 ファージに対する防御機構
  4.1.1 細胞壁・細胞表層構造の変異
  4.1.2 宿主の制御修飾機構
  4.1.3 ファージの抗制限修飾機構
  4.1.4 細胞寄生因子を介したファージ感染阻害
4.2 核酸分解酵素
4.3 生育阻害物質分泌
  4.3.1 抗生物質
  4.3.2 バクテリオシン
  4.3.3 酵母菌のキラートキシン
  4.3.4 溶菌酵素
  4.3.5 シデロフォア
  4.3.6 シイタケ菌の害菌とシイタケ菌の抗菌性物質
  4.3.7 その他の生育阻害物質
4.4 薬剤耐性
  4.4.1 耐性機構の分類
  4.4.2 酵母菌の抗生物質耐性
  4.4.3 酵母菌のエタノール耐性
5. 化学的・物理的環境要因と生体防御
5.1 細菌類の環境ストレスに対する生体防御
  5.1.1 環境変化への対応
  5.1.2 細菌類の重金属イオンに対する応答
5.2 酵母菌の環境ストレスに対する生体防御
  5.2.1 温度
  5.2.2 耐塩性・耐浸透圧
  5.2.3 金属耐性
  5.2.4 酸化的ストレスに対する生体防御
5.3 シイタケ菌の環境ストレスに対する生体防御
6. 生物生産への生体防御のかかわり
6.1 細菌類における有用物質生産と生体防御のかかわり
6.2 酵母菌における有用物質生産と生体防御のかかわり
6.3 シイタケ菌生産への生体防御のかかわり
7. 微生物の生体防御研究の問題点および今後の方向
7.1 ファージ汚染の問題点と研究の方向
7.2 抗生物質と抗生物質耐性の問題点と研究の方向
7.3 その他の問題点と展望
引用・参考文献
II 植物の生体防御
1. 植物の生体防御研究の歴史と現状
2. 植物の生体防御機構の特徴
寄生と共生
3. 植物の生体防御機構の分類と流れ
4. 生体防御機構各論
4.1 物理的抵抗性
  4.1.1 組織の形態と抵抗性(回避性)
  4.1.2 けい酸と抵抗性
  4.1.3 リグニンと抵抗性
4.2 化学的抵抗性
  4.2.1 健全植物に先在的に含まれる抗菌物質
  4.2.2 菌型(レース)特異的抵抗性とファイトアレキシン
  4.2.3 活性酸素関与の抵抗性
  4.2.4 脂質過酸化物質による防衛反応
4.3 植物によるタンパク性防御物質の生産
  4.3.1 PRタンパクの産生
  4.3.2 タンパク質分解酵素阻害物質の生成
  4.3.3 殺菌性タンパク質
4.4 エリシター(抵抗反応誘導物質)
  4.4.1 多糖のエリシター
  4.4.2 脂質のエリシター
4.5 エリシター受容体
4.6 異物信号の伝達
4.7 植物ウイルス抵抗性
  4.7.1 ウイルスの侵入と障壁
  4.7.2 ウイルスの細胞間移動とその制御
  4.7.3 ウイルスの複製抑制
  4.7.4 抗ウイルス性物質生成および宿主細胞死
  4.7.5 先在性抗ウイルス物質
4.8 病原菌の感染戦略
  4.8.1 植物細胞表面への病原細菌の固着
  4.8.2 病原菌の宿主への侵入と細胞壁分解酵素産生能
  4.8.3 毒素
  4.8.4 サプレッサーによる宿主防御反応のかく乱
  4.8.5 ファイトアレキシンの解毒
  4.8.6 寄生者遺伝情報の宿主への転移(宿主細胞の植民地化)
5. 栄養および環境条件と生体防御
5.1 葉組織の加齢と病害抵抗性の促進
5.2 アンモニア態窒素肥料の施用と抵抗性
5.3 けい酸施用と抵抗性
5.4 温度と抵抗性
5.5 光と抵抗性
6. 植物生産への生体防御のかかわり
  感染生理学,病原菌生態学に基づいた病害防除戦略
6.1 生体防御機構の増幅による病害防除
  6.1.1 物理的防御機構の増強
  6.1.2 化学的防御機構の増強
6.2 その他の非殺菌性防除薬剤
  6.2.1 角皮侵入阻害剤
  6.2.2 クチン分解酵素阻害剤
  6.2.3 菌糸塊の形成抑制剤
  6.2.4 キチン合成阻害剤
  6.2.5 エルゴステロール合成阻害剤(EBI剤,SBI剤)
6.3 抗生,競合,抵抗性誘導による生物的防除
  6.3.1 Agrobacterium radiobacter strain K84による生物的防除
  6.3.2 非病原性Fusarium属菌による生物的防除
  6.3.3 エンドファイトの利用
6.4 遺伝子組み換え技術による病害防除戦略
  6.4.1 キチン分解酵素遺伝子の導入
  6.4.2 ウイルス外被タンパク質遺伝子の利用
  6.4.3 アンチセンスRNAの利用
  6.4.4 サテライトウイルスRNAの利用
  6.4.5 リボザイムの利用
7. 生体防御研究の問題点および今後の方向
引用・参考文献
III 有用昆虫を中心にした無脊椎動物の生体防御
1. はじめに
2. 昆虫の生体防御に関与する細胞性因子
2.1 昆虫類を除く節足動物の造血器官および血球
2.2 昆虫類の造血器官および血球
2.3 鱗翅目昆虫の血球と種類
  2.3.1 カイコ幼虫の血球と種類
  2.3.2 カイコ幼虫血球による異物認識
3. 昆虫の生体防御に関与する液性因子
3.1 細菌ワクチン投与と生体防御作用増強
3.2 細菌ワクチン投与と各種昆虫体液の抗菌性作用の増進
3.3 昆虫以外の無脊椎動物における抗菌性物質誘導
3.4 昆虫における生体防御反応の特性
  3.4.1 感染防御の誘導に必要なワクチン投与量
  3.4.2 抗菌性物質誘導に必要なワクチン投与量
  3.4.3 血リンパのリゾチーム活性増強とワクチン菌数
3.5 昆虫アグルチニン
  3.5.1 無脊椎動物レクチン
  3.5.2 節足動物アグルチニンの特性
  3.5.3 昆虫アグルチニンの凝集作用を阻害する物質
  3.5.4 昆虫アグルチニンのオプソニン作用
  3.5.5 昆虫アグルチニンの異物に対する血球誘引への関与
  3.5.6 昆虫アグルチニンの自己細胞増殖促進作用
  3.5.7 昆虫アグルチニンの細胞表面レセプターとしての機能
  3.5.8 昆虫アグルチニンの変態および傷口癒着への関与
  3.5.9 昆虫アグルチニンとビテロジェニン
  3.5.10 昆虫血リンパ凝固作用(hemostasis:coagulation)
3.6 プロフェノールオキシダーゼ活性化システム
3.7 昆虫類が産生する抗細菌性物質
  3.7.1 セクロピンファミリー
  3.7.2 アタシンファミリー
  3.7.3 ディフェンシン
  3.7.4 リゾチーム
3.8 その他の生体防御関連物質
3.9 昆虫が産生する抗ウイルス性物質
4. 有用昆虫の微生物感染抵抗性
4.1 流行病の原因とならない細菌による感染症の発生
4.2 昆虫に抗菌物質誘導能力のある細菌による感染症の発生
4.3 流行病の原因となる微生物による感染症と生体防御
  4.3.1 昆虫の大発生と流行病の発生
  4.3.2 カイコのウイルス感染症と生体防御
  4.3.3 カイコの病原性細菌感染症
  4.3.4 糸状菌の経皮感染に対するカイコ幼虫の感染抵抗性
  4.3.5 微胞子虫に対するカイコ幼虫の感染抵抗性
4.4 病原微生物に対する感染抵抗性の発育時期による変動
  4.4.1 発育時期と昆虫ウイルスに対する抵抗性
  4.4.2 糸状菌の経皮感染に対する感染抵抗性
  4.4.3 細菌に対する齢別感受性の変動
4.5 品種別ウイルス感染抵抗性
4.6 カイコの微生物抵抗性と飼料の影響
  4.6.1 単食性昆虫の場合
  4.6.2 広食性昆虫の場合
4.7 カイコの微生物抵抗性と温湿度の影響
  4.7.1 微生物抵抗性と湿度の影響
  4.7.2 微生物抵抗性と温度の影響
5. おわりに
引用・参考文献
IV 魚類の生体防御
1. はじめに
2. 非特異的生体防御
2.1 物理的防御壁
  2.1.1 皮膚
  2.1.2 腸粘膜
  2.1.3 鰓
2.2 体液性因子(抗微生物因子)
  2.2.1 リゾチーム
  2.2.2 補体
  2.2.3 インターフェロン
  2.2.4 C反応性タンパク質
  2.2.5 トランスフェリン
  2.2.6 レクチン(赤血球凝集素)
  2.2.7 キチナーゼ
  2.2.8 天然抗体(IgM)
2.3 細胞性因子
  2.3.1 白血球
  2.3.2 好中球
  2.3.3 好酸球
  2.3.4 好塩基球
  2.3.5 単球
  2.3.6 マクロファージ
  2.3.7 マスト細胞
  2.3.8 栓球
  2.3.9 ナチュラルキラー様細胞
3. 特異的生体防御
3.1 リンパ組織
  3.1.1 胸腺
  3.1.2 腎臓
  3.1.3 脾臓
  3.1.4 皮膚,腸粘膜および鰓
3.2 リンパ球
  T,B細胞の特性
3.3 体液性免疫
  3.3.1 免疫グロブリン(抗体)
  3.3.2 形質細胞(抗体産生細胞)とその分布
  3.3.3 抗体産生応答
  3.3.4 抗体産生における細胞間相互作用
  3.3.5 抗体のエフェクター作用
  3.3.6 母子受身免疫(母から子への抗体移行)
3.4 細胞性免疫
  3.4.1 移植片拒絶反応
  3.4.2 遅延型過敏症
  3.4.3 リンホカイン
  3.5 免疫記憶と免疫寛容
4. 免疫系の個体発生
4.1 リンパ組織の個体発生
4.2 細網内皮系の個体発生
4.3 リンパ球の成熟
4.4 免疫応答の個体発生
  4.4.1 体液性免疫応答
  4.4.2 細胞性免疫応答
5. 魚類の感染症
5.1 ウイルス病
  5.1.1 サケ科魚類の伝染性造血器壊死症
  5.1.2 ニジマスのウイルス性出血性敗血症
  5.1.3 コイの春ウイルス病と鰾炎
  5.1.4 ヒラメのラブドウイルス病
  5.1.5 サケ科魚類の伝染性膵臓壊死症
  5.1.6 アメリカナマズのウイルス病
5.2 細菌病
  5.2.1 淡水魚のカラムナリス病
  5.2.2 ウナギのパラコロ病
  5.2.3 サケ科魚類のレッドマウス病
  5.2.4 ビブリオ病
  5.2.5 サケ科魚類のせっそう病
  5.2.6 ウナギの鰭赤病
  5.2.7 ブリの類結節症
  5.2.8 サケ科魚類の細菌性腎臓病
  5.2.9 ブリのレンサ球菌症
5.3 真菌病
  5.3.1 サケ科魚類の水カビ病
  5.3.2 アユの真菌性肉芽腫症
  5.3.3 温水性淡水魚のブランキオマイセス症
5.4 寄生虫病
  5.4.1 白点病
  5.4.2 ニジマス稚魚の旋回病
  5.4.3 ブリのベネデニア症
  5.4.4 イカリムシ症
6. ワクチンと免疫強化物質
6.1 ワクチン
  6.1.1 魚病用ワクチン開発の現状
  6.1.2 ワクチン効果に影響を及ぼす諸因子
  6.1.3 ワクチンの投与法
6.2 免疫強化物質
7. おわりに
引用・参考文献
V 鳥類の生体防御
1. はじめに
2. 鳥類の生体防御機構
2.1 免疫能力の個体発生
  2.1.1 母親由来の抗体による免疫能力の獲得
  2.1.2 免疫能力の発現
2.2 鳥類の体液性免疫
  2.2.1 抗体産生
  2.2.2 抗体のサブクラス
2.3 鳥類の細胞性免疫
  2.3.1 細胞性免疫と胸腺の役割
  2.3.2 T細胞
  2.3.3 主要組織適合性抗原複合体
2.4 免疫寛容
2.5 移植反応
3. 生体防御に関与する組織・器官
3.1 胸腺
3.2 ファブリキウスのう
3.3 脾臓
3.4 その他のリンパ器官
4. 生体防御に影響を及ぼすさまざまな因子
5. 生体防御の破たんと疾病
5.1 ニワトリの細菌病
5.2 ニワトリのウイルス病
5.3 ニワトリの寄生虫病
5.4 ニワトリの真菌病
引用・参考文献
VI 哺乳類の生体防御
1. 生体防御研究の歴史と現状
2. 生体防御機構の特徴
2.1 生体防御機構とは
2.2 自己と非自己の認識
2.3 非自己成分の除去
2.4 他の生体調節機能との関係
3. 生体防御機構の分類と流れ
3.1 生体防御機構の種類
  3.1.1 非特異的生体防御因子
  3.1.2 抗原特異的生体防御(免疫)因子
3.2 生体防御に関与する組織・器官
  3.2.1 骨髄
  3.2.2 成熟中枢
  3.2.3 リンパ組織
  3.2.4 腹膜腔,肋膜腔
4. 種々の抗原に対する生体防御
4.1 細菌に対する生体防御
  4.1.1 家畜感染性細菌の種類
  4.1.2 細菌に対する生体防御機構
4.2 ウイルスに対する生体防御
  4.2.1 家畜感染性ウイルスの種類
  4.2.2 ウイルスに対する生体防御機構
4.3 寄生虫に対する生体防御
  4.3.1 寄生性原虫および蠕虫の種類
  4.3.2 寄生虫に対する生体防御機構
4.4 真菌に対する生体防御
  4.4.1 感染性真菌の種類
  4.4.2 真菌感染と生体防御機構
4.5 腫瘍に対する生体防御
  4.5.1 腫瘍に対する自然免疫
  4.5.2 腫瘍関連抗原
  4.5.3 腫瘍関連抗原の認識機構
  4.5.4 腫瘍細胞の生体防御機構からのエスケープ
5. 栄養および環境因子と生体防御
5.1 栄養と生体防御
5.2 環境因子と生体防御
5.3 個体の加齢と生体防御
5.4 ストレスと生体防御
5.5 恒常性の維持(他の生体調節機能)と生体防御
  5.5.1 内分泌系と生体防御系
  5.5.2 神経系と生体防御系
6. 生物生産への生体防御のかかわり
7. むすび
引用・参考文献
索引

緒方 靖哉(オガタ セイヤ)

村上 浩紀(ムラカミ ヒロキ)

松山 宣明(マツヤマ ノブアキ)

河原畑 勇(カワラバタ タケシ)

矢野 友紀(ヤノ トモキ)