情報の人間科学 - 認知心理学から考える -

情報の人間科学 - 認知心理学から考える -

本書は,人間と環境との相互作用を円滑に進めるために求められる媒介学・連結学としての『人間科学』というものを,「情報と人間とのかかわり」という問題意識のもとに,認知心理学の視座より考察・記述したものである。

ジャンル
発行年月日
2007/09/10
判型
B6 上製
ページ数
256ページ
ISBN
978-4-339-07786-5
情報の人間科学 - 認知心理学から考える -
在庫あり
2営業日以内に出荷致します。

定価

2,200(本体2,000円+税)

カートに入れる

購入案内

  • 内容紹介
  • 目次
  • 著者紹介

本書は,人間と環境との相互作用を円滑に進めるために求められる媒介学・連結学としての『人間科学』というものを,「情報と人間とのかかわり」という問題意識のもとに,認知心理学の視座より考察・記述したものである。

第1章 「心」を科学する
〔1〕 心の理の学と物の理の学
〔2〕 「心」の考え方を歴史的にラフスケッチすると
〔3〕 「心」を科学する学問は弁証法的発展過程を歩みつつある
〔4〕 人の「心」に迫るのは一筋縄ではいかない
第2章 人間にとっての情報
〔1〕 人間は「情報食動物」である
〔2〕 人間の情報処理特性を「織り上げる」
〔3〕 情報処理における「相対性原理」
第3章 認知的レベルの「認識的解決」
〔1〕 科学世界を「観る」
〔2〕 茶室での経験
〔3〕 「文化」の違い
第4章 知覚的レベルの「認識的解決」
〔1〕 野球の変化球
〔2〕 「エイムズの部屋」の現象
〔3〕 月の錯視
〔4〕 定位判断の基準
 (a) 定位のための座標系
 (b) 認知地図
〔5〕 コインの大きさの知覚
〔6〕 ものごとの認識にバイアスをかける認知的不協和
〔7〕 空間的「基準」に基づく傾きの知覚
第5章 感覚的レベルの「認識的解決」
〔1〕 体で感じる温度
〔2〕 「基準」のない世界
第6章 心理学と周辺科学における「連結変数」
〔1〕 社会学と「基準」
〔2〕 精神医学と「基準」
〔3〕 「基準」という概念は領域横断的である
第7章 変換視事態における人間の情報処理
〔1〕 上下反転視と「基準」
〔2〕 上下反転視事態と「認識的解決」
第8章 宇宙環境と人間
〔1〕 「特殊環境」としての宇宙居住空間
 (a) 認識的機能への影響
 (b) 社会的機能への影響
第9章 情報の認知に見られる人間の「認識スタイル」
〔1〕 「認識スタイル」の種類
〔2〕 非構造的課題事態と認識スタイル
第10章 情報のコミュニケーションと人間の共通知識
〔1〕 話し相手と「スキーマ」
〔2〕 「スクリプト」とコミュニケーション
第11章 物語の理解に見られる人間の情報処理
〔1〕 物語の理解のための「スキーマ」
〔2〕 読書とワーキングメモリ
〔3〕 物語理解のスキーマである「パースペクティブ」
第12章 スキーマ間の結び付き
〔1〕 スキーマ間の階層的結合
〔2〕 スキーマ間の連結構造
第13章 認知的「モメンタム」効果
〔1〕 直観的運動軌道に見られる「モメンタム」効果
〔2〕 認知的表象に見られる「モメンタム」効果
第14章 人間と情報コミュニケーション
〔1〕 コミュニケーションのタクソノミー
〔2〕 人と人とのコミュニケーション
 (a) 自己と自己とのコミュニケーション
 (b) 自己と他者とのコミュニケーション
 (c) 他者と他者とのコミュニケーション
〔3〕 別の認知研究の視点から考える
〔4〕 今後なされるべき「心理学的」研究課題いくつか
第15章 絵画の鑑賞に見られる人間の情報処理
〔1〕 図・地の反転図形
〔2〕 概念駆動型処理とデータ駆動型処理
〔3〕 「タイトル」の効果
〔4〕 絵画の全体を見るときと部分を見るとき
〔5〕 人は「イメージ」により絵画を見る
第16章 人間とエラー
〔1〕 ハードウェア上のエラーとソフトウェア上のエラー
〔2〕 「ヒューマンエラー」の問題は「認知とパフォーマンス」の問題と同じ
〔3〕 認知とパフォーマンスは二分法的存在物か?
 (a) 認知そのものの中にパフォーマンスを誘発させる力が内在している
 (b) 認知と運動は分離的というより連合的な様相を呈する場合がある
 (c) 発達の初期においては、認知の成立に際してパフォーマンスの媒介がある
〔4〕 ヒューマンエラーの研究はヒューマンファクターの学を確立することに通じる
第17章 映像の認知に見られる人間の情報処理
〔1〕 人間と映像のかかわり
〔2〕 映像を見るときの眼球運動
〔3〕 マルチメディアの中の眼球運動
〔4〕 人間は能動的に「見て」いる
〔5〕 情報提示のタイミングの問題
〔6〕 視聴者への働き掛けの必要性
〔7〕 マルチメディア学習事態下の映像
第18章 食情報と人間
〔1〕 「食情報処理心理学」のタクソノミー
〔2〕 断食は感覚的感性を減じさせる
〔3〕 見ざる、嗅がざるが節食の近道
〔4〕 食卓塩と穴のサイズ
〔5〕 女性は魅力的な男性の前では少食になる
〔6〕 「仲間」たちの食行動を見ることが食物の好みを変える
第19章 情報に対して行う人間の直観的量判断
〔1〕 情報に対する直観的計算
 (a) 直観的加減算
 (b) 直観的乗除算
 (c) 直観的平均化
〔2〕 スティーブンスの精神物理学
 (a) マグニチュード推定法
 (b) べき法則
 (c) 二種類の「心理学的連続体」
 (d) べき関数の展開
 (e) クロスモダリティーマッチング
第20章 現代社会と情報環境
〔1〕 バイオリンの英才教育「鈴木メソッド」
〔2〕 現代の子供たちの情報環境
〔3〕 新しい情報処理能力の芽生え
第21章 情報処理知能検査の開発
〔1〕 認知変数と知能
〔2〕 メタ認知変数と知能
〔3〕 現代的知能検査
第22章「認知理学」における今後の研究課題
〔1〕 認知心理学の「素朴分類学」
〔2〕 なぜ「処理資源」なのか
〔3〕 なぜ「ワーキングメモリ」なのか
〔4〕 なぜ「メタ認知」なのか
第23章『情報人間科学』
〔1〕 最も新しい情報関連機器であるマルチメディア機器とはなんだろう?
〔2〕 『情報人間科学』の必要性
〔3〕 『情報人間科学』は「総合学」として装う
〔4〕 「総合学」は「ドレッシングモデル」で考えるとよい
〔5〕 『情報人間科学』は社会環境と人間を媒介する「連結学」を演じる
〔6〕 『情報人間科学』的課題の例
第24章「連結学」としての人間科学の必要性
〔1〕 諸世界の「ボーダレス化」
〔2〕 「ボーダレス世界」であるがゆえに求められる「連結学」
〔3〕 「連結学」としての人間科学は「総合学」の形態をとる
〔4〕 「総合学」の「業」の背負い方数例
第25章 諸「連結学」-「心理学」と「生活の人間科学」と「人間生活工学」-
〔1〕 「心理学」と「生活の人間科学」
〔2〕 現代もしくは近未来における「人間生活工学」
引用・参考文献
事項索引
人名索引

中島 義明(ナカジマ ヨシアキ)