レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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本書では,線形静弾性問題の応力解析に絞り,非線形有限要素法や拡張有限要素法(XFEM)にも応用できる基本的な理論とプログラム実装方法を丁寧に解説。構造強度設計に関係する技術者・研究者が自習できるように配慮した。
- 発行年月日
- 2018/05/10
- 定価
- 4,180円(本体3,800円+税)
- ISBN
- 978-4-339-04656-4
レビュー,書籍紹介・書評掲載情報
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読者モニターレビュー(ni様〔研究・開発職,専門:機械力学〕)
掲載日:2018/05/09
題目ままの本と言っていいと思います。
コラム的なパートで固有値解析や反復法に関する内容も多少は登場しますが,固有値とか固有ベクトルそのものについては解説されません。
本書一冊で応力解析の基礎的内容に関しては完結できる構成であり,その意志を感じます。
本書は3部構成です。
1部:応力解析・材料力学、数値計算の基礎的内容
2部:有限要素の定式化
3部:Octave(MATLAB)プログラムの実装
全体を通して数式の展開が非常に丁寧に記述されていますので,手を動かさずにざっと読んで流れを把握するぐらいの使い方もできます。
有限要素の定式化に関しても,種々の要素について仮想仕事の原理を基点として同じ流れで解説されますので,2節点要素に始まり,3次元要素まで順に読み進めていけると感じました。
プログラムの実装に関しては,スクリプトの内容が貼られているだけというわけではなく,各機能の解説もついていて,これなら自分でもできそうかなと感じさせてくれる内容です。
ただ,付録のスクリプトはMATLAB寄りではない書き方のため,MATLABではそのままでは動作しません。Octaveで動作確認後にMATLAB用に修正してみます。
初学者向けというわけでもなく,機械系出身で応力解析等の業務に従事する技術者が網羅的に理論のおさらいをし,ブラックボックスになりがちな有限要素法周辺の知識を拡充するのに役立つ書です。
参考文献は充実していません(それだけ個々の書の内容が充実しているということだと思います)ので,本書をきっかけとしてさらに深い内容へ入っていこうとする場合は,参考文献の参考文献まで掘り下げて目を通してみてもいいかもしれません。