半導体デバイス基礎の基礎
現代社会の高性能デバイス,そして未来を担うAIやIoT技術を支える半導体の基礎を解説
- ジャンル
- 発行予定日
- 2026/03/下旬
- 判型
- A5
- ページ数
- 230ページ
- ISBN
- 978-4-339-01502-7
- 内容紹介
- まえがき
- 目次
半導体デバイス工学を学びたい学生や半導体デバイスに興味を持つ読者を対象に,電子の動きや基本的な構造など,現代社会を支える半導体デバイスの仕組みを解説。高度な数学は用いず,豊富な図解による本質的な理解を醸成する。
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
現代社会は,半導体デバイス抜きには成り立たない。私たちが日々利用するスマートフォン,高性能なコンピューター,そして未来を担うAIやIoT技術のすべてが,ミクロの世界で動くこの小さな巨人によって支えられている。半導体を学ぶことは,単なる専門知識の習得ではなく,情報化社会の仕組みそのものを理解するための鍵となる。
本書は,電子系,情報系の大学3年生など,初めて専門として半導体を学ぶ学生,あるいは「半導体に興味はあるが,難しそうで手が出せない」「専門書で挫折した」といった方々をおもな読者として執筆した。専門の講義で直面する高度な数式や専門用語に戸惑うことなく,本質的な理解に到達することを最優先の目的としている。高度な量子力学や物性物理の知識は一旦置いておき,電子の動きや基本的な構造などから,半導体デバイスが動く「基礎の基礎」の部分に焦点を当てている。また,半導体デバイス工学の全体像が俯瞰しやすい構成とし,比較的図解を豊富に用いることで,直感的な理解を促している。この構成を通じて知識が有機的に結びつき,一人でも多くの学生やエンジニアの皆さんが,半導体への苦手意識を払拭し,学びへの確かな一歩を踏み出せることを心より望む。
さらに,本書では省略した専門の各分野への発展を意識し,つぎに読むべき専門書を引用・参考文献で紹介している。
本書を書き上げるにあたり,下読みによる誤植や校正について,大阪工業大学の著者研究室所属の北村太慈さん,大学院生,および学部の授業の受講生各位から貴重なフィードバックをいただきました。心より感謝申し上げます。また,本書の図版の作成に関し,下書きを快く提供してくださった,大阪工業大学大学院生の砂田明子さんに深謝いたします。
【サポート情報】
最後に,紙面の関係で省略せざるを得なかった演習問題とその模範解答については,著者のHPにて公開する。また,途中式の導出,数学的準備および物理的なモデルのグラフ描画などに用いたPythonコードなども併せて公開している(引用・参考文献参照)。
2026年2月
廣芝伸哉
☆発行前情報のため,一部変更となる場合がございます
1.電気伝導から考える金属・絶縁体・半導体
1.1 半導体とは
1.1.1 半導体デバイスの種類と特徴
1.1.2 半導体デバイス関連の学問分野
1.2 半導体材料の種類と特徴
1.2.1 元素半導体とオクテット則
1.2.2 化合物半導体
1.2.3 その他の半導体材料
1.3 電気伝導の基礎
1.3.1 オームの法則と電気伝導率
1.3.2 金属・絶縁体・半導体の違い
1.3.3 物質中の電気伝導と量子論
1.4 半導体の非線形な電気伝導
1.4.1 ダイオード
1.4.2 トランジスタ
1.5 まとめ
コラム 抵抗測定の方法
2.半導体物理の基礎:量子力学と統計力学
2.1 半導体デバイスのための量子力学入門
2.1.1 高校化学から量子論の導入
2.1.2 シュレディンガー方程式と量子数
2.1.3 電子軌道と電子の入り方
2.1.4 電子軌道のかたちと結合
2.2 半導体デバイスのための統計力学入門
2.2.1 はじめに~統計力学の基礎と気体モデル
2.2.2 量子力学と統計力学の役割と関係
2.2.3 量子統計の種類(フェルミ粒子とボース粒子)
2.2.4 固体中の電子と気体分子の類似性
2.2.5 統計力学と半導体物性の重要なポイント
2.3 まとめ
3.結晶構造と電子状態
3.1 半導体をつくる微細な構造
3.1.1 結晶について
3.1.2 結晶の分類
3.1.3 逆格子の概念
3.1.4 ミラー指数
3.1.5 X線回折の基礎
3.1.6 X線回折による結晶評価
3.1.7 薄膜X線回折の高度な活用
3.2 半導体のバンド理論
3.2.1 実空間でのバンド構造
3.2.2 ブロッホの定理
3.2.3 クローニッヒ・ペニーのモデル
3.2.4 3次元のバンド構造とバンド図の見方
3.2.5 バンド構造と電子の運動
3.2.6 バンド構造の計算法,実験での測定法
3.3 まとめ
4.キャリヤ密度と電気伝導
4.1 半導体内のキャリヤ
4.1.1 真性半導体:純粋な結晶におけるキャリヤ
4.1.2 真性半導体のキャリヤ密度
4.1.3 不純物半導体:キャリヤ数を制御する技術
4.1.4 フェルミ準位:キャリヤのエネルギー指標
4.1.5 不純物キャリヤ密度の導出
4.1.6 フェルミ準位の算出
4.2 半導体内のキャリヤ輸送現象
4.2.1 ドリフト電流
4.2.2 電気伝導の温度依存性
4.2.3 拡 散 電 流
4.2.4 全電流密度と連続の式
4.3 まとめ
コラム Siのキャリヤ密度
5.pn接合
5.1 pn接合の形成
5.2 熱平衡状態のpn接合
5.2.1 空乏層と空間電荷の形成
5.2.2 拡散電位(ビルトインポテンシャル)
5.2.3 エネルギーバンド図
5.3 バイアス印加時のpn接合
5.3.1 順方向バイアス(キャリアの注入と拡散電流)
5.3.2 逆方向バイアス(空乏層の拡大とドリフト電流)
5.3.3 バイアス印加時のエネルギーバンド図の変化
5.4 pn接合の電流-電圧(I-V)特性
5.5 pn接合の接合容量と降伏現象
5.5.1 接合容量
5.5.2 降伏現象
5.6 pn接合のまとめ
6.トランジスタの基礎:BJTとMOSFET,異種界面
6.1 バイポーラトランジスタ(BJT)
6.1.1 構造と動作原理の概要
6.1.2 BJTのバンド図と動作原理
6.2 BJTの電流増幅作用
6.3 金属-半導体接合
6.3.1 整流性を持つショットキー接合
6.3.2 電気を通すオーミック接合
6.4 MOS電界効果トランジスタ(MOSFET)
6.4.1 MOSキャパシタの構造と動作
6.4.2 MOSFETの構造と動作原理
6.4.3 MOSFETのI-V特性
6.4.4 CMOSの基本構成
6.5 まとめ
7.半導体集積回路の製造プロセス
7.1 回路設計からレイアウトへ
7.2 CMOSインバータの製造フロー
7.2.1 nウェル形成
7.2.2 ゲート形成(ゲート酸化膜とポリシリコン)
7.2.3 ソース-ドレイン形成
7.3 シリコンウエハと半導体製造の環境
7.3.1 シリコンウエハ準備
7.3.2 シリコンウエハの口径サイズ
7.3.3 製造工程におけるクリーン度の重要性
7.4 フォトリソグラフィ
7.4.1 パターン転写とフォトリソグラフィの歴史
7.4.2 フォトレジストの化学的・物理的性質
7.4.3 世界市場における日本のフォトレジスト
7.5 エッチングプロセス
7.5.1 ウェットエッチング
7.5.2 ドライエッチング
7.5.3 エッチング装置と主要メーカ
7.6 配線工程とプロセスの完了
7.6.1 層間絶縁膜と平坦化(CMP)
7.6.2 金属配線の形成(ダマシン法)
7.6.3 パッシベーションと最終工程
7.6.4 半導体製造プロセスの後工程とその重要性
7.7 半導体製造を支える日本の装置・材料メーカ
7.8 まとめ
コラム 自宅ガレージで半導体IC製造!?
8.半導体開発を支えるシミュレーション技術
8.1 なぜ半導体製造でシミュレーションが必要か
8.2 第一原理電子状態計算
8.2.1 分子軌道計算(孤立系)
8.2.2 第一原理電子状態計算(周期系)
8.2.3 第一原理分子動力学計算(カー・パリネロ法)
8.3 テクノロジーコンピュータ支援設計(TCAD)について
8.3.1 プロセスシミュレーション
8.3.2 デバイスシミュレーション
8.4 回路・システムレベルのシミュレーションについて
8.4.1 EDAを用いた設計フロー
8.4.2 主要なEDAツールとベンダ
8.5 まとめ
コラム DIYでIC半導体製造の「民主化」を!?
9.先進半導体材料
9.1 化合物半導体
9.1.1 光デバイス材料
9.1.2 パワー半導体材料
9.1.3 高速デバイス材料
9.2 酸化物半導体
9.2.1 In-Ga-Zn-Ox(IGZO)とディスプレイ技術
9.2.2 酸化物半導体の光デバイス応用
9.2.3 酸化物半導体のセンサ・触媒への応用
9.2.4 酸化物半導体のその他の応用例
9.3 有機半導体
9.3.1 有機半導体の発見
9.3.2 有機半導体の分子設計の可能性
9.3.3 有機半導体のおもな応用例
9.3.4 有機半導体の将来性
9.4 炭素(カーボン)系半導体材料
9.4.1 フラーレン(fullerene)
9.4.2 カーボンナノチューブ(CNT)
9.4.3 ダイヤモンド(diamond)
9.4.4 グラフェン
9.5 2次元材料とファンデルワールス・ヘテロ構造
9.5.1 遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDs)
9.5.2 シリセン(silicene)
9.5.3 ファンデルワールス(vdW)ヘテロ構造
9.6 まとめ
10.薄膜成長技術の基礎
10.1 物理気相成長法(PVD)
10.1.1 真空蒸着法および分子線エピタキシー法
10.1.2 スパッタリング法
10.2 化学気相成長法(CVD)
10.2.1 CVD
10.2.2 原子層堆積法(ALD)
10.3 溶液プロセス(溶液法)
10.4 スクリーン印刷法
10.5 まとめ
コラム 町工場で半導体製造装置を!?
11.各種半導体デバイス・センサ
11.1 光半導体デバイス(オプトエレクトロニクス)
11.1.1 受光素子
11.1.2 発光素子
11.2 パワー半導体デバイス
11.2.1 サイリスタ(thyristor)
11.2.2 絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)
11.2.3 次世代パワー半導体デバイス
11.3 半導体センサ
11.3.1 温度センサ
11.3.2 磁気センサ(ホール素子)
11.3.3 メムス(MEMS)センサ
11.4 まとめ
引用・参考文献:より深く半導体デバイス学ぶために








