レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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不整地移動ロボットを体系的に扱う書籍。各分野で定義がまちまちだった「不整地」の定義と分類を行い,不整地移動ロボットの代表的な移動形態である「車輪型/クローラ型」,「脚型」,「ヘビ型」の機構や力学,制御を広範に解説。
- 発行年月日
- 2023/12/20
- 定価
- 4,180円(本体3,800円+税)
- ISBN
- 978-4-339-04686-1
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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amazonレビュー978-4-339-04686-1 不整地移動ロボティクス
掲載日:2025/02/26
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読者モニターレビュー【 釜玉うどん 様(業界・専門分野:工学、マルチエージェントシステム )】
掲載日:2024/01/16
本書は車輪型/クローラ型ロボット、脚型ロボット、ヘビ型ロボットを「不整地を移動するロボット」という観点からまとめたものです。個人的にですが、それぞれのロボットについては広く研究・開発がなされているものの、「不整地移動」という統一された文脈で記述されたことはなかったのではないでしょうか。
本文では最初に「不整地」の定義を丁寧に行い、それぞれの環境下でどういったロボットが用いられているのか写真付きで紹介されています。その後は各ロボットの性質やモデル、また制御則などの説明が詳細に書かれているため、「紹介されたロボットがどういった原理で動いているのか」というイメージも掴みやすいと思いました。また各章では参考文献も記されており、本書で興味を持った読者がさらに読むべき文献も記されていると思います。
学生や研究者以外にも、興味がある方は第0章を読めば雰囲気がよくわかりますし、それぞれのロボットを研究・開発する方は該当する章を読めばおおよそのことが理解できるように思います。総じて、「不整地移動ロボティクス」の先駆けとなるような書籍だと感じました。
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読者モニターレビュー【 糸井 雄祐 様(業務内容:クローラの開発,電動一輪車の開発)】
掲載日:2023/12/26
不整地での移動体を開発する1人のエンジニアとして感銘を受けた内容だった。
私は、0章の「不整地の定義」に最も感銘を受けた。不整地という無秩序な環境を、定義に落とし込み、そこから分類分けをした表と図を見たとき高揚してしまった。様々な不整地の環境によってどの移動体が向いているかは私の経験の中である程度把握していた。しかし、ここまで細分化・具体化されている表と図を見ると私がまだ経験していない不整地がはるかに多く存在するのだと思い知らされた。車輪型とクローラ型の章での走行力学の議論は、実際に移動体を開発する身として、かなり勉強になる。さらに、モデル化した式を解釈を含めた上で書かれている。そのため、特殊な形状の移動体を開発する上でもとても参考になる。脚型・ヘビ型の章は、今後の移動体開発における糧になる章であった。
この本全体を通して感じたことは、如何に不整地の移動体というものが重要かつ難解ということである。私のなかでの不整地への探求心がさらに深まった。
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読者モニターレビュー【 りゅっぢ 様(業界・専門分野:農業工学 )】
掲載日:2023/12/14
私は荒地に近い農地でクローラを試験運用した経験があるが,著者たちの現場経験は非常に共感できた。車輪型とクローラ型の章でのテラメカニクスや不整地走行制御の議論は、実際には制御に用いないとしても勉強になる.力学的なモデリングも数式を展開するだけでなく,十分にその解釈の仕方が書かれている.脚型とヘビ型ロボットの章は、私にとって新しい知識の領域であり、今後の自作プロジェクトにおいて新たな方向性を模索する上で大きなヒントを与えてくれた。各章のコラムも実践的な問題に対するなヒントを提供しており、これがこの本のユニークな魅力の一つである。この本に通底して感じたのは,不整地移動ロボットの分野における現場の最前線から得られた知見だ。不整地移動ロボット界隈の「内部の人」に一歩二歩近づいた気分だ.