情報基礎
本文2色刷りの紙面とWeb教材でデータサイエンス・AIの理解が進む新世代型テキスト
本書では,データの種類や集め方,整理や活用の仕方を学びます。さらに,データの特徴を正しく読み取り,表やグラフでわかりやすく伝える方法や,データやAIが社会や産業の中でどう役立てられているのかを見ていきます。個人情報やセキュリティなど,適切に利用するために必要な考え方も取り上げます。初めてデータサイエンスやAIを学ぶ皆さんにも読んでいただけるように身近な例や工学的な例と結びつけながら理解しやすい内容としています。
- 発行予定日
- 2026/12/中旬
- 判型
- B5 2色刷り
- 予定ページ数
- 160ページ
- ISBN
- 978-4-339-01461-7
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
【本文2色刷】どのような分野を学ぶ人にとっても,データを根拠に考える力は必要です。本書では,データの種類や集め方,整理や活用の仕方を学びます。さらに,データの特徴を正しく読み取り,表やグラフでわかりやすく伝える方法や,データやAIが社会や産業の中でどう役立てられているのかを見ていきます。個人情報やセキュリティなど,適切に利用するために必要な考え方も取り上げます。初めてデータサイエンスやAIを学ぶ皆さんにも読んでいただけるように身近な例や工学的な例と結びつけながら理解しやすい内容としています。紙面では,基本的な考え方と代表的な事例を扱います。表計算ソフトやPythonを用いた実習,詳しい操作手順,演習用データ,追加の事例,発展課題などはWeb教材に用意しました。紙面で考え方をつかみ,Web教材で手を動かしながら,理解を深められる構成としました。
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
ここ数年,皆さんを取り巻く情報の世界は驚くほど大きく変わりました。
スマートフォンを開けば,天気や電車の遅れ,道路の混雑がすぐにわかります。動画や音楽をすすめてもらい,生成AIに問いかければ,文章や画像,音楽や動画まで作ってもらえます。少し前なら未来の話に思えたことが,いつの間にか日常になりました。
その背景には,インターネットの発展とIoT機器やセンサの普及があります。さまざまな場所から大量のデータが集まるようになり,それを処理するコンピュータの性能も高まりました。これらが組み合わさって大きく発展してきたのがAI(artificial intelligence:人工知能)です。この変化はまだ途中であり,これからも続いていくでしょう。
けれども,AIやデータサイエンスと聞くと,数学が得意な人や研究者,プログラミングを専門とする開発者だけが学ぶもので,「自分には関係がない」と思う人もいるかもしれません。
じつは,そうではありません。AIを自分で開発しなくても,私たちはAIが関わった情報を受け取り,それをもとに選択や判断をする立場にあります。仕組みを知ることは,情報に振り回されず,自分で考えるために欠かせないのです。
大切なのは,表示された数字やAIの答えを,そのまま受け入れないことです。
・そのデータは,誰が,なんのために集めたのでしょうか。
・表やグラフは,なにを伝えようとしているのでしょうか。
・二つのできごとに関係が見えても,本当に一方がもう一方の原因なのでしょうか。
・AIが出した答えには,誤りや,学習に使われたデータの影響が含まれていないでしょうか。
・便利なサービスのために,自分やほかの人の情報をどこまで利用してよいのでしょうか。
こうした問いを持ち,根拠を確かめながら考える力が,これからますます重要になります。
本書では,データの種類や集め方,整理や活用の仕方を学びます。さらに,データの特徴を正しく読み取り,表やグラフでわかりやすく伝える方法や,データやAIが社会や産業の中でどう役立てられているのかを見ていきます。個人情報やセキュリティなど,適切に利用するために必要な考え方も取り上げます。
AIは,人間のように自分の意思や価値観を持って答えているわけではありません。学習に使われたデータから傾向を見つけ,それをもとに答えを作っています。そのため,学習データに特定の考え方が多く含まれていたり,特定の立場や属性に関するデータが少なかったりすると,答えにもその影響が現れることがあります。これをAIの偏り,またはバイアスといいます。なぜ偏りが生まれるのか,AIの答えをどう確かめればよいのかも,本書で考えていきます。
本書でおもな読者として想定しているのは高等専門学校の低学年ですが,大学で初めてデータサイエンスやAIを学ぶ皆さんにも読んでいただける内容を目指しました。工学や情報だけでなく,社会,人文,経済,教育,医療など,どのような分野を学ぶ人にとっても,データを根拠に考える力は必要です。
数学やプログラミングに不安があっても,最初からすべてを理解している必要はありません。スマートフォン,買い物,交通,学校生活などの身近な例と,センサによる計測,製造ライン,ロボット,エネルギー管理などの工学的な例を結びつけながら,少しずつ考え方を広げていきます。学生Aさん,学生Bさん,AI先生の対話も,皆さんの素朴な疑問を整理する手助けとなるでしょう。
紙面では,基本的な考え方と代表的な事例を扱います。表計算ソフトやPythonを用いた実習,詳しい操作手順,演習用データ,追加の事例,発展課題などはWeb教材に用意しました。紙面で考え方をつかみ,Web教材で手を動かしながら,理解を深められる構成です。データやAIは,すべての問題に正解を与えてくれる魔法の道具ではありません。なにを解決したいのかを考え,必要なデータを選び,結果を確かめ,最後に判断するのは人の役割です。AIを使うこと自体を目的にせず,なにを任せ,なにを自分で考えるのかを見極めることが大切です。
本書を読み終えたとき,身の回りの数字やグラフ,ニュース,AIの答えが,これまでとは少し違って見えているはずです。データから問いを見つけ,根拠をもとに考え,ほかの人に伝える。その最初の一歩を,ここから一緒に始めましょう。
本書の執筆と改訂にあたっては,多くの方々から貴重なご助言とご協力をいただきました。原稿を丁寧にお読みいただき,初学者の視点からご指摘をくださった査読者の皆様,編集や刊行に向けてご尽力いただいた関係者の皆様に,心より御礼申し上げます。日々の授業や教材の実践を通して率直な疑問や意見を寄せてくれた学生の皆さんにも,深く感謝いたします。皆様との対話が,本書をよりわかりやすく,実践的なものへと育ててくれました。
そして,長期間にわたる執筆と改訂を温かく見守り,支えてくれた家族にも,心から感謝します。
2026年11月
藤本健司
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.データが変える私たちの世界
1.1 身近に潜むデータとAI
1.1.1 データの正体とAIの役割
1.1.2 生活を彩るAIとロボット
1.2 Society 5.0とサイバー空間・現実空間の融合
1.2.1 人間社会の進化とSociety 5.0
1.2.2 産業革命の歴史
1.3 テクノロジーの進化の背景
1.3.1 第4次産業革命を支える三つの要素
1.3.2 AIの進化の歴史‒三つのブーム‒
1.3.3 変わる産業と仕事
1.4 データ思考(新しい世界の見方)
1.4.1 データ駆動型社会
1.4.2 人間の知的活動を起点としたものの見方
1.4.3 データを起点としたものの見方(データ思考)
1.5 生成AIで広がる可能性
1.5.1 生成AIとはなにか
1.5.2 プロンプトエンジニアリングとハルシネーション
1.5.3 AIとの協働
理解度チェック
章末問題
2.データの宝庫‒現代社会でのデータ活用‒
2.1 さまざまなデータの形
2.1.1 整理された構造化データ
2.1.2 そのままでは扱いにくい非構造化データ
2.1.3 柔軟な半構造化データ
2.1.4 データの形式による比較
2.2 データの収集と公開
2.2.1 データの発生源‒一次データと二次データ‒
2.2.2 社会を支えるオープンデータ
2.2.3 データの使い分けと信頼性
2.3 センシング技術とIoT
2.3.1 現実をデジタル化する各種センサ
2.3.2 ものをつなぐIoT
2.3.3 位置情報とストリームデータ
2.4 社会におけるデータ利活用事例
2.4.1 公共交通‒移動の流れをつかむ‒
2.4.2 スマート農業‒経験と観測をつなぐ‒
2.4.3 防災・減災‒早く気づき,被害を小さくする‒
2.4.4 教育‒一人ひとりに寄り添う学び‒
2.5 ビジネスにおけるデータ利活用
2.5.1 シェアリングエコノミー‒必要な人と資源を結びつける‒
2.5.2 レコメンデーション‒おすすめをつくる仕組み‒
2.5.3 POSデータ‒売れた瞬間をつぎの判断につなげる‒
理解度チェック
章末問題
3.データの広がり‒活用領域と技術‒
3.1 産業・研究分野への応用
3.1.1 研究開発と製造でAIはなにをしているのか
3.1.2 物流とマーケティングでAIはなにをしているのか
3.1.3 産業や研究の現場に共通するAI活用の考え方
3.2 データサイエンスのサイクル
3.2.1 課題を解ける形にし,データを整える
3.2.2 探索的データ解析と解析・推論
3.2.3 結果を共有し,解決策につなげる
3.3 データから価値を生む技術
3.3.1 予測‒まだ起きていないことを見通す‒
3.3.2 最適化‒たくさんの選択肢からよりよい案を探す‒
3.3.3 データ同化‒観測しながら予測を更新する‒
3.3.4 シミュレーション‒現実を計算の中で試してみる‒
3.4 AIの得意・不得意と限界
3.4.1 特化型AIと汎用AI
3.4.2 AIの得意なことと苦手なこと
3.4.3 ハルシネーションと人の確認
3.4.4 シンギュラリティをどう考えるか
3.5 アイデア創出ワークショップ
3.5.1 課題発見から仮説立案へ
3.5.2 計画策定と提案
理解度チェック
章末問題
4.データを読む力‒分析の羅針盤を手に‒
4.1 データの種類と尺度
4.1.1 質を分類する質的変数と尺度
4.1.2 量を測る量的変数
4.1.3 分析におけるデータの役割‒説明変数と目的変数‒
4.2 代表値とデータの分布
4.2.1 データの中心を表す代表値
4.2.2 データ全体の形を見るヒストグラム
4.2.3 偏った分布とロングテール
4.3 ばらつきと異常の検知
4.3.1 データの散らばりを表す分散と標準偏差σ
4.3.2 集団の中での位置を比べる偏差値
4.3.3 外れ値と異常検知
4.4 相関と因果の読み解き
4.4.1 相関係数と散布図
4.4.2 原因と結果としての因果
4.4.3 疑似相関と交絡因子
4.5 データ分析の基礎実習
4.5.1 誤差の正体‒系統誤差と偶然誤差‒
4.5.2 母集団と標本
4.5.3 クロス集計表で関係を見る
理解度チェック
章末問題
5.データを説明する力‒伝えるための可視化技術‒
5.1 可視化はなんのために行うのか
5.1.1 比較と推移‒棒グラフと折れ線グラフ‒
5.1.2 関係と広がり‒散布図とヒートマップ‒
5.1.3 分布の特徴をつかむ‒箱ひげ図‒
5.2 グラフの選択とメッセージ
5.2.1 目的から逆算してグラフを選ぶ
5.2.2 比較基準をそろえる
5.2.3 インサイトを一文で表す
5.2.4 図表化の流れを整える
5.3 情報デザインと誠実さ
5.3.1 視覚的階層を作る
5.3.2 アクセシビリティを意識する
5.3.3 誠実なスライド構成を考える
5.4 不適切な表現に惑わされない力
5.4.1 切断グラフと軸の確認
5.4.2 チャートジャンクを見分ける
5.4.3 批判的思考でグラフを読む
5.5 可視化実習‒比較の視点‒
5.5.1 条件をそろえた比較
5.5.2 前後比較とスロープチャート
5.5.3 A/Bテストで二つの案を比べる
5.5.4 比較から説明へつなげる
理解度チェック
章末問題
6.データ・AI利活用の心得
6.1 個人情報保護と法規制
6.1.1 個人情報とプライバシー
6.1.2 個人情報保護法とGDPR
6.1.3 忘れられる権利とオプトアウト
6.2 データ倫理とELSI
6.2.1 ELSIとはなにか
6.2.2 ねつ造・改ざん・盗用
6.2.3 公平性・説明責任・人間中心の判断
6.3 情報セキュリティの3要素
6.3.1 機密性
6.3.2 完全性
6.3.3 可用性
6.4 情報を守る技術と規格
6.4.1 日本産業規格(JIS)とルールの役割
6.4.2 匿名加工
6.4.3 暗号化と多要素認証
6.5 AI社会原則とバイアス
6.5.1 AI社会原則の考え方
6.5.2 アルゴリズムの偏りとデータバイアス
6.5.3 Human‒in‒the‒Loopと批判的思考
理解度チェック
章末問題
7.未来を作るデータ思考
7.1 データサイエンスの真価
7.1.1 データサイエンスのサイクルを回す力
7.1.2 問いがデータの価値を決める
7.1.3 データに基づく意思決定
7.2 深層学習と最新AI技術
7.2.1 深層学習が見つける複雑な特徴
7.2.2 代表的な最新AI技術を使い分ける
7.3 次世代の生活と基盤モデル
7.3.1 基盤モデルが変える学びと仕事
7.3.2 便利さの時代に,人が持ち続ける判断
7.4 データ思考プロジェクト企画
7.4.1 課題を企画に変える
7.4.2 企画シートを作ってみよう
7.4.3 未来を作る小さな一歩
理解度チェック
章末問題








