塑性加工の計算力学 - 塑性力学の基礎からシミュレーションまで -

新塑性加工技術シリーズ 1

塑性加工の計算力学 - 塑性力学の基礎からシミュレーションまで -

材料加工プロセスの解析に携わっている方、これから学ぼうとしている方の助けとなる1冊!

ジャンル
発行年月日
2024/04/05
判型
A5
ページ数
238ページ
ISBN
978-4-339-04371-6
塑性加工の計算力学 - 塑性力学の基礎からシミュレーションまで -
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定価

4,180(本体3,800円+税)

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  • 広告掲載情報

初めに塑性加工の歴史と塑性力学の発展を俯瞰し,つぎに塑性理論から初等解法,そして数値解析,シミュレーション高度化に対応した実験手法,解析精度の検証と評価のための考え方(V&V)と順を追って理解が深められる構成とした。

本書は1992年に刊行された『材料加工の計算力学―進歩するシミュレーション技術―』(塑性加工技術シリーズ1)の改訂版である.旧版が刊行された当時はちょうど有限要素法による解析がさまざまな実用的な塑性加工問題に適用され始めたころであり,一般に使える計算機の性能の大幅な飛躍と相まって,汎用のFEM解析が一気に広がった時期であった.そのような数値解析の適用拡大の一方で,それまでの解法の有用性がなくなるわけでなく,旧版の出版部会長の神馬敬先生がまえがきの中で「FEM解析では膨大な数値計算を経て結果が得られるゆえに,正しい結果が得られたか否かの判断が大切で,実験結果との対比ができれば最善だが,初等理論,すべり線場法,上界接近法などを用いて並行して解析を行い,加工様式を定性的に理解できる見通しのよい変形モデルを作成することが望まれる.加工様式によってはFEMよりほかの解析法のほうが適していることがあることは圧延プロセスの制御に初等理論が活用された例から明らかであり,解析法の選択は重要である.」と述べておられるとおりである.このことは,FEM解析がさらに精緻にかつ大規模な解析として進歩した現在でも変わらず,本書においても塑性理論から初等解法,そして数値解析と順を追って理解を深められるような構成を踏襲している.

それぞれの解析手法は塑性加工技術の発展とも密接に関連して発展してきていることから,最初に塑性加工の歴史,そしてそれに関連する塑性力学の発展を俯瞰してみる章を最初に設けたのも,本書の特徴である.第4章の数値解析においては,線形弾性,剛塑性,弾塑性の有限要素解析に加えて,板成形解析などで現在よく使われる動的陽解法による有限要素解析,さらには粒子法による解法についても加えた.第5章では,シミュレーション高度化のための実験手法として,材料変形特性,摩擦や破壊等に関するパラメータの測定法,あるいは解析結果の評価のための応力測定や材料組織の評価方法,また解析精度の検証と評価のための考え方を示したVaridation and Verificationなどをまとめ,解析を具体的な実際の加工に適用しようとする人の助けとなるよう工夫されているのももう一つの特徴である.本書が材料加工プロセスの解析に携わっているあるいはこれから学ぼうとしている人たちの助けとなり,これからのシミュレーション技術の一層の発展に寄与できることを願う.

本書では内容が多岐にわたっており,日本塑性加工学会プロセッシング計算力学分科会の委員の方々を中心に多数の方々に執筆をお願いした.執筆者の方々に深く感謝申し上げるとともに,諸般の事情により刊行が遅れたことをお詫び申し上げる.出版に向けさまざまなご協力をいただいた学会関係の方々,とりわけ最後の取りまとめにおいて多大なるご助力をいただいた京都大学浜孝之先生,静岡大学吉田健吾先生,山形大学黒田充紀先生に深甚の謝意を表します.またコロナ社には辛抱強く脱稿をお待ちいただき,また編集上のさまざまな助言をいただき,感謝申し上げます.

2023年12月
「塑性加工の計算力学」専門部会長 湯川伸樹

1. 塑性加工と塑性力学の歴史
1.1 塑性加工の歴史  
 1.1.1 産業革命以前の塑性加工  
 1.1.2 産業革命以後の塑性加工の進歩  
 1.1.3 自動車大量生産のための塑性加工  
1.2 塑性力学の発展  
 1.2.1 塑性力学の始まり  
 1.2.2 降伏条件と塑性構成式  
 1.2.3 すべり線場理論  
 1.2.4 スラブ法  
 1.2.5 上界法  
 1.2.6 有限要素法  
 1.2.7 各種のシミュレーション方法  
1.3 塑性力学の役割  
 1.3.1 塑性力学とシミュレーション  
 1.3.2 塑性加工分野以外での塑性力学の利用  
引用・参考文献 

2. 基礎理論
2.1 応力とひずみ  
 2.1.1 応力と応力増分  
 2.1.2 ひずみとひずみ増分  
2.2 応力-ひずみ関係とその硬化則  
2.3 降伏条件式  
 2.3.1 等方性降伏条件式  
 2.3.2 異方性降伏条件式  
2.4 加工硬化則  
 2.4.1 等方硬化則  
 2.4.2 移動硬化則  
 2.4.3 複合硬化則・異方硬化則  
2.5 塑性流動則  
 2.5.1 Reuss,Prandtl-Reuss,Lévy-Misesの式  
 2.5.2 最大塑性仕事の原理  
 2.5.3 関 連 流 動 則  
 2.5.4 尖り点効果  
 2.5.5 Henckyの全ひずみ理論およびJ2変形論  
 2.5.6 圧縮性材料の塑性構成式  
2.6 仮想仕事の原理,変分原理  
 2.6.1 仮想仕事の原理  
 2.6.2 補仮想仕事の原理  
 2.6.3 速度形の仮想仕事の原理  
 2.6.4 弾塑性体の変分原理  
 2.6.5 剛塑性体の変分原理  
 2.6.6 解の唯一性の十分条件  
2.7 塑性不安定  
 2.7.1 薄板の拡散くびれ  
 2.7.2 内圧・軸力・ねじりを受ける円管の不安定  
 2.7.3 液圧バルジを受ける薄板の不安定  
 2.7.4 薄板の局部くびれ  
2.8 延性破壊の理論  
2.9 結晶塑性解析  
 2.9.1 すべり系  
 2.9.2 単結晶の構成式  
 2.9.3 Schmid則とすべり増分  
 2.9.4 すべり系の加工硬化  
 2.9.5 結晶塑性モデルによる変形解析  
2.10 有限変形問題への拡張  
 2.10.1 配置の変化が変形に及ぼす影響  
 2.10.2 剛体回転がひずみに及ぼす影響  
 2.10.3 剛体回転が応力に及ぼす影響  
 2.10.4 結晶塑性解析における結晶方位回転  
引用・参考文献
  
3. 解析解
3.1 スラブ法  
 3.1.1 解析の対象とする領域と応力場の近似  
 3.1.2 スラブ要素に作用する応力ベクトルと面積  
 3.1.3 スラブ要素に作用する力の釣合い式  
 3.1.4 力の釣合い式と降伏条件を連立させた解析解の導出  
 3.1.5 入口面において被加工材が受けるせん断変形に対応した仮想的な応力σ_s  
3.2 すべり線場法  
 3.2.1 すべり線場とホドグラフおよびそれらの決定  
 3.2.2 基礎的関係  
 3.2.3 すべり線場の描き方と例題  
3.3 エネルギー法  
3.4 上界法  
 3.4.1 上界定理  
 3.4.2 上界定理の一般化  
 3.4.3 連続な可容速度場とその応用  
引用・参考文献
  
4. 数値解析
4.1 線形弾性有限要素法  
 4.1.1 弾性変形の支配方程式  
 4.1.2 有限要素分割による離散化  
 4.1.3 形状関数  
 4.1.4 有限要素剛性方程式  
 4.1.5 全体構造の剛性方程式  
4.2 剛塑性有限要素法  
 4.2.1 変分原理  
 4.2.2 剛塑性有限要素剛性方程式  
 4.2.3 解析上の問題点  
4.3 弾塑性有限要素法  
 4.3.1 等方弾塑性体構成式  
 4.3.2 仮想仕事の原理  
 4.3.3 有限要素剛性方程式  
 4.3.4 時間積分  
4.4 動的陽解法  
 4.4.1 動解析の定式化  
 4.4.2 時間離散化手法  
4.5 SPH法解析  
 4.5.1 SPH法の歴史と特徴  
 4.5.2 粒子モデル  
 4.5.3 SPH法の理論  
 4.5.4 重み関数  
 4.5.5 人工粘性  
 4.5.6 弾性解析  
 4.5.7 弾塑性解析  
 4.5.8 解析例  
引用・参考文献
  
5. シミュレーション高度化のための実験手法
5.1 材料試験法  
 5.1.1 単軸引張試験  
 5.1.2 単軸圧縮試験  
 5.1.3 金属薄板の面内圧縮試験および面内反転負荷試験  
 5.1.4 平面ひずみ圧縮および平面ひずみ引張試験方法  
 5.1.5 引張-せん断組合せ試験方法  
 5.1.6 液圧バルジ試験方法  
 5.1.7 二軸圧縮試験方法  
 5.1.8 十字形試験片を用いた二軸引張試験方法  
 5.1.9 二軸バルジ試験方法  
 5.1.10 引張-圧縮組合せ応力試験方法  
5.2 摩擦試験法  
 5.2.1 摩擦試験法  
 5.2.2 摩擦法則  
5.3 延性破壊の評価方法  
 5.3.1 延性破壊予測モデル  
 5.3.2 ひずみの計測  
5.4 残留応力測定法  
 5.4.1 変形測定法  
 5.4.2 X線応力測定法  
5.5 集合組織の測定  
 5.5.1 集合組織に関連する基礎知識  
 5.5.2 集合組織の測定方法  
 5.5.3 集合組織測定結果の力学解析への利用  
5.6 VerificationとValidation  

引用・参考文献  
索引  

湯川 伸樹(ユカワ ノブキ)

小坂田 宏造(オサカダ コウゾウ)

上森 武(ウエモリ タケシ)

吉田 健吾(ヨシダ ケンゴ)

浜 孝之(ハマ タカユキ)

柳本 潤(ヤナギモト ジュン)

桑原 利彦(クワバラ トシヒコ)

早川 邦夫(ハヤカワ クニオ)

杉友 宣彦(スギトモ ノブヒコ)

酒井 譲(サカイ ユズル)

王 志剛(ワン ズガン)

吉田 佳典(ヨシダ ヨシノリ)

眞山 剛(マヤマ ツヨシ)

瀧澤 英男(タキザワ ヒデオ)

「月刊トライボロジー」2024年4月号「新刊図書」 掲載日:2024/04/11

「ベアリング新聞」2024年3月20日号「新刊図書」 掲載日:2024/03/21

掲載日:2024/03/29

日刊工業新聞広告掲載(2024年3月29日)

掲載日:2024/03/12

「月刊トライボロジー」2024年3月号

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