工業力学の基礎

工業力学の基礎

初歩的な数学や物理学の知識だけで工業力学の基礎を理解することができるようにした大学・高専向けの教科書。

ジャンル
発行年月日
2016/12/16
判型
A5
ページ数
230ページ
ISBN
978-4-339-04648-9
工業力学の基礎
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定価

3,080(本体2,800円+税)

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  • 内容紹介
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  • 目次
  • 著者紹介

本書は,初歩的な数学や物理学の知識だけで工業力学の基礎を理解することができるようにした大学・高専向けの教科書である。特に基本的な問題を多く取り入れて,基礎力の充実を図ることを念頭においてまとめている。

工業力学は,工業高等専門学校や大学工学部の機械系の学科において,工学の基礎となる重要な科目である。機械系の学科で学習する力学関連の科目には,材料力学,機械力学,流体力学,熱力学のいわゆる4力学と呼ばれている科目があるが,工業力学は,これらの力学関連の科目の基礎となる科目である。教養課程においても多くの学生諸君は物理(物理学)の中で力学を学習したかと思うが,その内容をより実際の機械構造物に応用して学習するのが工業力学である。

本書では,工業高等専門学校や大学工学部の機械系の学科の低学年において,はじめて工業力学を学習しようとする学生諸君が,基礎知識がほとんどなくても工業力学の基礎を理解し,その諸問題を解決するための糸口を見出すことができるように,基礎事項をよりわかりやすく詳しく解説した。工業力学の習得後に学習する力学関連の科目の入門書として本書を活用してほしい。特に機械工学を志す学生諸君は,本書を繰り返し学習することによってその内容を理解し,工業力学の基礎について理解をより深めていただきたい。本書は,基礎をわかりやすく丁寧に解説しているとはいっても,その内容のレベルを低くしていることはなく,学生諸君にも十分に満足していただける一定のレベルを維持することができたと自負している。

各章には多くの例題を挙げて,理解を深めるためにできるだけ詳しく解説を加えた。これらの例題には,比較的基本的な問題を精選し,例題を理解するだけで工業力学の基礎が習得できるように心がけた。より深く学習したい学生諸君は,さらに章末の演習問題を解答して理解を深めていただきたい。本書での学習によって,工業力学の基礎を理解し,機械工学の基幹科目である工業力学を習得して得られた知識が,今後の学習や研究に繋がれば幸いである。本書を執筆するにあたり多くの図書を参考にした。また,コロナ社の方々には,本書を出版するにあたり多大なご協力をいただいた。この場を借りて心からお礼申し上げる。

2016年10月 著者

0. 力学を学ぶための準備
0.1 有効数字
 0.1.1 誤差と有効数字
 0.1.2 有効数字を明示する表記法
 0.1.3 有効数字を考慮した測定値の計算方法
0.2 力学で用いられる物理量と単位
演習問題

1. 力とモーメント
1.1 力と力学
 1.1.1 力学の分類
 1.1.2 力とベクトル
1.2 一点に働く力
 1.2.1 二つの力の合力
 1.2.2 力の分解
 1.2.3 力の成分
 1.2.4 一点に働く多数の力の合力
1.3 剛体に働く力
 1.3.1 力のモーメント
 1.3.2 モーメントの合成
 1.3.3 剛体に働く二つの力の合力
 1.3.4 剛体に働く複数の力の合力
1.4 偶力
1.5 図式解法
演習問題

2. 力の釣合い
2.1 一点に働く力の釣合い
 2.1.1 一点に働く二つの力の釣合い
 2.1.2 一点に働く三つ以上の力の釣合い
2.2 剛体上の複数の点に働く力の釣合い
 2.2.1 力の釣合いの条件
 2.2.2 剛体に働く力の洗い出し
 2.2.3 剛体に働く二つの力の釣合い
 2.2.4 剛体に働く三つの力の釣合い
2.3 反力
 2.3.1 接触している物体から受ける反力
 2.3.2 支点と支点反力
2.4 トラス
 2.4.1 接点法
 2.4.2 切断法
演習問題

3. 重心
3.1 重心
3.2 重心位置の測定法
3.3 パップスの定理
3.4 物体の安定性と重心
 3.4.1 釣合いの安定性
 3.4.2 物体の転倒
3.5 分布力
演習問題

4. 運動学
4.1 並進運動
 4.1.1 直線運動の速さ
 4.1.2 直線運動の速度
 4.1.3 速さ,速度の単位
 4.1.4 直線運動の加速度
 4.1.5 等加速度直線運動
 4.1.6 曲線運動の変位,速度,加速度
 4.1.7 放物運動
4.2 相対運動
4.3 回転運動
4.4 等速円運動と等角加速度円運動
演習問題

5. 質点の動力学
5.1 ニュートンの運動の法則
 5.1.1 第1法則:慣性の法則
 5.1.2 第2法則:運動方程式
 5.1.3 第3法則:作用・反作用の法則
5.2 慣性力
5.3 求心力と遠心力
演習問題

6. 剛体の動力学
6.1 固定軸のまわりの回転運動
 6.1.1 回転運動の方程式
 6.1.2 剛体の回転による不釣合い
6.2 慣性モーメントに関する定理
6.3 簡単な形状の物体の慣性モーメント
 6.3.1 細い棒
 6.3.2 長方形の板と直方体
 6.3.3 円板と直円柱
 6.3.4 球
6.4 剛体の平面運動
6.5 剛体の平面運動の方程式
演習問題

7. 摩擦
7.1 静摩擦
7.2 摩擦角
7.3 動摩擦
7.4 転がり摩擦
7.5 機械要素などの摩擦
 7.5.1 ベルト
 7.5.2 ブレーキ
 7.5.3 くさび
 7.5.4 ねじ
 7.5.5 軸受
演習問題

8. 運動量と力積
8.1 運動量
8.2 力積
8.3 運動量と力積との関係
8.4 運動量保存の法則
8.5 角運動量と力積のモーメント
8.6 角運動量保存の法則
8.7 物体の衝突
 8.7.1 はね返り係数(反発係数)
 8.7.2 斜め衝突
 8.7.3 動いている物体どうしの衝突
 8.7.4 偏心衝突
 8.7.5 打撃の中心
演習問題

9. 仕事,動力,エネルギー
9.1 仕事
 9.1.1 仕事と単位
 9.1.2 重力がする仕事
 9.1.3 摩擦がする仕事
 9.1.4 ばねがする仕事
9.2 動力
9.3 エネルギー
 9.3.1 運動エネルギー
 9.3.2 位置エネルギー
 9.3.3 回転運動エネルギー
 9.3.4 力学的エネルギー保存の法則
 9.3.5 力学的エネルギー保存の法則の応用
 9.3.6 てこ,滑車,輪軸
 9.3.7 機械の効率
演習問題

10. 振動
10.1 単振動
10.2 1自由度系の自由振動
10.3 1自由度系の減衰自由振動
 10.3.1 過減衰(ζ>1)
 10.3.2 臨界減衰(ζ=1)
 10.3.3 不足減衰(ζ<1)
10.4 等価ばね
10.5 共振
10.6 2自由度系の振動
演習問題

引用・参考文献
演習問題解答
索引

福田 勝己(フクダ カツミ)