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確率システムにおける制御理論

シリーズ 情報科学における確率モデル 6

確率システムにおける制御理論

本書は,数学を基盤としたシステム理論の中でも,伊藤の確率微分方程式によって支配される確率システムを基盤とした電気・機械・プロセスシステムにおけるシステム理論および動的ゲームへの応用について詳細に解説している。

発行年月日
2019/07/03
定価
4,290(本体3,900円+税)
ISBN
978-4-339-02836-2
在庫あり

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読者モニターレビュー【K.O.様(所属:機械メーカ・研究職,専門:制御工学)】

掲載日:2019/07/04

本書籍は、確率で表記されるダイナミクスを持つシステムに対して、制御理論の適用手法について解説された本となります。
特に、制御工学の立場から話が展開されており、現代制御理論を勉強した人が確率システムの制御とはどのようなものか、雰囲気を知るために適していると感じました。また、各章末の問題は記載されていませんが、文章内に数値例が紹介されているため、必要に応じて、自分でプログラムを組みながら読み進めることで、より理解を深めることができると感じました。

M.K.様(大学院・航空宇宙システム制御専攻)

掲載日:2019/06/24

この本は,厳密な証明や解説は他書に譲り,確率システムと制御に関する要点の証明・最新の研究動向の紹介があるような,いわゆる橋渡しとなるテキストのように感じました。
前書きに"ダイナミクスを前提とした動的ゲーム理論に関する書籍は(中略),和書ではなかなか見当たらない"とある通り,和書には珍しい動的ゲーム理論が紹介される点で特に他書と差別化しているようです。
比較的行間が広いため,参考文献に挙げられているテキストを随時参照しながら,この本の行間を埋めていくようなセミナー等に適すると思われます(※)。特に現代制御論・確率解析のいずれかに関する基礎知識を持つ方は,この本で確率システムの制御理論を概観することができると思われます。
個人的には,リカッチ代数方程式とシュール分解について詳しく書かれている点(第4章),非線型確率システムの H∞ 制御について書かれている点(第6章),また各章のまとめで辿った道筋と応用先を明確に示している点が良いと感じました。
(※) より行間が狭く書かれた確率システムの入門書としては,本書でも随所に引用されている「大住 晃:確率システム入門(システム制御情報ライブラリー), 朝倉書店(2002)」が挙げられます。こちらではカルマンフィルタについても取り挙げられています。