レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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量子力学を物質に適用する際,量子化学は分子やクラスターを考え,固体電子論は結晶の周期性を基本としている。本書では,原子から始まり固体まで量子化学の非周期系の取扱いと固体電子論の周期系の取扱いとのつながりを詳述する。
- 発行年月日
- 2010/03/25
- 定価
- 3,080円(本体2,800円+税)
- ISBN
- 978-4-339-06617-3
在庫あり
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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amazonレビュー 978-4-339-06617-3 量子物質科学入門
掲載日:2019/10/01
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HY 様
掲載日:2015/05/27
本書は、量子力学を孤立系の分子と凝縮系の固体に適用する方法を非常にテンポ良く記載している。通常両者の取り扱い方の関係を理解するためにはかなり分厚い本を読む必要があり,息切れしてしまう人も多いと思うが本書ならば要領良く本質をつかむことができると思う。私は化学系で固体物理学をあまり学んでこなかったが,物理系の仕事をするために早急な理解が必要となった際に本書が非常に助けとなった。実際の計算などを行うためにはさらに専門書を読む必要があるが,とっかかりとしては最適である。
ただ,残念だったのは6章の固体中の電子の章が用語の定義も含めて説明の省略が多く読みにくかった。量子化学と固体電子論の見方をメインに据えている書なのでページ数の制約があるのならば8章のスペクトロスコピーへの応用の内容を削ってでももう少し丁寧に説明すべきではなかったかと思う。