ベクトル解析
ベクトル解析を正しく理解し,数学的・物理的に正しく扱える技術を身につける。
- 発行予定日
- 2026/12/上旬
- 判型
- A5
- ページ数
- 158ページ
- ISBN
- 978-4-339-06138-3
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
本書では天下り的な説明は避け,数学的な裏づけのもと,丁寧に式展開を行いその意味を記述した。また,直角座標だけでなく,円柱座標系および球座標系のベクトル解析も記述した。問や演習問題を用意し,その解答例も丁寧に記載した。
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
ベクトル量とは大きさと,方向をもつ量である。自然界には風や水の流れなど,その大きさの他に方向を指定しないと表せない量が多くある。実は身の回りにある量をよくよく見てみれば,そのほとんどはベクトル量であることに気がつく。これらベクトル量を適切に扱い,その特性を理解するにはベクトル解析の考え方が必要である。本書はベクトルを正しく理解し,数学的・物理的に正しく扱える技術を身につけることを目標に記載する。
では,ベクトルを正しく扱えるとはどのようなことであろうか。別々の方向から来る流れが,混ざるとどのような流れになるか予測できたり,地図の等高線からその傾きを知ることができることである。これは学問では,電磁気学,流体力学など多くの分野で重要であり,ベクトル解析を学ぶことは大変意義がある。
ベクトル解析に関する教科書を見ると,単位ベクトルの表記がさまざまで面白い。例えば,直角座標系(いわゆるx–y–zで示す座標)の基本ベクトル(単位ベクトル)はi, j, kであったり,ax, ay, azであったりする。悩みに悩んだが,本書では一番なじみのある,i, j, kを用いた。
最後に本書を執筆する際に意識したことを記述する。筆者が触れてきた多くのベクトル解析の教科書では,天下り的な説明が多く,付録でそのベクトル解析の意味合いを説明しているものが多かった。本書では,極力天下り的な説明は避け,数学的な裏づけをもって,丁寧に式展開を行いその意味を記述した。また,読者はスカラ関数の数学的扱いは長けていると考える。本書ではスカラ関数の扱いと対比させ,ベクトル関数の扱いを説明している。さらに,多くのベクトル解析の教科書では,直角座標におけるベクトル解析に終始している印象がある。しかし直角座標は立方体などを表すのには適しているが,世の中には円柱のものや球形のものが多くある。本書ではこのような座標におけるベクトル解析にも対応できるように,7章に円柱座標系および球座標系におけるベクトル解析について記述している。7章は応用的な位置づけであるので,必要に応じて学んでほしい。そして,付録においてダイアド(テンソル)の扱い方を示した。ダイアドとは,ベクトルとベクトルをつなぐ行列のことである。線形代数においては写像という概念を習ったが,同じ概念である。あるベクトルをいくら定数倍してもその結果は同じ向きを向いている。しかし,電流の流れる方向とそこから放射される電界は同じ方向を向かないが因果関係がある。この関係を結ぶにはダイアドの考えが必要になる。こちらも,必要に応じて学んでほしい。そして,ベクトル解析を理解するにあたり,演習問題を解くことは重要である。本書では可能な限り多くの演習問題を用意した。そしてその解答例も丁寧に記載した。
本書を通して読者のベクトル解析についての理解が深まること,および読者の学術的裾野が広がることを期待する。
2026年11月
有馬卓司
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.ベクトル量とベクトルの代数
1.1 ベクトル量とベクトル関数
1.1.1 スカラ量とスカラ関数
1.1.2 ベクトル量・ベクトル関数・ベクトルの表記
1.2 直角座標系と基本ベクトル
1.2.1 ベクトルの線形性
1.2.2 直角座標系と基本ベクトル
1.2.3 ベクトルの成分表示と位置ベクトル
1.2.4 ベクトルの大きさ
1.2.5 方向余弦
1.3 ベクトルの代数演算
1.3.1 ベクトルの和・差,スカラ倍
1.3.2 任意方向の大きさ1のベクトル(単位ベクトル)
1.4 ベクトルの積
1.4.1 内積
1.4.2 外積
1.4.3 三重積
章末問題
2.ベクトル関数の微分・積分
2.1 ベクトル関数の導関数
2.1.1 ベクトル関数とその変化量
2.1.2 ベクトル関数の導関数の定義
2.1.3 ベクトル関数の導関数に関する演算法則
2.2 ベクトル関数の積分
2.2.1 スカラ関数の積分
2.2.2 ベクトル関数の積分
2.2.3 ベクトル関数の部分積分と諸公式
2.2.4 ベクトル関数の線積分
2.2.5 ベクトル関数の面積分
2.2.6 ベクトル関数の体積積分
章末問題
3.勾配
3.1 スカラ関数の勾配
3.2 勾配に関する公式
3.3 勾配と最大傾斜方向
3.4 勾配と方向微分係数
3.5 勾配の応用例
3.5.1 最急降下法
3.5.2 電磁気学
3.5.3 その他の応用例
章末問題
4.ベクトルの湧き出しと発散
4.1 湧き出し
4.2 発散に関する公式
4.3 ラプラシアン
4.4 発散の応用例
章末問題
5.ベクトルの回転量と回転
5.1 ベクトルの回転
5.1.1 ベクトルの回転の意味
5.1.2 回転の定義
5.2 回転に関する公式
5.3 その他の公式
5.4 勾配の回転および回転の発散
5.5 回転の応用例
章末問題
6.積分定理
6.1 ガウスの定理
6.2 ガウスの定理の応用例
6.2.1 電磁気学
6.2.2 流体力学
6.3 ストークスの定理
6.4 ストークスの定理の応用例
6.4.1 電磁気学
6.4.2 流体力学
6.5 グリーンの定理
章末問題
7.円柱座標系および球座標系
7.1 円柱座標系
7.1.1 円柱座標系の定義
7.1.2 円柱座標系での勾配
7.1.3 円柱座標系での発散
7.1.4 円柱座標系での回転
7.1.5 円柱座標系でのラプラシアン
7.2 球座標系
7.2.1 球座標系の定義
7.2.2 直角座標系および円柱座標系との関係
7.2.3 球座標系の勾配・発散・回転・ラプラシアン
章末問題
付録
A.1 各種公式
A.2 ダイアド(テンソル)
A.2.1 ダイアド(テンソル)について
A.2.2 ダイアドの導出
A.2.3 ダイアドの特徴
A.2.4 ダイアドとベクトルの積
A.2.5 ダイアディック関数の微分公式
A.2.6 ダイアディック関数の積分公式
引用・参考文献
解答
索引








