レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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本書はさまざまな大学における,大学院入試での制御工学の過去問題をわかりやすく丁寧に解説している。大学院入試に向けてしっかりと制御工学を身に付け,経験を積むことができ,また社会人の学び直しにも重宝する一冊である。
- 発行年月日
- 2021/12/17
- 定価
- 2,860円(本体2,600円+税)
- ISBN
- 978-4-339-03236-9
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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amazonレビュー978-4-339-03236-9 大学院入試徹底対策テキスト 制御工学
掲載日:2023/03/20
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読者モニターレビュー【ボルテージ 様(ご専門:制御工学,制御理論,ロボット工学)】
掲載日:2021/12/09
◯概要
本書は,国立大学大学院入試で実際に出題された制御工学の試験問題を解説した問題集である.本書の構成は,各大学院の各年度の問題文とその解答解説の繰り返しとなっている.
※本書では,大学院から許可が得られた問題のみ掲載されているので,ここでレビューした内容が必ずしも大学院入試の問題の傾向と合致しないことを承知いただきたい.
◯出題範囲
古典制御と現代制御を中心として出題されている大学院がほとんどである.一方で,ロバスト制御やデジタル制御といったより専門的な分野の問題は出題されていない.
◯古典制御の出題範囲
何か制御対象を与えて,ブロック線図の等価変換や簡単化,ステップ応答やインパルス応答,定常偏差等を答えさせる問題が多い.また,ある制御対象の周波数応答から得られた部分的な情報(ゲインや偏角)を用いて,制御対象の伝達関数を求めたり,位相余裕やゲイン余裕等の指標を用いた制御系設計の問題が出題されている.上記の問題が,融合的に含まれている.
◯現代制御の出題範囲
状態空間表現から伝達関数への変換,安定性の判別,可制御性や可観測性,極配置によるフィードバック制御器設計,オブザーバ,併合系の問題が出題されている.上記の問題が,融合的に含まれている.
◯問題の出題傾向
何か具体的な制御対象を与えて,各種応答や安定性を計算させている.一方で,一般系で制御対象を記述した問題は出題されず,数学的な証明等を要求する出題はない.
◯本書の特徴
問題の解説はどれも丁寧になされており,問題の解説を理解するためには申し分ない.さらに,関連分野の説明もあるので,ちょっとした勉強にも役立つ.しかしながら,解説には制御工学の教科書に書いてある内容がすべて記述されていないため,教科書的な使い方は推奨しない.あくまでも,演習用に利用することをオススメする.よって,体系的に制御工学を学びたい場合は別の制御工学の参考書を購入する方が良い.
本書で紹介されている問題は,色んな単元を融合的に含んでいることから,より研究や現場での取り組みに近い実践的な構成になっていることも魅力的である.