レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

確率・統計から始める エンジニアのための信頼性工学 - 身近な故障から宇宙開発まで -

確率・統計から始める エンジニアのための信頼性工学 - 身近な故障から宇宙開発まで -

累積分布関数の解説に始まり,故障データ解析に有用な統計手法,実際のシステム設計で重要な冗長化の方法,修理を伴うシステムの評価,信頼性設計や安全工学の考え方に加え,宇宙開発における安全・信頼性設計の事例まで幅広く紹介。

発行年月日
2021/07/28
定価
3,300(本体3,000円+税)
ISBN
978-4-339-02920-8
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

「月刊 トライボロジー」2021年10月号

「月刊 トライボロジー」2021年10月号

掲載日:2021/10/15

「ベアリング新聞」2021年8月20日

掲載日:2021/08/24

読者モニターレビュー【 K.T. 様(ご専門:IT分野/業務内容:衛星データプラットフォームのビジネス開発)】

掲載日:2021/07/27

改めて信頼性工学について基礎から学び直したいと思い、本書を手に取りました。
本書は理論編と実務編から構成されています。
理論編では信頼性工学に関連する統計学をはじめとした数学から丁寧に解説してくださっているので、数学に久しく触れていない状態であったとしても、思い出しながら読み進めることができました。
実践編では、実務としてどのように信頼性工学を利用すれば良いか解説されているのはもちろんのこと、コラムとして原発や宇宙分野など各筆者による実事例も交えて紹介されています。このことにより、単なる知識としてのインプットだけでなく、実務としてどのようにアウトプットされるのか、というイメージも湧く作りになっていると思います。実務を経験している社会人の場合には、自身の業務だとこうだな、と想像しながら読み進めやすい構成になっているかと思います。

本書の特徴としては、理論が理論だけで完結せず、実務と結びついた形で解説されていることにあるかと思います。そのため、読者としてはここはここに役立つのね、と考えながら読み進めることができるため、知識としての吸収もしやすいと思います。また、演習問題も各章末に設けられており、理解度がどの程度あるのか確認しながら読み進めることもできるようになっているので、読み返しながら読み進めることもできるのも理解度向上のために良い作りだなと感じました。

大学の授業のテキストを想定して作られたようですが、社会人であっても読むことで信頼性工学についての知識と技術を手に入れることができる本だと思います。

読者モニターレビュー【 N/M 様(ご専門:総合情報学(情報科学))】

掲載日:2021/07/20

本書は,「まえがき」にも記載されている通り,大学の工学系の学部での「信頼性工学」の講義用テキストとして使用されることが想定されている.

学生時代に「総合情報学(学士)」,その中でも特に「情報科学」の分野を学んだ私が読んでも参考になる箇所が多く感じた.例えば,平均故障間隔(MTBF),平均修理時間(MTTR),直列システムや並列システムの信頼度を求める計算,バスタブ曲線,フォールトトレラント,フェールセーフ,フールプルーフ,状態遷移図,等である.また,これらの専門用語は,情報分野の国家試験である「基本情報技術者試験(FE)」の出題範囲でもあるので,「情報科学」を学ぶ上でも「信頼性工学」は大変重要な分野の一つだと認識できた.

本書の構成としては,どの分野でも学ぶ際に,最初にその分野を学ぶことの重要性,そしてその分野がどのような歴史的背景を持って確立されていたかを,まず第1章では,簡潔に記述されている.第2章では,本書を読む上で必要となる確率,集合などの基礎知識を簡潔に記述している.第3章では,信頼性を統計的に解析する手段として,統計学の基礎である度数分布表やヒストグラムの作り方などが記述されている.第4章では,システムの信頼性ということで,直列システムや並列システムの信頼度を求める計算を中心に,例題を用いて,分かりやすく記述されている.第2章の後半部分とこの章は,情報科学の分野の方には,参考になることが多いのではないかと思う.例えば,情報システムの信頼性の指標として,RASIS(または,RAS)という概念がある.その際に,信頼性を表す指標MTBF,保守性を表す MTTRが登場し,情報システムの稼働率の計算としてよく目にする機会があるだろう.第5章では,保全性についてや,アベイラビリティ解析の際に状態遷移図を用いて,バランス方程式なるものを構築して解くことで評価できることを学ぶ.ここまでで,理論的な背景を深く学ぶことができる.

また,第6〜8章では,実務編として,信頼性設計と評価,安全工学,宇宙における安全・信頼性確保の取組みなど,本書のサブタイトルである,「身近な故障から宇宙開発まで」とあるように,「航空宇宙学」での信頼性を高める各種取り組みが分かりやすく記述されてある.

本書の読書方法の一例として,まずは第1章から順番に読んでいき,第2章以降は数式がそれなりに出てくるので,私のように数式に苦手意識がある方は,1周目は,まず「信頼性工学」という分野の全体像を捉えるために,数式は雰囲気をつかむ程度で,理解できなくても気にせず最後まで読み進め,2周目以降に,Webページや他書で関連する分野(総和Σ,総乗 ∏,極限 lim,積分 ∫などの計算方法)をしっかり学んでから,復習を兼ねて読むと数式の深い意味を理解できるだろうと思われる.

最後に,各章末には,記述式や計算問題を中心に,4択問題,穴埋め問題など,いろいろな形式の「章末問題」も用意されている.本書ような講義用テキストには,解答例が付属していなかったり(一部の問題の解答例が省略されている場合も),略解として最終的な解答のみが記載されていたりして,不十分な書籍が多い(もちろん,教育的効果の意味合いもあることは事実ですが・・・)中,本書は,回答するのに必要な最低限度の解答例が記載されているので,自習する際には便利だと感じた.

読者モニターレビュー【星野秋人 様(ご専門:ロボット工学)】

掲載日:2021/07/20

高い信頼性を必要とするシステムの設計に際し、偶然本書を目にした。学生時代に疎かにしてしまった数学的な基礎知識から丁寧に記述されており、簡単な計算例を踏まえつつ、信頼性の計算や冗長設計の考え方が整理・系統立てて記述されており理解が捗った。4章では、冗長システムを設計する際に考慮すべき留意点が記述されており、実務経験のあるエンジニアにとっては自身の設計に対する理解が深められるのではないかと思う。6章では、設計に対する評価手法についてFMEA,FTAなどの解析手法についてその考え方から実例に至るまで示されており、今まで漠然と認識していた信頼性設計についてかなり理解が深まった。この一冊で冗長設計が実務レベルで分かるようになるというわけではないが、これから高い信頼性を必要とするシステムを扱うエンジニアや高い品質を実現する設計を理解したい方にはまず本書をお勧めしたい。