レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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学習者の意欲を低下させる「自明である」「省略する」を排除し,本文や問題,図表,解答に至るまで一つひとつのステップを丁寧に解説。これでもう,置いていかない・置いていかれない。「理解しやすさ」を追求した制御工学の教科書。
- 発行年月日
- 2025/05/30
- 定価
- 3,410円(本体3,100円+税)
- ISBN
- 978-4-339-03250-5
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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読者モニターレビュー【 元制御系エンジニア 様(業界・専門分野:自動運転・システム制御 )】
掲載日:2025/05/27
本書では主に古典制御(微分方程式・伝達関数・伝達関数に基づく制御系設計等)に関する内容を解説している。「理解しやすい」とタイトルにある通り、初学書では省略されがちな古典制御の基礎内容が網羅されている。例えば,昨今の初学書で省略されがちな伝達関数の代表特性根やランプ応答の定常/過渡特性に関する丁寧な解説がなされている。制御系設計においては,限界感度法だけでなくMp規範や根軌跡を用いたゲイン調整法も解説されている。本書を一通り読むことで古典制御の基礎の理解が進むと考えられる。一方,古典制御の代表的な内容のすべてを解説しているわけではなく,本書のみで古典制御の全てを理解できるわけではない。本書の網羅範囲としてPID制御の設計に留まっており,マクローリン展開に基づくゲイン設計や2自由度制御の設計等の応用的な内容に関しては解説されていない。また,MATLABやPython等の演習用プログラム等は付属していない。したがって,本書で古典制御の基礎を理解した上で他の初学書も併用して勉強することを勧める。
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ΦAΦ(ファイ) 様(業界・専門分野:総合電機、制御)
掲載日:2025/05/26
古典制御の基本的な内容がコンパクトにまとめられています。
タイトルの通り、確かに途中式の省略がほぼなく、「どうやってこの式になった!?」となる場面が少なかった様に思います。
また、全編に渡って、ほぼ全てのページに図や表が記載されており、「少しでもイメージをしやすくしよう」と言った著者の方々の気遣いを感じました。
本編についても然る事ながら、演習問題の解答についても同様に省略が少なく、特に社会人になってから独学するような読者にはありがたいのではないでしょうか。
欲を言えばもっと行間を埋められたのではないか、と言った点も見受けられましたが、まだ初版ですので今後の展開にも期待したい書籍です。
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読者モニターレビュー【 髙橋 諒 様(業界・専門分野:制御工学 )】
掲載日:2025/05/19
古典制御理論の基礎から応用までを丁寧に解説した、制御工学の入門書として最適な一冊です。微分方程式やラプラス変換といった前提となる数学的知識も丁寧に取り上げられており、初学者でも無理なく読み進められると感じました。ボード線図やナイキスト線図などの具体例を通じて、制御系設計の流れを段階的に理解できる構成となっています。さらに、制御系の安定性判断など理解が難しいテーマについても、例題を用いて手順とナイキスト線図などの図表を示してくれているため理解がしやすくなっています。特に、例題や演習問題の解説が省略されることなく丁寧に記されているため、初学者だけでなく一度学習した方々の復習にも良いと感じました。
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読者モニターレビュー【 YM 様(業界・専門分野:制御工学 )】
掲載日:2025/05/19
本書では、制御工学の基礎的な内容を学ぶことができます。これまで数多くの制御工学の書籍に触れてきましたが、これほどスムーズに読み終えられた本は初めてでした。非常に読みやすく、親しみやすい一冊です。図が豊富に掲載されており、それぞれの図に対する説明も簡潔かつ丁寧で、内容が非常によく整理されていると感じました。特に、制御工学の導入部分にあたる第3章・第4章では、多様な制御対象やブロック線図を用いることで、読者の興味を引きつける工夫がなされています。また、他書では文字だけで説明されるような細かな内容も、本書では図解を通じて直感的に理解できるようになっており、学習効果が高まります。さらに、第2章では制御工学に必要な数学的知識が網羅されているため、数学に苦手意識のある方でも復習しながら安心して読み進めることができます。加えて、多様な例題や演習問題が豊富に盛り込まれており、体系的な学習にも適しています。ただし、本書ではあまり高度な内容までは取り扱っていないため、すでに他の書籍で学習を進めている方には、やや物足りなく感じられるかもしれません。今後、より発展的な内容を扱った続編が刊行されることを期待したいと思います。
総じて、本書は制御工学をこれから学び始める方にとって、非常に優れた入門書です。これから制御工学の学習を始めようと考えている方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。本書の購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
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読者モニターレビュー【 岡田 昌樹 様 苫小牧高専(業界・専門分野:機械制御 )】
掲載日:2025/05/19
大学や高専では,講義形式の授業を自学自習の時間も含め,2単位で運用しているケースが多いと思われる.このとき,学生たちのつまずきは,本書のまえがきにも記載されているように,「自明のこと」として教科書の一部が省略されていることである.制御工学では,ラプラス変換の式が多く,ベクトルや行列なども出てくることから,このあたりを苦手としている学生にとって,「自学自習」において,複数の教科書で学習していくことは,挫折につながりかねない.
本書は,この「省略されやすい部分」を強く意識され,丁寧に解説しているところが特長であり,良書たるポイントである.例えば,第3章の伝達関数について,基本的な6つの要素について,分かりやすい事例をもとに伝達関数G(s)の形を理解させてくれる.第4章の過渡特性についても,インパルス応答やステップ応答で,ラプラス変換や逆ラプラス変換による結果の求め方を示している.
体裁は好みによるが,私は白黒1色の方が,重要なところにマーカーを引かせたりする上で都合が良いと思っている.本書により,制御工学を得意科目にしてくれる学生が増えることを期待している.
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読者モニターレビュー【 宮本 賢一 様(業界・専門分野:製造業 )】
掲載日:2025/05/15
本書は、制御工学の入門書として、豊富な図版と見やすいレイアウトにより、読者の学習意欲を損なうことなく読み進められる工夫が随所に凝らされています。序盤では「制御とは何か」を平易に整理し、続く章で微分方程式、ラプラス変換、伝達関数、時間応答、周波数応答、安定判別、設計論へと段階的に知識を積み上げる構成のため、初学者の基礎固めはもちろん、再入門にも最適です。数式の解説は丁寧で、ブロック線図や日常的な例を挟むことで「抽象」と「具体」を行き来しながら理解を深められる点も魅力です。さらに章末問題も充実しており、学んだ理論を実務に応用するための橋渡しとなります。学生から現場技術者、企業研修や講義テキストまで、幅広く活用できる一冊としてお薦めします。
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読者モニターレビュー【 佐藤 希美 様 浜松未来総合専門学校(業界・専門分野:ロボティクス )】
掲載日:2025/05/12
「制御工学」という名前だけを聞くとすごく難しそうと感じる人もいるかもしれません。
しかしこの本は、私の「やってみたい!」という気持ちをまっすぐに受け止めてくれる一冊でした。
私は工学部ではなく、もともとは健康や運動系の勉強をしていましたが、今は情報系分野の学びを楽しんでいます。そして、自分の好きなロボティクス分野をより深く理解したいと思い、制御工学の扉を開きました。
ラプラス変換やPID制御などの言葉と初めて本気で向き合いました。ただ、微分や積分の基礎はやはり大事なのでそこがあやふやな人は一度立ち戻るのもおすすめです。一気に全部分かろうとせず、調べたり立ち止まりながら進めることが大切だと思います。私もこの本を通して、「もっと学びたい!」という気持ちがどんどん広がりました。
分野や経験に関係なく、好奇心がある人にはぜひ手にとってほしいです!