レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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無線通信およびネットワーク技術を初めて学ぶ人に,数式や理論だけでなく,なぜその技術が必要なのか,実際の通信システムでどのように利用されているのかを説明することで,無線通信システム全体を体系的に理解できる構成とした。
- 発行年月日
- 2026/10/15
- 定価
- 3,080円(本体2,800円+税)
- ISBN
- 978-4-339-02961-1
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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読者モニターレビュー【 MSat 様 (業界・専門分野:情報通信、自動車)】
掲載日:2026/10/21
本書は、ワイヤレスネットワーク分野の第一線で活躍される3名の著者によって執筆された教科書です。アンテナ、電波伝搬、変復調、MAC、ネットワーク、アプリケーション技術といった、本来であれば個別に学ぶことの多いテーマが1冊に体系的にまとめられています。ひと言で表すならば、ワイヤレスネットワークに関する幅広い知識を網羅的に学べる教科書といえるでしょう。
まえがきでは、無線通信およびネットワーク技術を初めて学ぶ学生や技術者を対象としていると述べられています。しかし、基礎知識を十分に持たない読者が独力で読み進めるには、やや難易度が高いと感じました。一方で、過去に無線通信を学んだ経験のある方にとっては、基礎事項の復習をしながら最新の技術動向にも触れることができる有用な一冊です。また、各章末に演習問題が用意されているだけでなく、その解答が巻末に掲載されている点も、本書の大きな特長といえます。
特に、第5章で扱われる応用技術は、他の教科書にはあまり見られない本書ならではの魅力です。電波の反射特性を制御することで無線環境そのものの最適化を目指すRIS(Reconfigurable Intelligent Surface)、無線通信の活用領域を空へと拡張するドローン技術、さらに情報伝送だけでなく電力の無線化を目指す無線電力伝送技術について、それぞれの専門分野の視点から解説されています。
評者自身もこの分野を専門としていますが、本書を通じて新たな気づきや発見を得ることができました。大学教育において何が重視され、何が扱われにくいのかという観点から読み進めるのも興味深く、初学者のみならず、専門家にとっても十分に読み応えのある一冊であると感じます。
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読者モニターレビュー【 松岡 大輔 様(業界・専門分野:プログラマー)】
掲載日:2026/10/14
まえがきで述べられているように、無線通信技術は多様な要素技術が組み合わさった複雑なものであり、かつ、実用のニーズに合わせて日々「進化」している。そのような無線通信技術の教科書として、本書はまず全体を要素技術や基礎技術にブレイクダウンし、そして、それを体系的に記述することを意図している。
200ページに満たない分量にかなりの情報量が詰め込まれており、無線通信技術の概要をつかむうえでの一定の網羅性を示しているのではないか。ひとつひとつの用語の説明は必ずしも厚くないが、そのぶんたたみかけるように名詞が列挙される書き方にはなかなか迫力がある。限られた分量のなかで包括性を目指している。
また、基礎理論から説き起こして現実への応用まで一貫したパースペクティブでとらえるという姿勢に体系性への志向が感じられる。ただし、結果的に、抽象度のさまざまな話題が密接に接続されていくので、議論はそれなりに複雑である。そこを解きほぐして、簡潔に記述する工夫はいろいろ見られる。そのひとつが数式の使用である。たとえばMIMO方式をチャネル行列を用いて数式で表現し、システム構成図と照らし合わせることで、multiple-input multiple-outputという複雑な状況を直感的に示す。さらに、演習問題では、モデルに数値を当てはめて確認させている。丁寧だと思う。
4章では、OSI参照モデルにMACを位置づけ、通信効率をパケット通信におけるIPスループットで表し、さらに段階的にUDP/TCPレベルのスループットへと進み、それを算出する数式に言及している。物理層の標準的な情報理論の記述を、上位層の性能指標まで接続している点が特徴的である。
本書では、複雑な無線通信技術をわかりやすく伝える試みがなされている一方、抽象度のレイヤーが多少込み入っている印象も受けた。技術体系の複雑さは保ち、提示が込み入っているところは、数式の使用や視覚的表現、演習問題など、さまざまな工夫で和らげている。学生は、数式を理解の補助としながら全体像をつかめば、コンパクトに体系的な知識が得られるし、数式の内容にまで踏み込んでより深い理解を目指すこともできる。また、応用への志向が明確にあるので、実務家が実際の技術の背後にある基礎理論を学ぶのにも使えるだろう。現実の応用への想像力をかき立てるおもしろい教科書だと思った。
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読者モニターレビュー【ちくわ 様(業界・専門分野:電気電子専攻)】
掲載日:2026/10/14
本書では、グラフや表だけでなく、具体的な対象を用いた概念図が示されており、技術の仕組みや利用場面をイメージしやすかった。また、通信方式の違いを人間同士の言語やマナーの違いに例えるなど、初学者にも理解しやすい工夫がされていると感じた。
さらに、ページ下部の注記には、本文の補足に加えて、誤解しやすい概念や計算上の注意点が記載されており、より正確な理解につながった。特に、変調では情報信号によって搬送波のパラメータを変化させるという説明が印象的であり、概念の本質を理解するうえで有益だった。
私は現在、磁界共振結合方式の無線電力伝送について研究しているが、本書ではアレーアンテナを用いたビームフォーミングによる空間伝送型無線電力伝送が紹介されていた。特に、複数端末への給電の可能性が示されており、自身の研究とは異なる方式や応用の可能性を学ぶことができた。自身の専門分野と比較しながら読むことで、新たな視点を得られた点も良かった。








