レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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ロボットにおける恒常性という観点に基づく行動創発を構成論的に追求。エージェントが身体の内部状態を保つための行動最適化という技術を扱い,外在的に定められた意味や目的を持たない生活体としての自律機械を機械獣と呼び解説。
- 発行年月日
- 2026/01/16
- 定価
- 4,290円(本体3,900円+税)
- ISBN
- 978-4-339-03402-8
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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読者モニターレビュー【 Mizu 様(業界・専門分野:組み込み)】
掲載日:2026/02/05
本書のタイトルを見てAIBOやASIMOのようなロボットについての書籍かな、と思った方もいらっしゃるのではないだろうか。
私もそのような期待を抱き拝読させていただいたが、内容は期待以上のものだった。
本書では特定の目的やタスクを持たない機械獣を作ることを目指し、強化学習に恒常性の概念を加えた手法を展開している。
近年、深層強化学習やLLMの発展が目覚ましく、関連する書籍も多いが、その多くが特定のタスクを達成するためのものであると感じている。
そのためAIBOのように友達ロボットとも言えるようなタスクには、どう適応すれば良いのかイメージが湧かない。
そのような方は、本書を読むことで上のようなロボットへのアプローチの一端が開けるのではないかと思う。
本書は8章で構成されており、前半3章が自律型ロボット/強化学習の基礎事項、後半5章が恒常性を組み込んだ強化学習と機械獣の構成について記述されている。
深層学習や強化学習に詳しくなくても理解できるように記述されているが、事前に学習しておいた方が、4章以降のハイライト部分の理解がはかどると感じる。
4章5章で恒常性を強化学習に適用するための報酬・アーキテクチャが丁寧に説明されており、タスク・目的を特定しないための方法論が理解できる。
5章までの準備基に6,7,8章で機械獣が論じられる。
ここはぜひ読んで体感して欲しいので詳しい内容は述べないが、ロボットに強化学習を適用するための工夫が盛りだくさんで、研究・開発どちらの技術者にも参考になる部分が多い。
本書全体を通して、"なぜこの手法を用いるか"と"妥当性はあるか"が論理立てて説明されており、非常に理解しやすい構成となっている。
私のようにAIBOみたいなロボットに興味がある人だけでなく、強化学習の応用に興味がある方、人工知能系の基礎研究に従事している方など、
幅広い方にお勧めしたい。
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読者モニターレビュー【 ビクトール 様(業界・専門分野:機械工学)】
掲載日:2026/01/29
システム・制御系の本ということもあり、ロボットを構成する要素の中でも、画像認識やモータ制御について詳細に書かれている。機械獣を扱っている本ため、動物の思考パターンを例として、感覚を受容してから行動に至るまでのプロセスを詳細に描かれている。扱う数式の量は、他のロボット工学系と比較して少なめで、概念の説明などが多い。実際のシミュレーション結果がグラフや写真として載っていて、分かりやすい。深層学習に関する説明はコンパクトにまとめられているため、深層学習に関して詳細に書かれている本と合わせて読むと、より理解が深まる。
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読者モニターレビュー【 jack4andMana'sTalk 様(業界・専門分野:AIオペレーター{AI for Scienceの文脈}の趣味人 )】
掲載日:2026/01/22
通常のロボットから、生命系の模倣のロボットへ興味を持たれた方や、逆に生命系から無機系での実装としてのロボットへ興味を持たれた方など、既存の単一学術領域から学際領域へのシフトを始めようと思っている方の最初の一冊にオススメで、おおまかなフレームワークや、重要なキーワードを網羅的にチェックできて、次に自分にとって、どの分野・情報が必要になるのかを明らかにしてくれるという点でも、非常に役立つ一冊です。
また、網羅的・大系的な理解をしてから実装することを好むタイプの人よりも、「必要最小限の知識」から【まずは動かしてみたい】、というタイプの人に、特にオススメの一冊です。
非常に多分野に渡る学術融合的な領域を扱う書籍なので、その点がわかるように、まず【はじめに】【用語集】から記述が始まっているのが、ありがたいです。
また、【機械獣】という文字のニュアンスからは人工生命を連想しやすく、倫理的な問題と不可分性があるシビアな領域かと反射的に思いがちですが、本書の対象は、あくまでもホメオスタシスを中心とした構成論的アプローチでの自律型ロボット(オートマタ)に限定されているので、その心配もなく読める点も良いと思います。
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読者モニターレビュー【 メカメカ 様(業界・専門分野:機械工学)】
掲載日:2026/01/22
本書は身体が環境との相互作用によりもたらされる多様な運動形態を力学やシステム・制御工学に基いて学び、さらに「知能」の意味を見つめ直すことができる良書である。アクチュエータのない受動歩行に始まり、アクチュエータをもつ生体模倣ロボット、四脚ロボット、脚部と体幹部を有するロボット、群れ行動するロボット、などの具体事例が豊富な図・写真で紹介されている。これらが織りなす身体と環境の相互作用によって生み出される「知能」的な行動は複雑なものであるが、本書の丁寧な解説により理解できる。この身体性に基づく知能システムの設計・制御の体系化の指針が与えられ、将来的には大規模言語モデルと身体性との相互作用が重要な役割を持つことが示唆されている。演習問題ではPythonプログラムやWebアプリを参照することにより、可視化された身体性知能の実体験も可能である。約500件にわたる幅広い引用文献は、より深い理解への道案内にもなっている。








