電気機器工学

電気・電子系 教科書シリーズ 19

電気機器工学

電気機器を理解するために必要な基礎的事項を解説し,基本である直流機,変圧器,誘導機,同期機の構造,動作,特性などをわかりやすく説明している。また,多くの最新の機器についても紹介している。

ジャンル
発行年月日
2001/02/16
判型
A5
ページ数
222ページ
ISBN
978-4-339-01199-9
電気機器工学
在庫あり
2営業日以内に出荷致します。

定価

2,970(本体2,700円+税)

カートに入れる

電子版を購入

購入案内

  • 内容紹介
  • まえがき
  • 目次
  • レビュー
  • 著者紹介

電気機器を理解するために必要な基礎的事項を解説し,基本である直流機,変圧器,誘導機,同期機の構造,動作,特性などをわかりやすく説明している。また,多くの最新の機器についても紹介している。

電気機器学というのはとかく古めかしい分野の学問のように考えられることがある。歴史があるという立味では古いといえるが,他の電気関係の分野と同じように日々進歩していることに変わりはない。発電機,電動機の発明から始まり,各種の機器が改良,検討されてきたが,それらはすべて電気エネルギーの発生,輸送,変換などの役割を担う重要なものであった。また,これらの役割をいかに効率良く行うかという観点から,種々の理論的な検討などがなされ,エネルギ一変換や制御を行う機器や素子の発達へ結びついたと考えることができる。その結果,各種のエネルギー源から電気エネルギーへの変換が容易であることに加え,電気エネルギー自身が変換効率が高いものであるという現在の評価を得るに至った。単なるひらめきや思いつきではなく,多くの先人達の努力と工夫の結果である。

努力と進歩の結果は,一方で、電気工学に関する領域の拡大を招き,大学のみならず高専においても新しい科目が順次導入されてきた。電気機器の分野にもパワーエレクトロニクスが取り入れられてきた。しかしながら,現状ではカリキュラムの見直しなどにより電気機器の単位数が削減され,そのために内容もある程度制限されてきた。そのような中で,電気機器学が電気工学における基礎科目であり,電気機器に関する知識が他分野,特にエネルギ一関連の分野を理解するときにおおいに役立つ重要な科目であることに変わりはない。実際に電気機器について学習しようとするとき,電気磁気や電気回路の知識に加え,機器の立体的な構造をイメージして把握する能力が必要となる。このように,電気機器学が複合的な能力を要求する科目であることが,電気機器学は理解しにくいという印象を与えているのではないかという懸念もある。

以上のことを考慮して,本書の執筆に当たっては,電気,電子,情報工学の各分野において電気機器を初めて学ぶ工業高専や大学学部程度の学生を対象に,ページ数を履修時間内で消化できるものとし,難しい数式の使用を避け,電気磁気や電気回路の基礎知識があれば理解できるように留意した。最も基本的な各種機器の動作原理と特性に加え,最新の機器についても記述しているが,立体的な図面を多く使用することで機器の構造をイメージしやすくすることに努めた。

電気機器は電気と磁気の相互作用を利用したものといえる。そのため,第1章では電気磁気学の基礎事項と機器に使用される磁気材料について述べている。第2章から第5章までの各章では,それぞれ基本とされる直流機,変圧器,誘導機および同期機について,動作原理,構造,諸特性などを説明している。ロボットや情報機器の多様化する用途に合わせて開発された新しい機器についても紹介している。また,演習問題は動作原理や運転方法を理解するために必要な基本的問題を厳選した。このような意図で記述した本書が,学生諸君が電気機器を理解する一助となれば望外の喜びである。

本書の執筆に当たり,多くの電気機器関係の著書を参考にさせていただき,著者の方々に厚くお礼を申し上げる。また,記述の正確さには十分注意したつもりであるが,誤りや不備な点も多々あることと思われる。読者の方々からご教示,ご叱正をいただければ幸いである。終わりに,ご指導,ご鞭撻をいただいた編集委員およびコロナ社の各位に感謝の意を表する。

2000年12月
著者

1.電気機器の基礎事項
1.1 エネルギー変換と電気機器
1.2 電磁気の基礎事項
 1.2.1 電流の磁気作用と電磁力
 1.2.2 電磁誘導
 1.2.3 磁気回路
1.3 発電機作用と電動機作用
1.4 電気機器用材料
 1.4.1 導電材料
 1.4.2 磁性材料
 1.4.3 絶縁材料
演習問題

2.直流機
2.1 直流機の原理
 2.1.1 直流発電機の原理
 2.1.2 直流電動機の原理
2.2 直流機の構造
 2.2.1 直流機の基本構成
 2.2.2 電機子巻線
2.3 直流機の理論
 2.3.1 誘導起電力
 2.3.2 トルク
 2.3.3 直流機の回路表現と基本式
 2.3.4 電機子反作用
 2.3.5 整流
2.4 直流発電機の種類と特性
 2.4.1 直流発電機の種類
 2.4.2 定格
 2.4.3 直流発電機の特性
2.5 直流電動機の種類と特性
 2.5.1 直流電動機の種類
 2.5.2 直流電動機の特性
2.6 直流電動機の運転
 2.6.1 直流電動機の過渡動作
 2.6.2 直流電動機の始動
 2.6.3 直流電動機の速度制御
 2.6.4 直流電動機の制動,逆転
2.7 直流機の損失,効率
 2.7.1 損失
 2.7.2 効率
演習問題

3.変圧器
3.1 変圧器の原理
 3.1.1 電圧変換の原理
 3.1.2 負荷時の動作
3.2 変圧器等価回路
 3.2.1 巻線抵抗および漏れ磁束の影響
 3.2.2 励磁回路
 3.2.3 変圧器等価回路
 3.2.4 等価回路定数の測定
3.3 変圧器特性
 3.3.1 定格
 3.3.2 電圧変動率
 3.3.3 損失および効率
3.4 変圧器の構造
 3.4.1 変圧器の基本構成
 3.4.2 鉄心および巻線
 3.4.3 変圧器付属設備
 3.4.4 冷却方式
3.5 変圧器の結線
 3.5.1 変圧器の極性
 3.5.2 単相変圧器の三相結線
 3.5.3 変圧器の並行運転
3.6 各種の変圧器
 3.6.1 単巻変圧器
 3.6.2 三相変圧器
 3.6.3 計器用変成器
演習問題

4.誘導機
4.1 三相誘導電動機の原理と構造
 4.1.1 三相誘導電動機の原理
 4.1.2 誘導電動機の種類と構造
4.2 三相誘導電動機の理論
 4.2.1 起磁力と誘導起電力
 4.2.2 誘導電動力の等価回路
 4.2.3. 回路定数の算定
4.3 三相誘導電動機の特性
 4.3.1 電流と力率
 4.3.2 入出力と損失
 4.3.3 トルク
 4.3.4 最大トルクと最大出力
 4.3.5 比例推移
4.4 三相誘導電動機の運転
 4.4.1 始動法
 4.4.2 速度制御法
 4.4.3 逆転法
 4.4.4 制動法
4.5 単相誘導電動機
 4.5.1 動作原理
 4.5.2 二相回転磁界
 4.5.3 始動方法による分類
4.6 誘導電圧調整器
 4.6.1 単相誘導電圧調整器
 4.6.2 三相誘導電圧調整器
演習問題

5.同期機
5.1 同期発電機の原理
5.2 同期発電機の構造と種類
 5.2.1 回転界磁形と回転電機子形
 5.2.2 原動機による分類
5.3 同期発電機の理論
 5.3.1 誘導起電力
 5.3.2 電機子反作用
 5.3.3 等価回路
5.4 同期発電機の特性
 5.4.1 同期発電機の出力
 5.4.2 同期発電機の特性曲線
5.5 同期発電機の並行運転
 5.5.1 運転条件と方法
 5.5.2 異常現象
5.6 同期電動機
 5.6.1 同期電動機の原理
 5.6.2 同期電動機の始動法と種類
 5.6.3 同期電動機の特性
5.7 その他の電動機
 5.7.1 交流整流子電動機
 5.7.2 サーボモータ
 5.7.3 ステップモータ
 5.7.4 ブラシレスDCモータ
 5.7.5 リニアモータ
 5.7.6 超音波モータ
演習問題

参考文献
演習問題解答
索引

amazonレビュー

前田 勉(マエダ ツトム)

新谷 邦弘(シンヤ クニヒロ)