レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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本書では長年にわたる著者の経験を活かし,現象から本質を見抜く勘と洞察力,複合領域を横断して見通す総合力・水平思考力,ものづくり過程で日々生じる様々なトラブルに対処する能力など,現場で役立つ応用力を養うことを目指す。
- 発行年月日
- 2025/05/16
- 定価
- 5,940円(本体5,400円+税)
- ISBN
- 978-4-339-04694-6
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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「月刊 トライボロジー」2025年6月号(新樹社)
掲載日:2025/06/13
『トライボ・ニュース』内の新刊図書欄にてご紹介いただきました。
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「ベアリング新聞」2025年5月20日発行(新樹社)
掲載日:2025/05/23
新刊図書欄にて書籍紹介いただきました。
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読者モニターレビュー【 Masa 様(業界・専門分野:機械工学 )】
掲載日:2025/05/13
私が本書を読んだ印象は機械工学分野(材料力学 流体工学 機械設計 機械力学)の各分野に必要な力学に関する知識がまとめられた書籍だと思いました。本書の構成は8章の構成になっており大きく分けると次のような構成になっています。第1章では力学問題を解く基礎的な知識(物理・数学)の記載があり、第2章~第4章では高校物理の内容からステップバイステップで質点系の動力学まで学べるようになっています。また、第5章~第6章でエネルギーや運動量を考える問題にふれ、第7章で剛体の動力学を扱っています。最後の第8章では多自由度の系の基礎となる1自由度系の振動問題を解くことで振動工学の基礎部分を学習できる構成になっています。そのため、本書は高校物理の基礎的な知識を取得していて自分で調べて学習する力があれば、学部1年生でも工業力学の基礎から動力学や振動工学の基礎まで学習ができると思います。ただ、本書は1冊目の工業力学の本としてはハードルが高い書籍なので、初学者に対してはフルカラーで初学者向けの【工業力学 第4版(森北出版)】をサブテキストで使用することをお勧めします。また、本書で取り上げられている問題は機械設計技術者試験や技術士1次試験で出題されるような問題が取り上げられているので資格取得の勉強をしている方にもお勧めします。改善点を挙げると、各機械工学分野の力学に関する知識がまとめられていますが、実務上は業務の一部に力学を使用するため、力学の視点だけでなく機械部品の選定や振動データからの固有振動数の調査方法、リンク系ロボットのトルク計算などの具体的な業務事例にどのように工業力学が使用されるかを説明する項目があってもいいと思いました。私の読書レビューが書籍を検討している方々の参考になれば幸いです。
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amazonレビュー978-4-339-04694-6 現場で役立つ応用力を養う 工業力学入門
掲載日:2025/05/12
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読者モニターレビュー【 おみにゃ 様(業界・専門分野:制御工学 )】
掲載日:2025/05/07
私は過去に筆者が執筆された「モード解析」(コロナ社)の愛読者なので、本書を非常に楽しく読ませていただいた。本書の内容に関しては、特に高専生や大学1、2年生向けで力学の基礎から剛体の動力学、振動の導入部分までを学ぶことができる。また、これまでに工学系の専門分野を学んでこなかった方々においても、記載されている各式の作り方が丁寧に解説されているために初学者でも安心して学ぶことができる。是非、読書には本書で工業力学の基礎を学んだ上で各専門書を読むことをお勧めしたい。さらに本書のタイトルにあるように現場で役立つ応用力を養うための内容になっている点も大きな特徴である。具体的には練習問題が多数記載されているので、力学の基礎的な知識を理解しながら練習問題を通して実践的なスキルを獲得することが出来る。こうしたスキルの積み重ねが現場における多くの課題を解決する力に繋がるのではないかと考える。個人的には機械式ジャイロに興味があるため、原理の説明から運動方程式の立式までの要点を確認することができたのが非常に勉強になった。是非、本書をお手に取って読んでいただきたい。
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読者モニターレビュー【 overload 様(業界・専門分野:機械 )】
掲載日:2025/04/30
レベルや位置付け的には著者の一人による数十年前の前著「工業力学」(養賢堂)を現代の事情、具体的には就活やそれに必要な俗に言うガクチカなどで、工業力学をはじめとする座学の類に昔の学生ほど時間を割く余裕がかなり無くなってきていると思われる現代の学生のために、演習問題の解答についていわゆる行間を読む能力や労力に極力頼らず理解できる程度に詳解を与えている演習主体の教科書、といったところでしょうか。
工業力学はいわゆる機械工学の主要専門科目の四力学(機械力学(振動学)・材料力学・流体力学・熱力学)あるいは機械(要素)設計(法)に進む前段階の基礎的科目として置かれていることがかなり多いようですが、それら科目に進む前段階の入門的科目としての内容、例えば曲げモーメントや噴流に関する力学なども取り扱われており、その点で比較的充実していると思われます。
本書はあくまで演習とその詳解が主体で、公式だとかの理論的な背景の説明は比較的あっさりしている、習うより慣れよの傾向があるので、本書の内容、演習問題の詳説についていけない場合は、例えば「工業力学入門」(森北出版)や「力学キャンパス・ゼミ」(マセマ出版社)などを参照すれば理解が進むものかと思います。
専門科目に与えられている時間数が恵まれている高専などであれば、講義を通して本書を隅々まで通読することも可能かもしれませんが、大半の一般の大学では工業力学に与えられた時間は1年次後期~2年次前期頃に半期・週1時間・2単位程度であることが殆どかと思われるので、その場合は例えば理系一般教養の力学と重複する主に冒頭の基礎的内容や、四力学や要素設計と重複する内容を割愛する、例えば本書終盤の振動などは工業力学習得後に履修することになる機械力学(振動学)などの専門科目の方に回してしまってもよいかもしれません。あるいは理系一般教養の力学や、大学院における例えば(工業・古典)力学特論といった科目のテキストに本書を用いるのもありかもしれません。
一方で、工業力学の科目では終盤におまけ程度に簡単なラグランジュ方程式を用いた力学的問題の解法といった解析力学の初歩・概論的なことを教授していることも少なくないようですが、本書では解析力学は扱われていないので、その点については担当教員が適宜補ってやる必要があるかもしれません。
本書の演習問題は機械設計等の現場における実践的な問題が多いので、大学や高専の専門課程に入りたての若者や初心者にはオーバースペックかもしれませんが、実務者や大学院入試等で演習問題を作成する側の方々にも重宝するのかなとは思います。あるいは機械系以外でも例えば衛星や実験装置等の設計で高度な古典力学の素養が必要になるであろう理学系など非機械系の方々の独習・輪講用書籍として有用かもしれません。
筆者らは従来の伝統的な(特に機械系の)力学教育に対して長年問題提起されてきているようですが、本書はあくまで従来の伝統的な力学教育に沿った内容でありますので、筆者らが例えば「機械の力学」(朝倉書店)などで提唱の新たな(電磁気学等との親和性の高い、理論的対称性の美しさが際立っているような)機械系力学理論の体系の改革に関する続報についても期待したいところです。