レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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本書は,空間データを分析する様々なソフトウェアに組み込まれているクリギングについて,読者が分析対象とする現象に応じた仮定や条件を自ら吟味,設定し,得られた結果の妥当性を判断できるように,その基礎から応用まで解説した。
- 発行年月日
- 2021/04/23
- 定価
- 3,740円(本体3,400円+税)
- ISBN
- 978-4-339-05275-6
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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「測量」2022年6月号
掲載日:2022/06/03
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読者モニターレビュー【青木健一 様(ご専門:データ分析)】
掲載日:2021/04/15
技術の入門書に必要な事項として,分野全体の俯瞰図,理論解説,手法選択の判断基準,手法の実装方法,実問題への適用例,次へ進むための参考図書等が必要と考える。本書にはそれがある。
・分野全体の俯瞰図
本書は地理・空間データ解析の中でも特に「クリギング」に絞っている。そのため俯瞰図の優先度は低めだがそれでも入門者は類似手法との違いの見極めができない状態であり,俯瞰図は欲しい。本書では冒頭に「空間内挿推定法の分類」として決定論的方法と確率論的方法としてのクリギングとして俯瞰的な説明がある。
・理論解説
重積分,行列の知識が必要とはなる。ただ,それに対応した手法の実装方法としてExcelでの実装例があり分かりやすい。
・手法選択の判断基準
フローチャートで明確な説明がある。似ていて違いが分かりにくい手法についても分かりやすい解説がある。
・手法の実装方法
クリギングの実践としてExcelによる計算例がある。セルに記述する関数の説明も丁寧である。
・実問題への適用例
そもそもクリギングは何に使えるのだろうか。この疑問に答えられない人に伝えたい。本書では地質学に関連する適用例ではあるが,COVID-19禍で人流データの重要性が高まっており,そういった事例にも適用できると考えられる。類書が少ないとっつきにくい分野だが本書により,容易に入門できる。
・次へ進むための参考図書
引用・参考文献が充実している。