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IEC 61850システム構成記述言語SCL - 電力システム設計者のための解説と記述例 -

IEC 61850システム構成記述言語SCL - 電力システム設計者のための解説と記述例 -

近年,電力システムにおいてデジタル化が進む中で,IEC 61850が注目を浴びている。本書では,IEC 61850のシステム構成記述言語であるSCLに特化した解説と規格動向を踏まえ,豊富な記述例をまとめた。

発行年月日
2025/01/06
定価
4,290(本体3,900円+税)
ISBN
978-4-339-00993-4
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

読者モニターレビュー【 S.S様(業界・専門分野:電力】

掲載日:2025/02/03

本書は、IEC 61850を適用した監視制御システムの設計・開発業務に携わる上で、非常に有用な書籍です。IEC 61850で規定されているSCLについて、単に規格の内容を翻訳するのではなく、具体例を用いて一つずつ記載されているため、非常に分かりやすくまとめられています。IEC 61850の解説を学びたい方は、著者の「IEC 61850を適用した電力ネットワーク」も参照すると良いでしょう。

監視制御システムの設計・開発における課題を提示し、それらの課題がSCLを用いることでどのように解決されるのかを説明しています。特に、基本設計業務や購入仕様書の作成、制御ケーブルの検討など、実務に即した業務を例に挙げ、多くの時間や労力を要する業務の変遷が詳しく記載されています。

また、第3章で記載されているトップダウン方式によるエンジニアリングについては、業務の効率化や自動化を進める上で非常に有効な手段であることが分かります。将来展望として有用な情報が詰まっており、SCLを活用した今後のツール開発に非常に期待が持てます。

実務に即した内容と将来展望が記載されている書籍であるため、IEC 61850を適用した監視制御システムの設計・開発業務を行っている、もしくはこれから始める方におすすめの書籍です。

読者モニターレビュー【 馬場 丈典 様 三菱電機株式会社(業界・専門分野:製造業・国際標準化)】

掲載日:2025/02/03

『スマート○○』という言葉を耳にするようになって久しい.
スマート化とは,従来の技術にデータの力を使って効率や機能を高めるという試みであり,近年特に社会システムへのアプローチも進んでいる.そのトップランナーとして挑戦的な試みを行っているのがスマートグリッド等を擁する電力業界である.
本著はその電力システムのスマート化の精華ともいうべきIEC61850シリーズのシステム記述言語SCL(System Configuration description Language)についての解説である.データを活用するためには,そのシステムがどのような情報で構成され,どのような情報を扱えるのかを記述する必要がある.その設計には実例を元にしたユースケースがあり,そこから抽出された要求事項を,技術仕様に落とし込んで規格を構築するわけだが,規格文書だけでは,なかなかそういった背景にあるものは見えてこない.本著は国際標準化に当たられたエキスパートにより執筆されたこともあり,変電所システムという実例を配した具体性のある実例解説から,その背景にあるこれらの考え方を知ることができるという点で非常に有意義であり,システムズエンジニアリングの成果を知る一好例である.
小職は電力分野が専門ではないが,スマート製造分野におけるデータ活用の国際標準化に関わっている.その視点から見ても本著は「スマート社会の作り方」の実例として参考になるものであり,スマート技術に関わる技術者諸賢,そしてスマート時代を生き抜くことになる学生諸子にも関連書籍である『IEC 61850を適用した電力ネットワーク: スマートグリッドを支える変電所自動化システム』と併せて一読をおすすめしたい.