ポイント整理 電気回路 - LTspiceで回路シミュレーション -

ポイント整理 電気回路 - LTspiceで回路シミュレーション -

回路理論の基礎を高校物理の復習や表形式の要点整理,LTspice演習を交え解説した。

ジャンル
発行年月日
2022/03/07
判型
B5
ページ数
264ページ
ISBN
978-4-339-00979-8
ポイント整理 電気回路 - LTspiceで回路シミュレーション -
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定価

4,840(本体4,400円+税)

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【読者対象】
電気・電子・機械・情報関連の学部・学科に学ぶ大学生・高等専門学校生・専門学校生など。電気回路理論を学びなおしたいエンジニア。LTspiceで回路理論を学びたい方。

【著者からのメッセージ】
 回路理論を苦手とする学生・エンジニアは多いです。現象がわかりにくいこと、数学を多用することが原因と思われます。解析力(計算力)をつけることは、もちろん大切なことですが、それ以前に,回路の見方(眺め方),問題の整理の仕方,解き方(考え方),そして何より回路現象をイメージできるようになることが重要です。

【書籍の特徴】
・例題や章末問題には問題の狙いを示しました。章末問題の詳解はコロナ社Webサイトを参照下さい。
・ 高校で物理を十分履修していない学生に配慮し,現象の説明をできるだけ加えました。また,頭の整理の助けとなるように表形式で整理することも試みました。
・ 数学の苦手な学生に配慮し,数式展開の省略をできるだけ避けました。また,演習の助けとなるよう、関数電卓の使用方法についても述べました。
・ 現象を眼で見て理解できるように、シミュレーションツールLTspice を利用した演習を加えました。LTspice のサンプルデータはコロナ社のWeb サイト(https://www.
coronasha .co . jp/np/isbn/9784339009798)からダウンロードできます。

【各章について】
1章では電気回路の基本を説明しました。
2~4章で抵抗回路で解析手法と現象を学びます。
5~7章で交流回路を学び、さらに、抵抗回路で学んだ解析手法を再度適用し、手法の正しい理解と定着を目指します。
8~13章で、結合回路、2端子対回路、三相交流回路、ひずみ波交流回路、分布定数回路、複エネルギー回路など、一通りの発展的な回路理論について、それぞれの基本概念と専門的な適用分野について解説しました。

はじめに
―電気回路理論の学び方―

電気回路理論は,広く電気・電子・情報関連学科の基礎科目であり,ロボティクス,情報通信,制御・システム,AI/IoTなど,現代社会を支える多くの技術分野の大変重要な理論である。

本書では,基本的な「回路理論」を学ぶ。「回路理論」とは何だろうか?一言でいえば,数学を使って「電気回路」を「解析」するための理論である。それでは,「電気回路」とは何か?線形素子,すなわち,理想化された抵抗,コンデンサ,コイル,および電源で構成された回路である。わずか3種類の素子が織りなす,しかし多彩で深遠な現象が生まれる。

それでは「解析」とは何か?「分析」は細かく調べることである。「解析」はただ調べるのでなく,論理に基づいて調べることである。工学では,論理とは数式である。つまり,「解析」とは数式に基づいて調べることである。「解析」は「設計」を行い,「設計」されたものを確認する手段でもある。「電気回路」を「解析」するとは,回路のすべての構成要素の電圧や電流を求めることである。

このように,電気回路理論の枠組みは非常にシンプルで明快である。しかし,回路理論を苦手とする学生は多い。一つには,回路現象は目で確認することができず,また体感を超える高速な現象が多いため,イメージを持ちにくいことも一因であろう。また,回路理論は数学を多用する理論である。数学の計算に埋没し,回路現象を味わうところまで至らない学生もいる。例えば,フェーザ表記は交流理論の大発明である。しかし,複素数の計算に一生懸命になるあまり,本来の正弦波現象から完全に遊離してしまっている場合もある。

電気回路理論は大学1~2年次に履修することが多い。解析力(計算力)をつけることももちろん大切だが,それ以前に,回路の見方(眺め方),問題の整理の仕方,解き方(考え方),そして何より回路現象をイメージできるようになることが重要であろう。

本書ではこのような目的のため,つぎの点に配慮した。
・各章冒頭に,学習目標を具体的に示し参照すべき節を記載した。
・高校で物理を十分履修していない学生に配慮し,復習や現象の説明をできるだけ加えた。また,頭の整理を助けるように表形式で体系的に整理することも試みた。
・数学の苦手な学生に配慮し,数式展開の省略をできるだけ避けた。また,有力なツールである関数電卓の使用方法についても述べた。
・数式展開だけでなく,現象を眼で見て理解できるようにシミュレーションツールLTspiceを利用した演習を加えた。
・LTspiceのサンプルデータと章末問題の詳解は本WEBページからダウンロードできるので活用いただきたい。

図1に回路理論の全貌と本書の各章の位置付けを示した。いろいろな分類法が考えられるが,集中定数と分布定数,定常現象と過渡現象の軸で大まかに整理した。

1~3章は広く回路理論の基礎となるため,多くのページを割いて例題も多く掲載した。多くの読者は小学校以来の学習により,抵抗回路(直流回路)についてかなりの予備知識をもっているであろう。一方,高校物理では抵抗回路と交流回路を別の単元で取り扱うため,これらの解析手法は全く異なるものであると認識されることもある。しかし,抵抗回路と交流回路は,いずれも線形集中定数システムと呼ばれる枠組みで記述でき,共通の解析手法が適用できる。

本書では,1~3章は抵抗回路で解析手法を段階的に学習し,5~7章で同様の解析手法を交流回路にくり返し適用することで,解析手法の正しい理解と定着を目指した。8章以降の各回路理論は,本来,各章で1冊の本を記述できるような拡がりと深みのある理論である。

また,本書では,各回路理論の入門学習と位置付け,卒業研究や技術者として仕事に取り掛かるときに手掛かりとなるように,それぞれの基本概念と用途や適用分野についてできるだけ記述した。4章と13章は電気回路のいわゆる過渡現象の入門であり,特に,エネルギーの観点から記述した。1~4章は緒方が,5~9章は新海と松永が,10~13章は新海が執筆した。

本書により,少しでも多くの学生が電気回路現象の不思議と面白さに触れ,さらに深くあるいは発展的な学びを進めてくれることを願ってやまない。

最後に,本書の刊行にあたりコロナ社の各位には大変お世話になった。ここに謝意を表する。

2022年1月 著者一同

1. 電気回路の基本
1.1 理想基本素子
1.2 電気回路の回路図と用語
1.3 電圧と電流
1.4 極性
1.5 電力と電力量
1.6 素子の接続
 1.6.1 直列接続
 1.6.2 並列接続
 1.6.3 その他の代表的な接続
1.7 キルヒホッフの法則
 1.7.1 代数和
 1.7.2 キルヒホッフの電流則
 1.7.3 キルヒホッフの電圧則
章末問題

2. 抵抗回路
2.1 抵抗素子
2.2 オームの法則
2.3 基本的な合成抵抗
 2.3.1 直列接続の合成抵抗
 2.3.2 並列接続の合成抵抗
 2.3.3 直列と並列を組み合わせた接続の合成抵抗
2.4 いろいろな合成抵抗
 2.4.1 Δ-Y変換(Y-Δ変換)
 2.4.2 Δ結線を含む合成抵抗
2.5 電源
 2.5.1 理想電源
 2.5.2 電源と内部抵抗
 2.5.3 電源の等価変換
2.6 分圧比と分流比
 2.6.1 分圧比
 2.6.2 分流比
 2.6.3 分圧比と分流比を用いた回路解析
2.7 電流計と電圧計
2.8 ブリッジ回路と抵抗値測定
章末問題

3. 回路解析手法
3.1 線形性と線形回路
3.2 重ね合わせの理
3.3 テブナンの定理とテブナン等価回路
3.4 最大電力供給の法則
3.5 回路方程式
 3.5.1 ループ電流法
 3.5.2 ノード電位法
章末問題

4. 蓄エネルギー素子と単エネルギー回路
4.1 コンデンサ
4.2 コイル
4.3 単エネルギー回路におけるエネルギー放出過程
 4.3.1 RC回路
 4.3.2 RL回路
4.4 単エネルギー回路におけるエネルギー蓄積過程
 4.4.1 RC回路
 4.4.2 RL回路
4.5 単エネルギー回路の解の導出と性質
章末問題

5. 交流回路の基礎
5.1 正弦波交流波形
5.2 正弦波交流のフェーザ表示
5.3 交流回路の基本素子とその性質
5.4 電圧と電流のフェーザ表示
5.5 交流回路の基本素子とオームの法則
章末問題

6. インピーダンスとアドミタンス
6.1 インピーダンスとアドミタンスの導入
6.2 合成インピーダンス
 6.2.1 回路素子1個の場合
 6.2.2 回路素子2個の場合
 6.2.3 回路素子3個の場合
6.3 交流回路の電力
 6.3.1 複素電力と力率
 6.3.2 瞬時電力波形と有効電力・無効電力の意味
6.4 共振現象
 6.4.1 RLC共振回路
 6.4.2 LTspiceによるRLC回路の周波数特性の計算
6.5 回路素子の良さ
 6.5.1 コイルやコンデンサのQ
 6.5.2 LTspiceによるQと共振特性の関係の調査
6.6 機械系とのアナロジー
章末問題

7. 交流回路の解析
7.1 交流電源と電源の等価変換
7.2 分圧と分流
7.3 キルヒホッフの法則
7.4 重ね合わせの理
7.5 最大電力供給条件と整合(マッチング)
7.6 ブリッジ回路
章末問題

8. コイルの結合回路
8.1 自己誘導と相互誘導
8.2 変成器の極性と等価回路
8.3 高結合回路と理想変圧器
8.4 低結合回路とその応用
章末問題

9. 二端子対回路理論の基礎
9.1 二端子対回路とは何か
9.2 二端子対回路の定式化とルール
9.3 二端子対回路パラメータの測定による求め方
9.4 二端子対回路パラメータの計算による求め方(回路の中身がわかっている場合)
9.5 二端子対回路の伝送的性質
9.6 二端子対回路の応用・フィルタの基礎
章末問題

10. 三相交流回路理論の基礎
10.1 三相交流回路の原理
10.2 三相交流回路の利点
10.3 三相交流回路の電源の結線
10.4 三相交流回路の負荷の結線
章末問題

11. ひずみ波交流理論の基礎
11.1 ひずみ波交流とは何か
11.2 ひずみ波交流波形のフーリエ級数展開
11.3 商用交流と高調波
11.4 高調波を含んだ電圧電流波形の実効値と電力の求め方
章末問題

12. 分布定数回路理論の基礎
12.1 何が電気エネルギーを運ぶのか
12.2 電圧や電流の波を表す式
12.3 分布定数回路理論と集中定数回路理論の適用判定
12.4 線路定数
12.5 電信方程式と一般解
12.6 入射波と反射波,特性インピーダンス
12.7 分布定数線路の入力端と出力端
12.8 反射
章末問題

13. 複エネルギー回路と交流電源回路の過渡現象
13.1 過渡現象解析に重要な事項の復習
13.2 複エネルギー回路の過渡現象
13.3 交流電源とRL回路の過渡現象
章末問題

付録A:物理量と国際単位系
付録B:測定と有効数字
付録C:関数電卓の基本操作
C.1 計算モード
C.2 表示形式
C.3 表示桁数
C.4 角度設定
C.5 大きな数と小さな数(指数部入力)
C.6 工学表記
C.7 メモリ機能
C.8 逆数
C.9 複素数の入力(CMPLXモード)
C.10 複素数の極座標変換(CMPLXモード)
C.11 連立方程式の計算(EQNモード)
付録D:LTspiceのインストールと使用方法
D.1 インストール
D.2 ツールバーと初期設定
D.3 シミュレーションの種類
D.4 回路図の作成とシミュレーションの実行
D.5 波形の表示
D.6 波形の値の読み取りと数式計算との比較
D.7 周波数特性のシミュレーション
付録E:回路や素子の特性を表す物理量の整理

章末問題略解
あとがき―より高度な理論を学ぶために―
索引

読者モニターレビュー【川上 太知 様 大阪府立大学工業高等専門学校(ご専門:パワーエレクトロニクス)】

本書は高専や大学で学ぶ電気回路の範囲を1冊で包括的に学ぶことができます。
同様に一冊でまとめている書籍は同社の「基礎からの電気回路論」などがありますが,
そちらと比較しても説明が非常に丁寧かつ図が豊富な点も素晴らしいです。
LTspiceによる回路シミュレーションだけでなく,Casio社の関数電卓の取り扱い方や
webページにある演習問題の詳解までサポートしているので非常に助かります。

非常に良い書籍ですが,11章(ひずみ波交流理論の基礎)が他の章と比較して
少し内容が少ないと感じられました。9章(二端子対回路理論の基礎)にて
フィルタの説明を行っているので,それらと対応付けて入力信号ののひずみ波の高調波成分が
フィルタを通してどれだけ改善されて出力されるかなどをシミュレーションを用いて
行うとより理解が深まるのではないかと感じました。
また,演習問題においても三角波や鋸波,矩形波の解析(波形率,波高率,ひずみ率等)などを
取り入れて様々な周期関数に触れさせるのも良いのではないかと思いました。

とはいえ,全体的に非常によくまとまっており,コラム(コーヒーブレイク)なども適宜入っており,
読者を飽きさせない工夫なども素晴らしい大変満足する一冊です。

新海 健(シンカイ タケシ)

早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了
東芝勤務を経て現在は、東京工科大学工学部電気電子工学科 教授、博士(工学)
専門は、電力システム工学、高電圧大電流工学、エネルギー工学

緒方 将人(オガタ マサト)

松永 真由美(マツナガ マユミ)

掲載日:2022/03/02

「電子情報通信学会誌」2022年3月号広告

掲載日:2022/03/01

「電気学会誌」2022年3月号広告

掲載日:2022/03/01

「日本音響学会 2022年春季研究発表会 講演論文集」広告