回路解析力が身につく電子回路入門

回路解析力が身につく電子回路入門

回路解析能力を身につける事ができるよう,図面を多く使用し,諸原理法則の応用力の向上を図るために例題や演習問題も多く取り入れた

ジャンル
発行年月日
2014/08/18
判型
A5
ページ数
192ページ
ISBN
978-4-339-00859-3
回路解析力が身につく電子回路入門
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定価

2,860(本体2,600円+税)

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  • 内容紹介
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  • 書籍紹介・書評掲載情報

多数の電子回路に関する書籍が発行されているが,いずれも回路の基本法則と多種の応用回路に関する内容が豊富で,電子回路の中核となるトランジスタ基本回路などのより詳しい解析は少ない。電気電子工学系の学生が一連の電子回路関連科目をスムーズに学習するためには,最初に回路基礎とトランジスタ基本回路をしっかり理解したうえで,回路解析力を身につけることが重要であると考え,本書では以下の構成とし,図面を多く使用するとともに,諸原理法則の応用力の向上を図るために例題や演習問題も多く取り入れた。

1章「回路の基礎」では,2章以降で学ぶ電子回路の設計・解析力を身につけるために,まずは電気回路を構成するおもな素子とその性質,回路において成り立つ法則や定理などについて説明する。
2章「ダイオードの特性と回路解析」では,電子回路で用いられる基本的かつ重要な半導体素子の一つであり,身の周りの多くの電気電子機器に利用されているダイオードについて説明する。
3章「トランジスタの基礎特性」では,能動素子の一つであるバイポーラ接合トランジスタについての概要や静特性,性能を表すための諸パラメータについて説明する。バイポーラ接合トランジスタはさまざまな電子回路に応用されており,その基本特性は電子回路解析を行うときの重要事項となる。また,同様の働きを持つ電界効果トランジスタの概要,静特性についても説明する。
4章「トランジスタのバイアス回路」では,バイポーラ接合トランジスタを動作させるための直流回路(バイアス回路)について,その概要,バイアス回路により定まる安定指数,さまざまなバイアス回路の例,また非線形素子によるバイアス回路の安定化手法を説明する。さらに,電界効果トランジスタのバイアス回路についても述べる。
5章「四端子回路網のパラメータ解析」トランジスタ回路解析の準備として,一般的な線形回路網の特性と解析方法を紹介する。ここで,線形回路とは,線形素子(抵抗器,キャパシタ,インダクタ,定係数の一次制御電源など)より構成され,回路中の各電圧電流の関係は一次線形関数により表現できるものである。
6章「小信号トランジスタ増幅回路」では,トランジスタの入出力特性とよく対応するhパラメータを中心に,トランジスタ増幅回路の小信号線形化解析方法を紹介する。

1.回路の基礎
1.1 基礎回路素子
 1.1.1 電源
 1.1.2 受動素子と能動素子
1.2 オームの法則
1.3 キルヒホッフの法則
 1.3.1 キルヒホッフの電圧則
 1.3.2 キルヒホッフの電流則
1.4 重ね合わせの理
1.5 テブナンの定理とノートンの定理
 1.5.1 テブナンの定理
 1.5.2 ノートンの定理
演習問題

2. ダイオードの特性と回路解析
2.1 ダイオードの概要
2.2 ダイオードの特性
 2.2.1 ダイオードの整流作用
 2.2.2 ダイオードの電圧電流特性
2.3理想ダイオード回路の解析
 2.3.1 理想ダイオード
 2.3.2 理想ダイオード回路の解析例
2.4 グラフ解析
2.5 小信号等価回路解析
2.6 ダイオードの応用回路例
 2.6.1 整流回路
 2.6.2 クリッパ回路とクランプ回路
 2.6.3 ツェナーダイオード
演習問題

3.トランジスタの基礎特性
3.1 トランジスタの概要
 3.1.1 トランジスタの構造と動作原理
 3.1.2 トランジスタの電圧と電流の表現法
3.2 トランジスタの静特性
 3.2.1 ベース接地特性
 3.2.2 エミッタ接地特性
 3.2.3 トランジスタの増幅作用
3.3 トランジスタのパラメータ
 3.3.1 端子電流間の関係
 3.3.2 静特性と直流電流増幅率の関係
 3.3.3 交流小信号電流増幅率
 3.3.4 入力電圧と出力電圧の関係
3.4 電界効果トランジスタの概要
 3.4.1 電界効果トランジスタの構造と動作原理
 3.4.2 電界効果トランジスタの静特性
演習問題

4. トランジスタのバイアス回路
4.1 バイアス回路の概要
 4.1.1 バイアス回路の必要性
 4.1.2 回路法則による解析
 4.1.3 グラフによる解析
 4.1.4 トランジスタ回路のクラス
 4.1.5 キャパシタの役割
4.2 安定指数
 4.2.1 トランジスタ回路の安定性
 4.2.2 安定指数を用いた確認
4.3 基本バイアス回路
 4.3.1 固定バイアス回路
 4.3.2 電流帰還バイアス回路
 4.3.3 自己(電圧帰還)バイアス回路
4.4 非線形素子によるバイアス回路の安定化
4.5 電界効果トランジスタのバイアス回路
演習問題

5. 四端子回路網のパラメータ解析
5.1 四端子(2ポート)回路網のパラメータ表現
 5.1.1 zパラメータ
 5.1.2 yパラメータ
 5.1.3 Fパラメータ
 5.1.4 hパラメータ
 5.1.5 パラメータ変換
5.2 2 ポート増幅器の性能評価
 5.2.1 利得と入出力インピーダンス
 5.2.2 回路網の等価パラメータによる性能評価
5.3 hパラメータ等価回路
演習問題

6.小信号トランジスタ増幅回路
6.1 BJTのhパラメータ等価回路
 6.1.1 hパラメータとBJT特性との対応関係
 6.1.2 BJTの各種接続方式におけるhパラメータ等価回路
 6.1.3 各種接続方式のhパラメータの換算
 6.1.4 各種接続方式のhパラメータの特徴
6.2 BJTのT形等価回路
6.3 BJT増幅回路の基本特性
 6.3.1 各種接続方式の基本回路
 6.3.2 基本増幅回路性能のhパラメータ表現
 6.3.3 各種接続方式のBJT増幅回路の一般的な特徴
6.4 応用BJT増幅回路のhパラメータ等価解析
 6.4.1 中間的周波数領域における回路素子の扱い方
 6.4.2 BJT応用増幅回路の交流等価回路
 6.4.3 BJT応用増幅回路の性能評価
 6.4.4 帰還型BJT増幅回路例
演習問題

演習問題の解答
索引

中林 寛暁(ナカバヤシ ヒロアキ)

「Electoronic Journal」(電子ジャーナル発行) 2015年3月号 掲載日:2015/03/01


レビュー,書籍紹介・書評掲載情報一覧

まえがきより
 電子工学の技術が急速に発展しつつある近代社会では,エレクトロニクス技術者の需要も著しく増加してきた。大規模集積回路(LSI)が普及している一方,開発設計の技術者として,その基礎となる知識と回路解析力をしっかりと身につけておくことが要求されている。
 電気電子工学分野の教育体系は,電磁界に着眼した電気磁気学系,材料の物理特性に着眼した電子デバイス系と,これらの回路素子を用いた電気電子回路系に分けられる。筆者らは長年,電気電子工学系の大学生を対象に電子回路の教育に携わってきた。国内では毎年多数の電子回路に関する書籍が発行されているが,いずれも回路の基本法則と多種の応用回路に関する内容が豊富で,電子回路の中核となるトランジスタ基本回路などのより詳しい解析は少ない。一方,学生諸君は理系科目にも関わらず,公式暗記のような勉強をし,せっかく学んだ知識がその後の関連科目になかなか生かされないという現象が顕著に見受けられる。
 そこで,筆者らは電気電子工学系の学生が一連の電子回路関連科目をスムーズに学習するために,最初に回路基礎とトランジスタ基本回路をしっかり理解したうえで,回路解析力を身につけることが重要であると考え,本書を執筆する運びとなった。この考えのもと,本書をつぎのように構成した。
 1 章では,電子回路を構成する基礎回路素子から始め,回路の基本法則を述べる。2 章では,電子回路に扱う非線形素子の基礎であるダイオードを中心に,その特性と回路解析方法を紹介する。3 章と 4 章では,電子回路の中で最も重要な非線形素子であるトランジスタの基本特性とその特性による電子回路中の働きを詳細に紹介し,増幅のための直流バイアスの概念特性およびバイアス回路の解析方法を述べる。5 章では,トランジスタ増幅回路の交流特性を解析する準備として,h パラメータ等価回路に重点を置き,一般的な四端子回路網の特性と解析方法を紹介したうえで,6 章では h パラメータ等価回路解析を中心にトランジスタ増幅回路の諸特性と解析方法を紹介する。
 本書を執筆するにあたっては,「回路解析力」の育成を念頭に,各種素子や回路の特性と法則の紹介のみに留まらず,これらを交えた回路解析例を多く取り入れ,信号の流れや回路の働きについての詳細な解説に重きを置いた。また,電子回路のイメージをしやすくするため図面を多く使用するとともに,諸原理法則の応用力の向上を図るため例題や演習問題も多めに取り入れている。 本書を電気電子回路系の入門教材として,高校までの数理知識があれば,特に回路関係の基礎知識がなくても内容を理解でき,そのうえ,特に応用回路重視の関連文献の理解に役立つことを期待する。
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