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可視化と科学・文化・社会

メディアテクノロジーシリーズ 3

可視化と科学・文化・社会

可視化という技術が実際どのように利用されているのかを科学・文化・社会という三つの分野に分け解説する。流体の可視化に始まり,有形文化財のディジタル保存,ソーシャルメディアデータの可視化など多岐にわたる実用例を掲載した。

発行年月日
2023/10/27
定価
4,180(本体3,800円+税)
ISBN
978-4-339-01373-3
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

「日本バーチャルリアリティ学会誌」2024年 Vol,29 No,1

「日本バーチャルリアリティ学会誌」2024年 Vol,29 No,1

掲載日:2024/05/07

「Book Introduction by Author」欄にて掲載されました。

読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】

掲載日:2023/10/24

本書は「メディアテクノロジーシリーズ」の3巻目に位置する書籍である.本巻では「可視化と科学・文化・社会」ということで,可視化の技術についての記述がなされている.

特徴としては,よく理系の専門書にみられる多数の数式の羅列よる難解さは,本書では見られない(全く数式がないという意味では決してない)ので,読み物的に,目次を閲覧して気になった可視化例を好きな順序で読んでいくことができる点が挙げられる.

1章では,本書が扱う可視化とはどのような歴史を辿ってきたか,そもそも可視化とは何なのかという定義から解説されている.その際に,可視化に関する応用事例を,大学などの高等機関において分類される,「自然科学(所謂「理系」)」,「人文科学」,「社会科学」という3つの学問分野に分けて言及されている.

2章〜4章では,それぞれの学問領域において,各種可視化の事例が多く紹介されている.その中でも情報科学分野に関連するものとして「2.5
科学技術分野におけるVR/AR/MR/XRの活用」や「4.3 インターネットと可視化」,「4.4 マルチメディアと可視化」,「4.6
人工知能と可視化」は大変興味深いものがあった.特に,「4.3
インターネットと可視化」では,Webサイトへのアクセス履歴からどのページがいつ頃,どの程度閲覧されているかなどのビッグデータからデータマイニング(Webマイニング)することで傾向を可視化でき,また,SNSへの情報拡散行動を可視化することで,今何かと問題になっている,自身によって都合のいい情報が多くレコメンドされる「エコチェンバー現象」などの解決策にも繋がるだろうと個人的には思われた.

本書には数多くの図表が使用されていて,一部に関しては本書の最初のページ(口絵)に多くがカラー図表で記載されている.また,口絵に記載されていないものも含めて本書のWebサイトの関連資料にも公開されている.ただ,WordファイルをHTML形式のファイルに変換の上,JPEG形式の画像での公開になっているので,所々見にくい箇所もあり,できれば細かい部分を詳細に確認する意味でも,画像劣化の少ないPNG形式などにしていただけると嬉しく思う.

読者モニターレビュー【 高見 玲 様 LINEヤフー株式会社(業界・専門分野:Web)】

掲載日:2023/10/24

本書は「情報を描く」手法の応用事例を「自然科学・人文科学・社会科学」の学問体系の観点から紹介しています。実空間にマッピングできるデータを扱う科学的可視化(SciVis)と、そうでないデータを扱う情報可視化(InfoVis)は別々の学問として探求されてきましたが、近年では両者の境界は曖昧になりつつあり、一方の技術が他方に援用される機会も多いです。各体系の研究者がそれらの歴史的背景や事例を解説した上で、最新トピックとして「AIを活用した可視化」や「AIを理解するための可視化」の事例も示されています。学術領域を横断した広範な知識と応用能力が求められる現代において、ビジネス事業者のデータ活用業務のアイデアを拡張できる点で、学術的のみならず実用観点でも価値がある書籍であると言えます。