回転成形 - 転造とスピニングの基礎と応用 -

新塑性加工技術シリーズ 12

回転成形 - 転造とスピニングの基礎と応用 -

近年,高強度材や難加工材の成形など,より効率的生産手段への展開が期待される回転成形について詳説した

ジャンル
発行年月日
2019/05/07
判型
A5
ページ数
274ページ
ISBN
978-4-339-04382-2
回転成形 - 転造とスピニングの基礎と応用 -
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定価

4,730(本体4,300円+税)

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転造やスピニングなどの回転成形は、簡単形状な工具を用い小荷重容量機械で成形でき、多品種少量生産に適する。本書では,近年,高強度材や難加工材の成形など、より効率的生産手段への展開が期待される回転成形について詳説した。

日本塑性加工学会編 塑性加工技術シリーズ『回転加工―転造とスピニング―』が刊行されたのは1990年12月であるから,四半世紀以上が経過したことになる.この間,回転しているブランク(被加工材)に工具を押付け,工具との局部的な接触による塑性変形の繰返しによって徐々に全体の製品形状を創成していく,典型的なインクリメンタルフォーミングとしての回転成形(rotary forming)の適用範囲は着実に広がりつつある.

『回転成形―転造とスピニングの基礎と応用―』で取り上げる回転成形の各加工技術の基礎と各加工法における変形機構などは,基本的には『回転加工』の刊行時と変化はないが,この四半世紀の間に数値制御技術などを含む周辺技術の発展に伴って各加工技術も大きく進歩してきている.

『回転加工』から『回転成形』へ改編するに当り,まず,本加工技術が機械加工ではなく塑性加工(metal forming)技術であることを明示するために,書名を『回転成形』へと変更した.ついで,全体の構成についても見直しを行い,『回転加工』は全9章で構成されていたが,他の章に比較してページ数が少ない「回転鍛造」と「ディスクローリング」を『回転成形』では7章「その他の回転成形」に移して,全7章で構成するように章の数を減らした.

7章「その他の回転成形」には「回転鍛造」,「ロータリースエージングおよびラジアル鍛造」,「傾斜軸転造」,「冷間プロフィル転造」および「ディスクローリング」など各種の回転成形技術が含まれており,『回転成形』に含まれている各加工技術は「ドリルの転造」を除いたこと以外,基本的には『回転加工』と同一である.

また,2章「ねじ転造」,3章「歯車・スプライン転造」,4章「クロスローリング」,5章「リングローリング」,6章「スピニング」および7章「その他の回転成形」の各章においては,『回転加工』をベースとして加工技術のディジタル化,フレキシブル化,インテリジェント化や複合化など,最新の応用例や動向を追加して節や項の構成を変更しており,また重要な基本的事項を説明する必要性から構成も含めて全面的に書き改めた章もある.

7章「その他の回転成形」で記述されている各加工技術も含めて,『回転成形』の各章で取り上げている回転成形の各加工技術を単独加工として利用するだけでなく,これらをベースにした新しい加工技術や加工法の開発,また他の加工法との複合化などによる,より効果的な生産手段への展開を期待したい.
 
回転成形全般に関する特徴や利点は1章「総論」にまとめられているが,近年の技術的動向に基づいた長所を強調するとすれば
 ( 1 )通常の鍛造やプレス加工に比較して小荷重容量の機械で成形ができ,また簡単形状で安価な工具を用いて,多様な製品をフレキシブルに成形できるので,多品種少量(high-mix, low-volume)生産に適している,
 ( 2 )工具の運動のディジタル制御が可能であり,これからのディジタル生産システムに適している,
 ( 3 )加工荷重が小さく,潤滑が容易なため,高強度材や難加工材の成形にも適用できる
ことなどがあり,回転成形はこれからも重要な成形技術の一つである.ただし,高品質な製品を回転成形で製造するためには,適正な成形加工条件(工具運動)の選定,材料変形や材料流れの適切な制御が不可欠で,そのためには各加工技術に特有の知識が必要なため,回転成形の特性をよく理解する必要があり,本書がそのための一助となれば幸いである.

『回転成形』を取りまとめるに当り,前述のように『回転加工』の図表や記述をそのまま使用させていただいた箇所も多くあり,『回転加工』の著者に深く謝意を表する.また,出版を企画された一般社団法人日本塑性加工学会,ならびに出版の労をお取りいただいた株式会社コロナ社に謝意を表する.

2019年3月 「回転成形」専門部会  川井 謙一,団野 敦

1. 総論
1.1 回転成形の発展
1.2 回転成形の原理と分類
 1.2.1 回転成形の加工原理
 1.2.2 回転成形の分類
1.3 回転成形の特性と特徴
 1.3.1 転造の変形の特徴
 1.3.2 スピニングの変形の特徴
1.4 回転成形の利点
引用・参考文献

2. ねじ転造
2.1 概説
2.2 加工機械
 2.2.1 転造方式の分類
 2.2.2 ねじ転造盤と転造装置
 2.2.3 ねじ転造ダイス
 2.2.4 薄肉部品の転造
 2.2.5 めねじの塑性加工
 2.2.6 ねじ転造における潤滑
2.3 加工力
 2.3.1 くさび形工具の押込み力
 2.3.2 ねじ転造力(半径力)
2.4 転造ねじの強度
 2.4.1 おねじの製造方法
 2.4.2 おねじの疲労強度
引用・参考文献

3. 歯車・スプライン転造
3.1 概説
 3.1.1 加工の概略
 3.1.2 歯車転造の方式
 3.1.3 歯形部品製造工程での役割
3.2 加工の基本的考え方
 3.2.1 歯の盛上がりと材料流れ
 3.2.2 幾何学的条件
 3.2.3 歯に作用する荷重
3.3 ラックダイス方式
 3.3.1 転造装置
 3.3.2 ラックダイス
 3.3.3 転造成形品
3.4 ローラーダイス方式
 3.4.1 転造装置
 3.4.2 スプラインおよび歯車の冷間転造
 3.4.3 歯車の熱間転造
 3.4.4 歯車の仕上げ転造
3.5 その他の歯車転造方式
 3.5.1 WPM法
 3.5.2 Grob法
 3.5.3 リングローリング方式
 3.5.4 かさ歯車の熱間転造
引用・参考文献

4. クロスローリング
4.1 加工方法
4.2 クロスローリングの基本的特性
4.3 クロスローリングのダイス形状
 4.3.1 成形角a,進行角bの選定
 4.3.2 成形角aより大きい傾斜面を成形する切上げ法
 4.3.3 くびれを防止する方法12段成形法
 4.3.4 くびれを防止する方法2転圧法
 4.3.5 端面の変形に対する設計手法
 4.3.6 盛上げ成形
4.4 クロスローリングマシン
4.5 クロスローリングの用途とその適用例
 4.5.1 自動車用ギヤ素形材への応用例
 4.5.2 熱間型鍛造用荒地加工への応用例
引用・参考文献

5. リングローリング
5.1 概説
5.2 リングローリングの加工プロセス
 5.2.1 リングローリングの加工方式
 5.2.2 リングの製造工程
 5.2.3 リングローリングにおける加工条件の選定と加工上の課題
5.3 リングローリングの解析
 5.3.1 解析的手法による解析
 5.3.2 有限要素法による解析
5.4 リングローリングのフレキシブル化
引用・参考文献

6. スピニング
6.1 概説
 6.1.1 スピニングの基本加工法
 6.1.2 スピニングの経済性
 6.1.3 スピニングにおける加工性
 6.1.4 スピニングにおける潤滑剤
 6.1.5 スピニング製品の精度
 6.1.6 スピニングの適用分野
6.2 絞りスピニング
 6.2.1 絞りスピニングにおける加工手順
 6.2.2 固定加工条件と流動加工条件(1)の選定
 6.2.3 流動加工条件(2)の選定
 6.2.4 円筒形以外の絞りスピニング
6.3 しごきスピニング
 6.3.1 固定加工条件の選定
 6.3.2 流動加工条件(1)の選定
 6.3.3 流動加工条件(2)の選定
 6.3.4 しごきスピニングにおける加工性
 6.3.5 製品の強度
6.4 回転しごき加工
 6.4.1 加工原理と変形機構
 6.4.2 加工力
 6.4.3 加工条件と加工性
6.5 その他のスピニング
 6.5.1 鏡板の加工(フランジング)
 6.5.2 管端閉じ加工(クロージング)
 6.5.3 ネッキング
 6.5.4 バルジングとフレアリング
 6.5.5 縁加工
 6.5.6 数値制御スピニング
 6.5.7 スピニングのインテリジェント化とフレキシブル化
 6.5.8 非軸対称製品のスピニング
引用・参考文献

7. その他の回転成形
7.1 回転鍛造
 7.1.1 加工方法
 7.1.2 回転鍛造の応用
7.2 ロータリースエージングおよびラジアル鍛造
 7.2.1 加工方法の概略
 7.2.2 応用例
7.3 傾斜軸転造
 7.3.1 加工方法の概略
 7.3.2 球の転造
 7.3.3 その他の傾斜軸転造
7.4 冷間プロフィル転造
 7.4.1 プーリ転造
 7.4.2 プロフィルリングの転造
 7.4.3 テーパチューブの転造成形
 7.4.4 バニシ転造
7.5 ディスクローリング
 7.5.1 加工法と歴史
 7.5.2 車輪圧延機(ホイールミル)
 7.5.3 ディスクリング成形機
 7.5.4 ディスクローリングの適用の拡大
引用・参考文献

索引

川井 謙一(カワイ ケンイチ)

団野 敦(ダンノ アツシ)

「月刊トライボロジー」2019年5月号(新樹社) 掲載日:2019/05/23

掲載日:2023/05/31

2023年度塑性加工春季講演会論文集広告

掲載日:2020/11/05

第71回 塑性加工連合講演会講演論文集広告

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