レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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本書では,化合物の化学構造やオミクスデータを情報解析する広い意味でのケモインフォマティクスに着目し,分子・材料設計や新規物質創製,創薬などの化学的な課題を解決するための統合的なアプローチを紹介し,解説している。
- 発行年月日
- 2026/05/07
- 定価
- 4,400円(本体4,000円+税)
- ISBN
- 978-4-339-02738-9
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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読者モニターレビュー【 ベイズマン 様 (業界・専門分野:化学メーカー)】
掲載日:2026/05/18
化学メーカーでMIを取り扱って数年になります。普段はコンパウンド技術に機械学習を活用することが多く、組成情報を説明変数とすることが多いです。本書籍では化学構造やスペクトル等を用いた事例の紹介があり非常に参考になりました。一方でpythonの使い方等の説明は詳しくされていないため、ある程度経験のある方向けの書籍であると感じます。個人的には6章の材料設計のパートが非常に参考になり、7章のスペクトル解析についてはまだ実務で活用経験がないため、本書籍を参考に解析に取り組んでみようかと思います。
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読者モニターレビュー【 高原 渉 様 株式会社日立製作所・京都大学(業界・専門分野:マテリアルズ・インフォマティクス 、データサイエンス、材料工学)】
掲載日:2026/05/14
本書は、ケモインフォマティクスを狭義の創薬支援技術としてだけでなく、化学構造・生体分子・材料・スペクトル・プロセスデータまでを含む広義のデータ駆動型化学として捉え、その全体像を俯瞰できる一冊です。
まず始めに良さを感じたのは、冒頭でケモインフォマティクスの基本的な考え方が丁寧に整理されている点です。機械学習や深層学習の方法論から入ると、つい後回しにされがちな、化学構造をどのようにデータとして扱うのかといった、本領域に取り組むうえで重要な視点が記載されています。
また、本書で扱われる範囲は非常に広範です。マテリアルズ・インフォマティクスの分野でも重要となる分子設計、構造生成、材料設計、スペクトル解析に加え、バイオインフォマティクス領域に関わる化合物・タンパク質間相互作用解析やオミクス解析まで取り上げられています。創薬、バイオ、材料、化学プロセスの各分野を横断して学ぶことができる構成になっています。
深層学習に関する説明も充実しています。NN、CNN、GCN、RNN、LSTM、seq2seq、attention、Transformer、multi-head attention、VAE、GAN、拡散モデルといった手法について、概要が図解されており、それらがケモインフォマティクスにどのように応用されるのかをスムーズに理解できます。近年は生成AIや各種ライブラリの発展により、モデルの実装自体は以前より容易になっていますが、手法の背景を理解することは後回しになってしまいがちです。その意味で、本書はコードを書く前に理解しておくべき理論と考え方を学ぶうえでも有用です。
また、印象的だったのは、分子設計手法に関する整理です。本書では、分子設計の各手法を網羅的に紹介するだけでなく、生成される化学構造として望ましい条件として、①良好な目的変数の値やクラスが推定されること、②Applicability Domainの内側にあること、もしくは外側であればその理由があること、③化学構造として多様性があること、④合成可能または合成しやすいこと、⑤対象とする環境下で安定に存在すること、という観点が提示されています。そのうえで、各手法がどの条件を満たし得るのかを整理し、現状の化学構造生成手法の中には、これらすべてを同時に考慮できるものはないと踏み込んで述べられています。これは、各分子設計手法を、実際の化学研究・材料開発・創薬に接続するうえで何が不足しているのかを考えるための、非常に実践的な視点と思います。
全体として、本書はケモインフォマティクスの理論、方法論、応用先をバランスよく整理した良書です。ケモインフォマティクスやバイオインフォマティクスを専門とする読者だけでなく、マテリアルズ・インフォマティクスや各種の材料・プロセスのデータ解析に関わる読者にとっても、多くの示唆が得られるものと思います。
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読者モニターレビュー【 dhue 様 (業界・専門分野:機械学習・マテリアルズインフォマティクス)】
掲載日:2026/05/11
ケモインフォマティクスの全体像や、どのような分野で使われているのかということを把握出来る一冊です。コードの実装よりも、理論的な背景の解説に重きを置いています。バイオインフォマティクスシリーズの一冊ではありますが、創薬のようなライフサイエンス領域だけでなく、材料開発のようなマテリアル領域まで網羅しており、どちらの領域の方にもおすすめです。ベイズ最適化など、双方の領域で使われている技術についても解説しています。コンパクトにまとまっていますが、参考文献として多くの論文が引用されており、それらを参照することで手法の詳細も学ぶことが出来ます。
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読者モニターレビュー【 河野 優太 様 日本サムスン株式会社(業界・専門分野:化学・有機半導体)】
掲載日:2026/04/30
2, 3章などのバイオインフォマティクスは門外漢なので、4章以降を中心に読ませていただきました。
金子先生の書籍は数冊既に購読しており、基本的な内容や流れはかぶる部分があったのですが、最近のホットな内容(構造生成器)などの理論や詳細に触れていた部分は、非常に新鮮で勉強になりました。すでに論文等では登場しており、使用している機関はあるかと思いますが、書籍として話題に触れているものは少ないと思います。
生成AIなどが使える昨今の状況を踏まえると簡単にモデルが実装できてしまいますが、理論が理解できていないとモデルを微調整したり、比較することが難しいと思います。それが、この書籍では理論から逃げずに触れており、内容が難しいところも端折らずに記載がされていました。特にニューラルネットワークに関する基本的な理論とそれらが応用されている事例も併せて紹介されており、ニューラルネットワークの書籍や過去の金子先生の書籍には含まれていない内容で新鮮でした。
モデルを実装するときに書籍を横に置いておき、内容を確認・復習したい時に、書籍に戻って、コードを生成AIと理解しながら実装していくことができると期待しています。
今後ぜひ取り扱ってほしいこととしては、基本的な実験計画法やベイズ最適化の実装に関する書籍は既に発刊されているので、ニューラルネットワークを基本としたグラフ構造を用いたGNNの実装、VAE, Diffusionモデルといった生成モデルを実装、これらの具体的なコードの内容や解説を行っている書籍が出てくるのを楽しみにしています。
細かい点としては、せっかく表やグラフがあるので、カラー印刷の方が読みやすいかなと思いました。
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読者モニターレビュー【 鈴木 ラファエル麦 様(業界・専門分野:Bioinformatics)】
掲載日:2026/04/30
本書を通して、ケモインフォマティクスやデータ駆動型の創薬・材料設計に関する幅広いトピックを俯瞰することができた。扱われている範囲は広いが、単なる技術紹介にとどまらず、それぞれの手法がどのような場面で有効なのか、どのように研究へ応用できるのかを考えながら読める構成になっていた点が印象的だった。自分の研究に直接関係する内容も多く、読みながら「これは自分の解析にも使えそうだ」「この論文は後で読んでみたい」と思う箇所が何度もあった。特に、構造生成器とオミクス解析の章では最近の様々な研究について重要な研究の論文が紹介されており、ケモインフォに入門するうえで、どの論文から読めばよいかの見通しを得られた。また、各章において、SHAP値や適用範囲(Applicability Domain)など、曲者な用語の説明が丁寧だったり、ベイズ最適化を適用する場面や最初に行うべき実験条件は何かといった、痒いところにてが届くような解説が非常に参考になった。全体として、分野の全体像を掴みながら、自分の研究に活かせる具体的な視点も得られる、実用性の高い一冊だと感じた。








