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音源分離・音声認識

メディアテクノロジーシリーズ 9

音源分離・音声認識

人間は音を聞き分け,大事な音だけを理解する能力を持つ。技術の進歩に伴い,この能力をコンピュータで実現することが可能になりつつある。本書は音声に関わる多様な分野の研究者に向け,音声技術活用のノウハウを解説する。

発行年月日
2024/11/01
定価
4,180(本体3,800円+税)
ISBN
978-4-339-01379-5
在庫あり

レビュー,書籍紹介・書評掲載情報

ブログでの書籍紹介「音を聞き取るAIについての教科書」

掲載日:2025/03/03

上記リンク先にて本書をご紹介いただきました。

読者モニターレビュー【 N/M 様(業界・専門分野:総合情報学[情報科学])】

掲載日:2024/11/08

本書は「メディアテクノロジーシリーズ」の9巻目に位置する書籍である.本巻では「音源分離」と「音声認識」という,音源の中から不要なものを分離させ,必要な音声を認識するための技術についての記述がなされている.
音声認識と言えば,曲名検索「Shazam」や,テレビ番組やCMの音声をアプリに認識させるとポイントが貯まるアプリなどが一般的には有名だろう.

1章では,「音源分離」・「音声認識」とは何か?ということを理解する上で「音源分離」と「音声認識」が日常生活の中でどのような場面で利用されているのかということを改めて考えていくことから始まり,音声認識技術はいつから始まったのかという歴史的背景などの解説がなされている.

2章では,音源・音声を扱う上で重要な専門分野である「信号処理」の基本や,AI(人工知能)技術を学ぶ際におなじみの機械学習(Machine Learning)について,音源分離・音声認識を行う上で必要最低限の解説がなされている.

ここまでで必要となる基本的な知識を学んだ後,音源分離に関する技術を学びたい方は3章を,音声認識に関する技術を学びたい方は4章というように,3章と4章は独立した章構成になっているのが特徴的である.

最後の5章では,3章と4章の両方の分野にまたがる技術についての解説がなされている.

昨今,音声を処理するようなプログラム(ライブラリ・APIなど)の多くがWeb上公開されており,入手自体は容易に行えるが,それをどのように読み解き,組み合わせていいのか分からない初心者(このレビューを執筆している私も含む)に,本書は最適ではないかと個人的には感じた.
また,そういった「音源分離」・「音声認識」に関する,より詳細な専門書・学術論文を読み解くための基礎体力のようなものが本書をしっかりと理解することで身に付くようにも感じた次第である.