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テンソルデータ解析の基礎と応用 - テンソル表現,縮約計算,テンソル分解と低ランク近似 -

次世代信号情報処理シリーズ 7

テンソルデータ解析の基礎と応用 - テンソル表現,縮約計算,テンソル分解と低ランク近似 -

テンソル分解の入門書。テンソルの基礎,線形代数の基礎,主成分分析,テンソル分解の基礎から応用までを滑らかにつなぐことを心がけた。MATLABプログラムの例を多数記載し,手を動かしながら具体的な理解につなげられる。

発行年月日
2024/06/28
定価
4,400(本体4,000円+税)
ISBN
978-4-339-01407-5
在庫あり

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amazonレビュー978-4-339-01407-5 テンソルデータ解析の基礎と応用 - テンソル表現,縮約計算,テンソル分解と低ランク近似 -(次世代信号情報処理シリーズ 7)

掲載日:2024/07/09

読者モニターレビュー【 くりぽん 様(業界・専門分野:教養学部情報コース)】

掲載日:2024/07/09

本書は、テンソルの定義とテンソルに関する計算から始まり、実装するためのプログラムを眺めながらテンソル分解とその応用を見ていく流れになっています。本書を読むにあたり前提知識は線形代数+αとなっておりますが、この「+α」の部分で読み進めるために最低限必要だと思われるのは、大学1, 2年で学ぶ微分積分、数理最適化問題と統計学の初歩的な知識かと思います。また、本書の特徴として、少ない前提知識から低ランク近似、テンソルデータ解析を理解することが可能となっている点や各項目において該当する内容を実装するためのアルゴリズムやソースコードが間に挟まっている点、ダイヤグラム表記をたくさん用いられている点が挙げられます。ここで、各章が何をしているのか簡潔に述べておきます。

第1章では、テンソルとはなにか?やテンソルの計算を視覚的に捉えるダイヤグラム表記、テンソルを使った表現の応用例(画像処理や関係データ、確率質量関数、回帰係数など)が紹介されています。
第2章では、各々のダイヤグラム表記とともにテンソルの変形や計算について書かれており、フロベニウスノルムや外積、カトリ・ラオ積などが挙げられております。
第3章では、線形代数の内容が書かれており、主に低ランク近似を行うための固有値分解や特異値分解について述べられています。また、主成分分析についても紹介されております。
第4章では、CP分解とTucker分解などのテンソル分解が紹介されています。ダイヤグラム表記を用いたテンソルトレイン分解が特徴的です。
第5章では、テンソル解析について紹介されています。

私は線形代数を学部1年のときに履修し、入門の教科書を数回読んだ程度の知識で読ませてもらいました。テンソルの計算を丁寧に紹介されていたので、第4章のテンソル分解までスムーズに理解することができました。また、ダイヤグラム表記がテンソル計算のときに、特に2つのテンソルもしくは行列の積においてどのモードについて合わせていくのかを視覚的に捉えられるのでとても役立ちました。しかし、私のようなレベル帯で一人で最後まで読むのは大変だと思います。第4章では、第2章で紹介されている複雑なテンソル計算をふんだんに用いているため、ダイヤグラム表記がありますが、細かい計算の部分は省力されているため追いかけるだけでも厳しいかと思います。また、ところどころ証明が省かれているので他の本で補うなどの処置が必要かもしれません。テンソルデータ解析について最低限の知識で理解したい、テンソル・線形代数の工学分野における応用例を見てみたい、実際にテンソルもしくはデータ解析の実装を行ってみたい、これら1つでも持っているならば本書を読み込むのは面白いかと思います。

読者モニターレビュー【 I.T. 様 大学院生(業界・専門分野:機械工学(振動工学・非線形力学・情報処理))】

掲載日:2024/06/25

テンソルやテンソル分解を基礎から応用まで日本語で丁寧に学べる貴重な書籍です。本書は、テンソルを理解するための導入として、配列(ベクトルや行列)の基本的な内容から始まり、線形代数の要点や主成分分析の解説を経て、テンソル分解やその応用についての方法論が詳細に説明されています。この流れにより、初心者でも段階的に理解を深めることができるよう配慮されています。
本書の特徴は、数式や数学表記が複雑になる部分に対しても、それぞれの概念や意味について大変丁寧な説明と豊富な図解が盛り込まれていることです。これにより、事前知識がほとんどない私でも挫折することなく理解を深めることができました。理論の説明に加えて、実装の手がかりとなるアルゴリズムやソースコード(MATLAB)も含まれているため、テンソル分解を実際に手で動かしてみる面白さも感じることができます。
また、本書はテンソルやテンソル分解の基礎から応用までを一冊で網羅しており、途中でわからない箇所があれば前半に戻って確認できるような構成になっています。多次元データの解析に関心がある方にとって、この書籍一冊でテンソルデータ解析を効率的に学べる最適な入門書であると感じました。

読者モニターレビュー【 charmie11 様 (業界・専門分野:Computer Vision)】

掲載日:2024/06/24

テンソル分解のアルゴリズムやテンソルデータ解析の応用の定式化を学びたい人におすすめします.
テンソル分解を含めたテンソルデータ解析の基礎理論について詳しくイメージ図を交えながら説明をしてくれており,何となく聞きかじったことのあるアルゴリズムが整理しやすいありがたい解説本という印象を受けました.特にテンソル分解について代表的な3アルゴリズムをわかりやすく解説してくれています.
強いて欠点を挙げるとすれば応用の説明が期待はずれでした.後半で解説しているテンソルデータ解析の応用例は問題・解法の定式化を丁寧にいている反面,具体的な応用例が少数しか掲載されていません.また,テンソル分解が目立たないような解説になっていて,頑張って理解したテンソル分解が...という気持ちになります.

読者モニターレビュー【 大手 希望 様 (業界・専門分野:医用画像工学)】

掲載日:2024/06/24

本書はテンソルデータ解析の基礎と応用について、平易な語り口で述べたものです。テンソルの演算、線形代数の特異値分解を紹介した後、本書の肝となるテンソル分解について説明します。テンソル分解には、CP分解、タッカー分解、テンソルトレイン分解などがあり、本書を読むことによってそれらの違いを正確に理解することができます。また、応用として、ノイズ除去、補間、ボケ補正、超解像、フーリエ変換・ラドン変換に基づく画像再構成、圧縮センシングについて、コンパクトにまとめられています。ノイズ除去は、信号とノイズの2つの未知パラメータを1つの観測データから推定しなければならないため不良設定問題になるという説明はとてもわかりやすいです。交互方向乗数法、近接勾配法についてもまとめられており、ハイブリッドなデータ解析に興味のある読者にも有用な内容となっています。

MathWorks「MATLAB/Simulink 関連書籍」:テンソルデータ解析の基礎と応用

掲載日:2024/06/06

MathWorks 様にプロモーションページを制作いただきました。