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ゼロから学ぶ 実践 マルチボディダイナミクス入門

ゼロから学ぶ 実践 マルチボディダイナミクス入門

本書は平面運動に絞り,機械システムの運動学解析や動力学解析のための定式化とそのプログラミングを実践的に学び,グラフやアニメーションの出力結果を通じて理解・実感・習得できるよう,説明もできるかぎり丁寧に詳しく記述した。

発行年月日
2024/12/26
定価
4,840(本体4,400円+税)
ISBN
978-4-339-04692-2
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

読者モニターレビュー【 めっくろぐ 様(業界・専門分野:機械工学,制御工学)】

掲載日:2025/01/09

本書の「はじめに」にもある通り、私自身も「マルチボディダイナミクスは難しい」という先入観を持ち、これまで敬遠してきました。しかし、本書を読むことで、機械力学の基礎を積み重ねれば意外と理解できることに気づかされました。
これまでの教科書の多くは、簡易的な理論の導出と抽象的な例題に終始しており、大学の授業などで補足がなければ入門のハードルが高かったように思います。一方で本書は、丁寧な理論の導出に加え、実践的な応用のイメージが掴みやすい例題が豊富に掲載されています。その例題には詳細な解説と回答が最後までしっかりと示されており、読者の理解を深めるのに非常に役立ちます。
基礎的な機械力学や制御工学の知識を持ち、MATLABを使用できる人であれば、独学でも大きな困難なく最後まで理解を進められるでしょう。さらに、専門外の人でも気軽に学び始められる内容になっており、マルチボディダイナミクスの門戸を広げるという点で極めて価値のある一冊です。

読者モニターレビュー【 masa 様(業界・専門分野:機械工学 ロボット工学)】

掲載日:2024/12/27

本書は機械力学から見たマルチボディダイナミクスの書籍であり、リンク系ロボットやモビリティに関する例題通してマルチボディダイナミクスを学習できるように構成されています。そのため、公開されている例題プログラムと書籍の内容を理解することで1DCAEなどを行う際に必要となる機械系の物理モデル作成に関する知識を得れる書籍だと思います。

本書の構成は3部構成になっており、各構成は次のようになっています。

第1部では2次元平面のマルチボディダイナミクスモデルを構築する際に必要となる基礎的な内容が記載されており、初めに質点モデルの話から始まり徐々に内容が難しくなるように工夫がされているので理解を深めながら学習ができます。

第2部~第3部では第1部で学習した内容を元にして、実際の機械システムに近い解析モデルの定式化を行う手法について書かれています。また、マルチボディダイナミクスの書籍は一般に行列式を簡略化した形式で式が書かれているため、初学者が見ると式の意味が分からない場合があるが、第2部~第3部のほとんどは行列式の中身が具体的に記述されている。そのため、書籍を読みながら式を目で追うことで内容を理解できます。また、書籍の内容と公開されている例題プログラムを見比べて学習することで、シミュレーションをする際のプログラムの書き方を理解を深めることができます。

少し残念と感じたところは書籍の一部ではプログラムで数式を解くために必要となる数式の導出で式の記述が止まっている箇所があり、具体的に運動方程式の記述がされておらず書籍を読むだけでは意味を理解しにくい部分があることです。

また、本書を用いて学習をする際に注意する必要があると感じたことは、タイトルに”ゼロから学ぶ”と書かれてますが、一般的なビジネス書のような完全な初学者向けの書籍ではないことに気を付けた方がいいです。もしも、初学者が本書を用いて学習をするときは、書籍内で筆者が紹介している書籍を参考してして学習をすることで本書の理解がスムーズにできると思います。

最後に、マルチボディダイナミクスに関する書籍は多く出版されておらず、本書のように豊富な例題を通して学ぶことできる書籍は貴重であるので、マルチボディダイナミクスを学習する方にとって良本であると考えます。本書のご購入を検討する方々に私の読書レビューがご参考になれば幸いです。

読者モニターレビュー【 おみにゃ 様(業界・専門分野:建設・制御工学)】

掲載日:2024/12/23

マルチボディダイナミクスは、複雑な構造物や機械の運動、振動、制御などを扱う学問であり、機械系の学生や技術者には必須なアイテムである。そのなかで、特に本書は機械制御の設計者にお勧めしたい。内容は平面運動に絞って、モデルと定式化が詳しく書かれている。本書がモデリングに関する辞書的な役割として有効であることを確信している。また、Octaveを使用した豊富な量のプログラミング演習を通して、知識を深めることができる。是非、書店で見かけた際には手に取って見て頂きたい。