五訂版 放射線機器学(Ⅰ) - X線撮影機器・診断画像機器 -

五訂版 放射線機器学(Ⅰ) - X線撮影機器・診断画像機器 -

  • 小倉 泉 都立大名誉教授 博士(工学) 監著
  • 根岸 徹 都立大大学院准教授 博士(保健医療学) 監著
  • 齋藤 祐樹 帝京大教授 博士(放射線学)
  • 沼野 智一 都立大大学院教授 博士(工学)
  • 安部 真治 都立大客員教授 博士(工学)

令和7年版診療放射線技師国家試験出題基準を参考に最新情報を考慮し全般的に見直した。

ジャンル
発行予定日
2026/02/中旬
判型
B5
予定ページ数
304ページ
ISBN
978-4-339-07284-6
五訂版 放射線機器学(Ⅰ) - X線撮影機器・診断画像機器 -
近刊

予定価格

5,390

購入案内

  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • 著者紹介

X線発生装置は変圧器式からインバータ式装置へ、医用画像機器はアナログからディジタルへ完全に移行した感がある。令和7年版診療放射線技師国家試験出題基準を参考に旧版の内容に最新情報を考慮し各項目の全般的な見直しを行った。

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

本書は1990年に発行した「放射線機器工学(Ⅰ)」の初版に始まり,これまで1998年に改訂版,2004年に「新版 放射線機器工学(Ⅰ)」,2015年に「改訂新版 放射線機器学(Ⅰ)」と版を重ねてきたが,近年の医療機器の進歩,変遷に対応すべく五訂版として発行したものである。初版発行以来,多くの読者の支持により版を重ねることができたのは,著者らの喜びである。

2015年発行の改訂新版では,同年6月に公開された令和2年版診療放射線技師国家試験出題基準を参考に,各項目の全般的な見直しを行った。医用放射線関連の規格について最新のJIS体系を取り入れ,X線発生装置では枠組みを再編して理解しやすくした。アナログ画像機器関連の記述を削除し,ディジタル画像機器の追加修正を行った。

その後,11年が経過し,X線発生装置は変圧器式からインバータ式装置へ,医用画像機器はアナログ画像機器からディジタル画像機器へ完全に移行した感がある。

本書では,2023年6月に公開された令和7年版診療放射線技師国家試験出題基準を参考に,旧版の内容に最新情報を考慮しながら各項目の全般的な見直しを行った。

X線発生装置ではインバータ式装置の動作原理に関する追記を行い,FPDによる自動露出制御を追記した。蛍光体をX線映像機器に,X線機械装置と増感紙・X線蛍光板を関連・付属機器に移した。X線映像装置では2024年に制定されたJIS T 62563-2の「医用画像表示用ディスプレイの受入試験及び不変性試験(JESRA TR-0049)」に準拠した内容とし,加筆修正を加えている。また診断用X線システムでは最新の機器に関する情報を追加し,より洗練された内容としている。

ディジタル信号処理においては受像器の変遷(フィルム-スクリーン系からFPDへの移行)に伴い関連する箇所を削除,または,改定を行った。具体的にはフィルムチェンジャを削除し,レーザーイメージャ等は簡潔にまとめている。そして,ディジタル処理に関しては各処理について原画像と処理後の画像を追加することで理解しやすくした。特に,AIに関するプロセスなどがそれにあたり,進化し続ける技術に合わせて内容を更新した。また,グリッドの性能の測定方法について,測定配置図を追加した。

医用X線CT装置では従来のシステムの解説に加え,立位CT装置,超音波診断装置ではハンディなワイヤレスタイプ超音波診断装置の情報などにも触れ,今後の臨床現場で活用が期待される機器についても追加した。

これまで本書の筆頭監著者を担当いただいた青柳泰司先生が2023年暮れにご逝去されました。ここにご冥福をお祈りするとともに,感謝の意を申し上げます。

今回の五訂版ではこれらの分野において優れた研究業績が期待される人材を分担執筆に加え,内容の充実を図った。また,アナログ画像機器については大幅に削除したため,理解しにくい部分もあるかと思われる。読者には忌憚のないご意見をいただき,よりよいものにしていければと考えている。

本書は診療放射線技師養成所の教科書のほか,臨床に従事する診療放射線技師,放射線機器メーカーなど診療画像機器に関係する多くの方々に活用いただければ幸いである。

執筆の分担を下記に示す。
小倉 泉  第1章,第2章
根岸 徹  第3章,第6章,第7章,第10章
齋藤 祐樹 第1章,第2章,第4章,第5章,第8章
沼野 智一 第9章,第11章
安部 眞治 第1章,第8章
 
おわりに,本書の発刊にあたり多大なご尽力をいただいたコロナ社の方々に深く感謝いたします。
2026年2月 
著者を代表して 小倉 泉

☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます

1.総論
1.1 X線の発見と論文の概要
1.2 X線の発生と物質との相互作用
 1.2.1 X線の発生原理
 1.2.2 X線と物質との相互作用
 1.2.3 X線管によるX線の発生
1.3 X線撮影と診断用X線装置の概要
 1.3.1 X線撮影の概要
 1.3.2 X線撮影条件と画質の関係
 1.3.3 X線装置の概要
1.4 診断用X線装置の構成・規格
 1.4.1 医用放射線関連JIS・医用X線装置の構成
 1.4.2 医用X線装置の規格
 1.4.3 医用X線管装置の規格

2.X線発生装置
2.1 X線源装置
 2.1.1 診断用X線管の構造
 2.1.2 X線管の動作特性
 2.1.3 許容負荷
 2.1.4 特殊X線管
 2.1.5 医用X線管装置と付属器具
2.2 X線高電圧装置
 2.2.1 2ピーク形X線装置
 2.2.2 三相X線装置
 2.2.3 自己整流X線装置
 2.2.4 コンデンサ式X線装置
 2.2.5 インバータ式X線装置
2.3 自動露出制御装置
 2.3.1 概要
 2.3.2 撮影用ホトタイマの原理と基本特性
 2.3.3 ホトタイマの動作特性
 2.3.4 FPDにおける自動露出制御

3.X線映像装置
3.1 蛍光体
 3.1.1 蛍光体の概要と機能
 3.1.2 蛍光体の発光機構
 3.1.3 希土類蛍光体の発光機構と製造方法
 3.1.4 蛍光体の応用
3.2 X線映像装置の要素
3.3 X線テレビジョン装置
 3.3.1 X線TV装置の構成
 3.3.2 X線I.I.装置
 3.3.3 光学系
 3.3.4 撮像装置
 3.3.5 液晶ディスプレイ

4.診断用X線画像処理装置
4.1 概要
4.2 コンピューテッドラジオグラフ(CR)
 4.2.1 CRの構成とその動作
 4.2.2 輝尽性蛍光プレート
 4.2.3 IPの読み取りと画像出力
 4.2.4 保存機能
 4.2.5 システム用途と特徴
4.3 フラットパネル検出器(FPD)
 4.3.1 構成・原理
 4.3.2 変換方式
 4.3.3 FPDの補正と特徴
4.4 ディジタル信号処理
 4.4.1 ディジタル画像処理
 4.4.2 画像処理
4.5 システム感度指標
4.6 ディジタルフルオログラフ(DF)
 4.6.1 DF装置の構成
 4.6.2 ディジタルサブトラクションアンギオグラフ(DSA)
4.7 X線TV方式ディジタルラジオグラフ

5.関連・付属機器
5.1 X線機械装置の分類
 5.1.1 X線機械装置の概要
 5.1.2 X線透視撮影台
 5.1.3 X線撮影台
 5.1.4 保持装置
5.2 放射線用フィルムカセッテ
 5.2.1 構造・種類
 5.2.2 カセッテの必要要件
5.3 散乱線除去グリッド
 5.3.1 構造・原理
 5.3.2 グリッドの分類
 5.3.3 グリッドの性能
 5.3.4 散乱線除去アプリケーション
5.4 電動式造影剤注入装置
 5.4.1 注入速度
 5.4.2 注入量
 5.4.3 圧力リミット
5.5 三次元画像処理装置(汎用画像診断装置ワークステーション)
 5.5.1 ワークステーションのプラットフォーム
 5.5.2 システム形態
 5.5.3 アプリケーションの例
 5.5.4 ワークステーションの保守管理
5.6 その他
 5.6.1 自動現像機
 5.6.2 X線写真観察器
 5.6.3 レーザイメージャ
 5.6.4 ドライイメージャ
 5.6.5 X線増感紙・X線蛍光体

6.診断用X線装置システム
6.1 一般撮影装置
6.2 X線透視撮影装置
 6.2.1 近接式X線透視撮影装置
 6.2.2 遠隔式X線透視撮影装置
 6.2.3 多方向X線透視撮影装置
6.3 断層撮影装置(トモシンセシス)
6.4 循環器用X線診断装置
 6.4.1 心血管用X線診断装置
 6.4.2 頭・腹部血管用X線診断装置
6.5 専用X線診断装置
 6.5.1 乳房用X線診断装置
6.6 集団検診用X線装置
 6.6.1 胃集検用X線装置
 6.6.2 胸部検診用X線装置
6.7 可搬形X線撮影装置
 6.7.1 移動形X線装置
 6.7.2 携帯形X線撮影装置
6.8 骨密度測定装置
6.9 歯科用X線装置
 6.9.1 歯科用一般X線撮影装置
 6.9.2 歯科用特殊X線撮影装置
6.10 その他
 6.10.1 外科用・手術室用X線診断装置
 6.10.2 頭部用X線診断装置
 6.10.3 泌尿器科用X線診断装置
 6.10.4 小児科用X線診断装置

7.医用X線CT装置
7.1 CT装置の基本原理
7.2 CT装置の変遷・走査方式
7.3 画像再構成法
7.4 CT装置の構成
7.5 CT値と画像表示
7.6 ヘリカルスキャンCT
7.7 マルチスライスCT
7.8 その他の方式
7.9 性能評価・機器管理
 7.9.1 CT装置の分解能
 7.9.2 性能評価
 7.9.3 機器管理

8.診断用X線装置の管理
8.1 安全管理
 8.1.1 電気的安全
 8.1.2 機械的安全
 8.1.3 放射線の安全
8.2 関係法令
8.3 診断用X線装置の品質保証
 8.3.1 品質保証に関する規格と概要
 8.3.2 撮影・透視用X線装置の不変性試験

9.磁気共鳴画像診断装置
9.1 原理
9.2 構成
9.3 画像の生成・パルスシーケンス
9.4 MRI装置の安全管理

10.超音波画像診断装置
10.1 超音波の特性
10.2 原理
 10.2.1 基本原理
 10.2.2 表示モード
 10.2.3 走査方式
 10.2.4 超音波ドプラ法
 10.2.5 その他の検査法
10.3 構成・性能
 10.3.1 構成
 10.3.2 超音波画像診断装置の性能
 10.3.3 超音波画像診断装置の安全

11.眼底写真撮影装置(眼底カメラ)
11.1 眼球の構造
11.2 原理・構成
演習問題

引用・参考文献
索引

小倉 泉(オグラ イズミ)

根岸 徹(ネギシ トオル)

齋藤 祐樹(サイトウ ヒロキ)

沼野 智一(ヌマノ トモカズ)

安部 真治(アベ シンジ)