レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

Pythonで始めるスワーム制御プログラミング

Pythonで始めるスワーム制御プログラミング

自然界の群れをなす生物の振る舞いに着目し,ロボットや分散システムに活かそうとするスワームシステム,マルチエージェントステムについて,Pythonのプログラミングを交え,解説している。

発行年月日
2026/02/10
定価
2,530(本体2,300円+税)
ISBN
978-4-339-03249-9
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

すいらん 様

掲載日:2026/03/12

Pythonによる自立型水中ロボット(AUV)開発のために参考とさせていただきました。
ロボット制御として、スワーム制御を応用することで、広範囲の探索や環境モニタリング等の効率化に期待しています。
制御アルゴリズムとして、ポテンシャル法(引力、斤力、整列)を採用しようと考えていたので、非常に参考となりました。
今後、海洋開発における技術として自立型水中ロボットは必要不可欠になってくるので、これをきっかけにさらなる発展に繋げたい。

読者モニターレビュー【 松岡 大輔 様(業界・専門分野:プログラマ)】

掲載日:2026/03/03

本書はスワーム制御に関する入門書である。スワームとは群れという意味で、従来の中央集権的な大域的構造の制御とは異なるアプローチが近年試みられている。それについて、概要を押さえながら、もっとも基本的なモデルから段階的にPythonでプログラミングすることで、体感的に理解しようというのが趣旨である。

本書が扱う現代的なスワーム制御の骨子は、分散制御によるマルチエージェントシステムである。全体を司る司令塔は存在せず、各エージェントは近傍の情報のセンシングと通信で自律的・反応的に行動する。

各エージェントが従う行動の局所的なルールは単純なものだが、その局所的な行動が集団になることによって大域的な振る舞いへと創発する。つまり、局所的なルール自体には存在しない大域的な行動のルールが、自然発生的に現れる。これが群れという意味である。

本書では、理論的な解説は最小限にとどめ、実際に手を動かし、プログラムを動かしていくことによる直感的な理解を目的としている。最初に扱うのが、スワーム研究の原点であるBoidsモデルである。これはごくシンプルな3つの局所ルールから、鳥の群れのような大域的振る舞いが創発するモデルである。

興味深いのは、現代のロボット工学者がスワーム制御のモデルを考察するに当たって、丹念に自然を観察し、その本質を抽象化して、数式に置き換える、という作業を繰り返しているという点である。自然現象の複雑さの中から、モデル化しうる要素を見抜いて、単純な数理に落とし込み、そこからシステムを組み上げる。このような地道な作業の繰り返しが現代的なロボティクスの基盤になっている。

第5章までが実装してみながら手を動かして理解する、というスタンスで進むのに対して、最後の第6章はそれまでの内容を踏まえて、様々な応用の可能性について解説されている。Boidsモデルに始まる基本的な考え方を理解したうえで、本章に当たると、現代のスワーム制御の奥深い世界が垣間見えて実に興味深い。

“Simple rules lead to complex behavior”としばしばいわれる。シンプルな局所ルールから大域的な複雑な振る舞いへと創発する、という点がスワーム制御の根本的な設計思想である。この点をふまえるだけでも、現代的なロボティクスや知能研究への視線が変わってくるのではないだろうか。

読者モニターレビュー【 電気系学生 様(業界・専門分野:電力システム工学、パワーエレクトロニクス)】

掲載日:2026/01/29

マルチエージェントシステムや自律分散制御、群知能の応用に興味があり、実装まで踏み込んで学びたい方におすすめの一冊である。

魚や鳥の群れ、蟻の行列など、自然界にはマルチエージェントシステムの典型例が数多く見られる。そして、こうした自然界のマルチエージェントシステムをアナロジーとして、工学分野へ応用する研究が盛んに行われている。最適化の分野では粒子群最適化(PSO)アルゴリズム、ロボット工学の分野ではドローンの群制御などがその代表例である。また、交通工学、電力工学、通信工学といった、自律分散制御の必要性が高まっている分野においても、マルチエージェントシステムの活用が検討されている。

本書は、自然界のマルチエージェントシステムの中でも、羊の群れを誘導する牧羊犬モデルに焦点を当て、その理論と実装について丁寧に解説している。

マルチエージェントシステムを道具として活用したい人にはぜひ読んでほしいと思える、どの工学分野にも応用が利く内容である。