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光の数理

光の数理

本書は工学分野を俯瞰する立場で数学的内容を精査し,光学における数学や物理的意味と数学のもつ性質との橋渡しを行うことで,横断的理解を目指した書籍である。数学のレベルは,高校および大学の学部生程度を想定している。

発行年月日
2021/09/10
定価
3,740(本体3,400円+税)
ISBN
978-4-339-06658-6
在庫あり

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amazonレビュー978-4-339-06658-6 光の数理

掲載日:2022/01/20

読者モニターレビュー【2954 様(ご専門:機械設計)】

掲載日:2021/09/22

タイトルからは一見して、光りというものを理解するに際して広範な数学的アプローチを試みているように思えるが、対象とする範囲は、著者の専門である光ファイバ通信の基礎となる光現象について、工学的扱いをするための数学的な記述法である。

伝播、屈折・反射・回折等光学現象の数学的記述を扱っている工学の入門書として購入されるとよいと思う。
大学学部生を対象として書かれているが、わかりやすく書かれていて高専生や専門学校の学生でも理解できる。
もちろん社会人になって勉強し始めた私のような素人でも入門書として非常に参考になった。

9章を摂動論に割かれているが、微分方程式の近似解を得る手段として数学的なアプローチとして紹介されている。
大変興味深い切り口で面白く読んだ、本章から量子光学としての光りの性質を学べると期待する人は、本書は必ずしも目的に叶わないので別の書籍をあたると良い。

本書の特筆すべき特徴は、数学的記述やテクニックの紹介にとどまらず、物理的性質からの考察からそれぞれ別のアプローチをとったとしても、同じ結論が導き出せることを示している点で、テクニックに偏っておらず物理的にも興味もって学べる点にある。

また光りの工学的な意味での現象に対して、(特に光ファイバのような伝達系に於ける工学的利用を考える場合の)、光りの振る舞いを記述するための数学的手法を過不足無く簡潔に示している点でよくまとまっている。
より深く学びたい学生向けに、文献や、論文をもっと紹介してあると良かった。

光学を学ばれるのであれば是非所蔵していたい本である。