水環境工学

土木・環境系コアテキストシリーズ F-1

水環境工学

水循環系全体や上下水道システムの理解,そのシステムの運営・維持管理に必要な知識を得る

ジャンル
発行年月日
2021/11/22
判型
A5
ページ数
232ページ
ISBN
978-4-339-05644-0
水環境工学
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定価

3,300(本体3,000円+税)

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【読者対象】
土木工学系の学生,上下水道分野の実務者・技術者

【書籍の特徴】
従来の上下水道工学や水環境工学の教科書では,それぞれ独立して章の構成がなされていた上水道と下水道を,本書では,計画,水輸送系,水処理という分類分けのなかで,水道と下水道を並列させて記載しました。

計算に関する例題,本質の理解を助けるための演習問題を豊富に配置して,教科書としての位置づけをやや強くしています。

土木工学を学ぶ学生が,都市の水循環系の理解に必要な事項
・都市をめぐる自然および人為的な水循環系全体の理解
・それを形づくっている水道および下水道システムの理解
・上下水道システムを運営し,維持管理するために必要な知識
など,実務者となった後にも実践能力として身につけることを目的としています。

都市が存立するためには,十分な量の清廉な水の確保と,使った水を衛生的に排除することが必須であり,これは歴史からも学ぶことができよう。また,都市における水環境を良好に保ち,市民が安全で豊かな生活をすごすことができるよう,土木工学を学ぶものは,都市における健全な水循環系を構築し,これを維持・管理するための知識と応用能力を身につけることが求められる。まさに土木工学が市民工学(civil engineering)であることの所以でもあろう。

本書は,土木工学を学ぶ学生が,都市の水循環系について理解するために必要な事項を理解し,実務者となった後にも実践能力としてこれを身につけることを目的に書かれたものである。具体的には,都市をめぐる自然および人為的な水循環系全体の理解,それを形づくっている水道および下水道システムの理解,上下水道システムを運営し,維持管理するために必要な知識などを得ることを目的としている。水循環系および上下水道システムを理解するためには,力学,化学,生物学などの自然科学から,河川工学,水理学,地盤力学,コンクリート工学,水処理工学などの土木工学系基礎学問,さらには,社会制度や法律などまで及ぶ幅広い分野の知識が必要となるが,本書はこれらの内容をコンパクトなサイズに収めるため,本質的な事項については妥協せずに細部に至るまで記載しながら,本質の理解に不必要と思われる部分は大胆にカットしている。

また,従来の上下水道工学あるいは水環境工学の教科書が,上水道と下水道はそれぞれ独立して章の構成がなされることがつねであったものの,本書では,計画,水輸送系,水処理という分類分けのなかで,水道と下水道を並列させて記載するようにした。これは,両者が行政上の観点からは別々に区分されること(わが国では,水道が厚生労働省所管,下水道が国土交通省所管)に伴って,ともすれば産業界や学会も別々に分かれて活動している現状に対する筆者の強い問題意識によるものでもあるし,そもそも両システムは管路と処理システムから構成されているという類似点が大きいという認識にもよるものである。

また,本書では計算に関する例題,本質の理解を助けるための演習問題を豊富に配置して,学生が学ぶための教科書としての位置づけをやや強くしているが,もちろん上下水道分野の実務者・技術者にも参考になるよう配慮もしており,水環境工学の本質を理解するための道標となるものと信じている。

2021年9月
長岡 裕

1. 水環境工学のための基礎
1.1 水の物理化学的性質
 1.1.1 水の化学的性質
 1.1.2 水の物理的性質
 1.1.3 水の流れに関する基礎
1.2 水質指標の概要
 1.2.1 水質指標の種類と体系
 1.2.2 外観や固形物などにかかわる指標
 1.2.3 無機イオンに関連する指標
 1.2.4 有機物関連指標
 1.2.5 栄養塩類
 1.2.6 微生物指標
 1.2.7 有害物質・重金属類
1.3 微生物の種類と反応
 1.3.1 微生物の種類と水系における存在
 1.3.2 微生物による反応式
1.4 水域における水質変換機構
 1.4.1 河川における自浄作用の式
 1.4.2 湖沼など閉鎖性水域における反応とモデル化
 1.4.3 地下水汚染
演習問題

2. 都市における水循環系
2.1 流域における水循環系
 2.1.1 自然の水循環系
 2.1.2 流域とは
 2.1.3 流域内の水収支
 2.1.4 わが国における水資源の概況
 2.1.5 水資源開発・水源・水利権の考え方
2.2 都市における水循環系の概要
 2.2.1 都市における水循環系
 2.2.2 水供給システムの種類
 2.2.3 下排水処理システムの種類
2.3 水環境にかかわる法制度
 2.3.1 水にかかわる法制度の体系
 2.3.2 水質環境基準
 2.3.3 排水基準
 2.3.4 水道水質基準
 2.3.5 下水排除基準
 2.3.6 水質総量規制
2.4 流域単位での水環境保全計画の考え方
 2.4.1 基礎調査
 2.4.2 汚濁負荷量の予測―原単位を用いた水需要および負荷量の算出―
 2.4.3 汚濁解析
 2.4.4 汚濁負荷削減計画
2.5 水質環境基準の達成状況
演習問題

3. 上下水道システムの概要と基本計画
3.1 上下水道システムの概要
 3.1.1 水道システムの概要
 3.1.2 下水道システムの概要
3.2 上下水道システムの基本計画
 3.2.1 水道の基本計画
 3.2.2 下水道の基本計画
演習問題

4. 上下水道における水輸送系の設計
4.1 水輸送系の概要
4.2 管路の材質
 4.2.1 上下水道システムに用いられる管種
 4.2.2 鉄系管
 4.2.3 コンクリート管
 4.2.4 樹脂管
4.3 管の施工方法
 4.3.1 開削工法
 4.3.2 推進工法
 4.3.3 シールド工法
 4.3.4 更生工法
4.4 水道システムの水輸送系
 4.4.1 貯水施設
 4.4.2 取水施設
 4.4.3 導水施設
 4.4.4 送配水施設
 4.4.5 給水装置
4.5 下水道システムの水輸送系
 4.5.1 下水道の水輸送系の概要
 4.5.2 管きょ
 4.5.3 ポンプ場施設
演習問題

5. 水処理システム
5.1 水処理システムの基礎
 5.1.1 水処理システムの基本構成
 5.1.2 水処理単位操作の基礎
5.2 物理化学的プロセスの基礎
 5.2.1 沈殿
 5.2.2 凝集
 5.2.3 ろ材ろ過
 5.2.4 塩素処理
 5.2.5 オゾン処理
 5.2.6 活性炭吸着
 5.2.7 膜ろ過
 5.2.8 脱水
5.3 生物反応装置の基礎
 5.3.1 微生物反応装置の設計
 5.3.2 浮遊微生物法の基礎
 5.3.3 生物膜法の概要
演習問題

6. 水処理のシステム構成
6.1 浄水処理
 6.1.1 浄水方法の種類
 6.1.2 着水井と浄水池
 6.1.3 緩速ろ過方式
 6.1.4 急速ろ過方式
 6.1.5 高度浄水処理(オゾン+粒状活性炭)
 6.1.6 膜ろ過方式
 6.1.7 紫外線処理
 6.1.8 海水淡水化
6.2 下水処理
 6.2.1 下水処理の基本的な仕組み
 6.2.2 下水処理法の種類と概要
 6.2.3 活性汚泥法
 6.2.4 生物膜法
6.3 汚泥処理
 6.3.1 汚泥の分類と発生量
 6.3.2 汚泥処理の代表的フロー
 6.3.3 汚泥濃縮
 6.3.4 嫌気性消化
 6.3.5 汚泥脱水
 6.3.6 汚泥焼却
 6.3.7 汚泥の有効利用
6.4 水再利用
 6.4.1 水再利用の概要
 6.4.2 再生水の水質基準
 6.4.3 水再利用の処理システム
6.5 分散型排水処理システム(浄化槽)
 6.5.1 分散型排水処理システムの概要
 6.5.2 浄化槽の種類
 6.5.3 浄化槽の処理システム
6.6 工場排水処理
 6.6.1 工場排水の質と処理対象物質
 6.6.2 重金属排水の処理の概要
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引

読者モニターレビュー【 S.I 様(ご専門:水処理設計)】

水環境への入門書ともいうべき本書の特筆すべき点は2点ある。

まず上下水道それぞれの内容が併記されている点である。それぞれ独立して語られる事が多い上下水道だが、実のところ処理の原理や運輸法、管路など共通項は多い。併記される事でそれらの共通項や異なる点がわかりやすくなっている。上下水道を比較しながら学ぶ事でより広い視点から水環境を考えられると感じた。

2点目は、これから必要となる技術の紹介が豊富である点だ。膜処理などの比較的新しい処理技術にページが大きく割かれている印象を受けた。これからの上下水道に欠かせない知識を習得できるだろう。

本書では、より広い視点でこれからの上下水道を考えるための知識を身につける事ができる。水環境に関わる学生や、他の分野から水環境に関わることになった実務者に勧めたい最初の1冊である。

長岡 裕(ナガオカ ヒロシ)

「土木学会誌」2022年1月号 掲載日:2022/01/12

掲載日:2021/12/20

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掲載日:2021/11/01

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