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経営科学のための確率統計入門

経営科学のための確率統計入門

主に経営科学分野への応用を目的に確率統計を学ぶ学部生を対象とした教科書。応用上特に重要な定理や公式などは,理論だけでなくその意味や直観的な説明を与えている。また,経営科学上の問題との関連についても適宜ふれる。

発行年月日
2022/06/24
定価
3,080(本体2,800円+税)
ISBN
978-4-339-06125-3
在庫あり

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読者モニターレビュー【 N/M 様(ご専門:総合情報学(情報科学))】

掲載日:2022/06/21

本書は,オペレーションズリサーチ(OR)を主とした,経営科学の分野を学ぶにあたり,必要な確率論及び,統計学の分野についての記述がなされている.

私自身,確率論及び,統計学の基礎を身につけたいという理由から本レビュ企画に応募した.また,確率論及び,統計学,その他の数学的な知識はほぼない(情報科学の分野を学ぶ際に,条件付き確率,相関係数等の確率論,統計学の用語を見聞きした程度)に等しい状態であるので,気になった点や内容の概略を中心に紹介していく形を取る.

本書を読むに当たり,Σの計算,極限 lim,積分
∫などの計算の知識が前提知識として必要である.付録として,簡単な計算方法が解説してあるといいのではないかと思った.

内容としては,確率論や統計学の役割や何の役に立つのかという,そもそも論の話から始まり,それらの定義や性質や,各種確率分布,推定,検定,分析について,時には証明を交えながら詳しく解説されている.一部,扱われていない内容(例えば,「単回帰分析」の記述はあるが,「重回帰分析」は扱われていない,など)も含むが,基礎的な部分に関してはほぼ網羅されているのではないだろうか.

7章にも書かれているが,データサイエンスや,情報系の分野では,AI(人工知能)を実装する上で重要な技術として「機械学習」が挙げられる.この機械学習には,多変量解析の手法が一部使われていたりと,統計学は何かと最近流行りの分野でも深く関連性がある,ということが改めて感じ取ることができるだろう.

最後に,経営科学に関連した題材の章末問題を中心に,かなり多めに用意されているので,理解を深める意味で大変参考になるだろう.ただ,略解も含めて解答・解説がないのが,大変悔やまれる(もちろん,講義でのレポート問題として活用するという意味合いもあると思うが・・・).是非とも,このレビュ後にでも良いので,コロナ社や著者のWebページにでも公開していただけることを切に願いたい.

読者モニターレビュー【 あめ色玉ねぎ 様(ご専門:システム工学)】

掲載日:2022/06/21

本書は、初学者が読みやすくなるような工夫が随所に散りばめられた、確率統計の良書である。

通常、確率統計の書籍は数学的な説明が多く理論に偏ったものである場合か、それとは反対に数学的な説明に乏しく概念的な内容に偏ったものである場合が大半だが、本書は数学的な理論と概念的な説明とのバランスが非常に良く、読者が理解しやすいようにまとめられている。

また、文中に出てくる例は身近で実用的なものが多いため、単に理論を学ぶだけでなく各章で紹介される手法の実用性を理解しながら読み進めることができる。

全体を通して取り扱われている内容が基礎的なものから応用的なものまで幅広く、各章が簡潔で読みやすく理解もしやすいので、是非とも確率統計の初学者各位に手に取っていただきたいと思える一冊であった。